エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

Library of the Year 2016 大賞・優秀賞受賞記念イベント


伊丹市立図書館ことば蔵とエル・ライブラリーの見学、トークイベント、祝賀会を開催します!

 「ライブラリー・オブ・ザ・イヤー Library of the Year」(LoY)は、これからの図書館のあり方を示唆するような先進的な活動を行っている機関に対して、NPO法人 知的資源イニシアティブ(IRI)が毎年授与する賞です。
 今年は、IRIメンバーおよび外部推薦で寄せられた53施設・団体・サービスの中から第1次選考会、第2次選考会を経て、4機関がLoY2016優秀賞、2機関がLoY2016ライブラリアンシップ賞を受賞しました。
 そして11月9日の最終選考会で、栄えある大賞にはみごと伊丹市立図書館ことば蔵が選ばれました。おめでとうございます! ことば蔵は市民が運営に参加する市民協同の図書館です。最終選考会でのプレゼンテーションも図書館員ではなく市民が担いました。地元から横浜まで応援団が駆けつけ、大賞が決まった瞬間には「園長」とプレゼンターが抱き合って喜び、受賞挨拶では園長が感極まって言葉に詰まっておられる様子が感動を呼びました。
http://www.iri-net.org/loy/loy2016.html#comment
<受賞理由>

  • 伊丹市立図書館ことば蔵:図書館において、学びや遊びに関する創造的な活動を市民と共に実践している点を評価。
  • 大阪産業労働資料館(エルライブラリー・):地域における公共的活動拠点として開かれ、広範囲な人々が支えている点を評価。

 
 この受賞を記念し、両館では下記のイベントを開催します。奮ってご参加ください。4部構成ですので、どこから参加されてもどこで離脱されてもかまいません。

  • 日時:2017年1月21日(土)
    • 第1部12:30 エル・ライブラリー書庫のお宝見学会
    • 第2部15:00 ことば蔵見学
    • 第3部16:00 トークイベント「市民とともに歩むこれからの図書館」(受賞館スピーチ、選考委員、会場を交えたフリーディスカッション)
    • 第4部18:00 祝賀会「白雪ブルーワリーレストラン長寿蔵」(兵庫県伊丹市中央3-4-15)http://choujugura.com/restaurant/index.html
  • 参加費:第4部の祝賀会は4500円。それ以外は無料。交通費は各自負担。
  • 申し込み: または電話 06-6947-7722までどうぞ。
    • エル・ライブラリーの見学会は定員10名。
    • 第4部の申し込み期限は1月18日
    • 第2部と第3部は申し込み不要、直接ことば蔵にご来館ください。

※右上の写真はことば蔵提供。

伊丹市立図書館ことば蔵
所在地:伊丹市宮ノ前3丁目7番4号
地図とアクセス:https://www.itami-library.jp/kaikan.html

『女工哀史』と猪名川――名著は兵庫県で書かれた(1)

 日本近代史研究者・小田康徳先生の『猪名川史話―兵庫川西・川とくらしの地域史』が2017年夏ごろには刊行されます。それに先立ち、関西の労働史にかかわりの深い部分を抜粋し、4回に分けて連載します。予告編がこれだけ面白いと本編が楽しみですね。

 大正14年(1925)7月に初版が発行された『女工哀史』のことを、ここでお話しましょう。これは、戦前の日本資本主義を底辺で支えた女子労働者の生活記録として、彼女らの働く紡績会社の労働現場を記録するものとして、また文学作品としても不朽の価値を持っています。もちろん、『女工哀史』については教科書にも出てくるものですから、もはや、あれこれ説明する必要はないでしょう。しかし、この著書のかなりの部分が、多田村新田(現在川西市)の猪名川染織所でこの著者とその妻が働きながら書き続けていたことはご存じだったでしょうか。著者らが猪名川の流れに心を癒されながらこの不朽の名作を書き綴っていたこと、これは猪名川の歴史にとっても欠かすことができません。ここで、ぜひ紹介しておきたいと考える所以です。


※写真:細井和喜蔵・としを夫妻が暮らした猪名川付近の現景―多田神社を望む(小田康徳氏提供)

 『女工哀史』の著者は細井和喜蔵。明治30年(1897)5月8日、京都府与謝郡加悦町加悦谷に生まれました。関西の工場で職工生活に入り、やがて労働運動に参加します。そのため「黒表(ブラックリスト)」がついて就職ができなくなったと自分で述べています(『女工哀史』自序)。彼は、東京に出て仕事につきながら、いつかはみずからが体験してきた紡績女工たちの劣悪な生活実態を小説的、散文的にまとめてみようと思い立ちます。そして、東京の工場で働きながら、少しずつ書き始めようとしていたのですが、またまた工場の争議に巻き込まれてそこも辞めざるを得なくなってしまいます。こうして彼は二年前に結婚していた妻としをの仕事とその収入に頼りつつ『女工哀史』の文章を書き始めたのです。大正12年(1923)7月、26歳の時でした。

 さて、このままならば、この名著は東京で書き上げられていたと思われますが、運命というのは不思議なものです。大正12年9月1日に起きた関東大震災で、震災後数日は東京で過ごしていたのですが、労働運動家は殺されるという友人の警告を聞いて、彼らは、取るものもとりあえず、二人で家を出、上野〜直江津〜名古屋〜岐阜へと回って、やがて大阪四貫島の東洋紡績社宅に住む昔の知り合いの家に厄介になり、続いて世話する人の勧めで多田村の猪名川染織所に勤務することとなったのです(高井としを『わたしの「女工哀史」』)。

 ところで、多田村の猪名川染織所といま簡単に書きましたが、ここを特定するにはいろいろ調べることが必要でした。細井和喜蔵の『女工哀史』自序には「兵庫県能勢の山中へ落ち延びて小やかな工場へはいり」とだけあります。これでは工場は特定できません。

 はてさて、どのように調べてこの工場を特定したのでしょうか、そのお話は次回で。(つづく)(次回は12月末の予定)

<小田康徳>
1946年生まれ。大阪電気通信大学名誉教授。NPO法人旧真田山陸軍墓地とその保存を考える会理事長。あおぞら財団付属西淀川・公害と環境資料館館長。主な著作は『近代日本の公害問題―史的形成過程の研究』・『歴史に灯りを』など。『新修池田市史』など自治体史にも多数関係している。川西市在住。

市民アーカイブ多摩にエル・ライブラリーがデビュー

f:id:l-library:20161125133737j:plain:left 報告が遅くなりましたが、7月29日に館長谷合が市民アーカイブ多摩(東京都立川市)にお呼ばれして講演した内容が、『アーカイブ通信』no.8(ネットワーク・市民アーカイブ編集発行)に掲載されました。

 市民アーカイブ多摩は2014年4月に設立された、多摩地域を中心とした個人や団体が発行する通信・会報など市民活動資料を収集公開する民間のアーカイブズです。
 そもそもは、東京都立多摩社会教育会館市民活動サービスコーナー事業が2002 年に廃止となり、そこで収集された市民活動資料ダンボール500 箱を散逸させてはいけないという運動から始まりました。アーカイブズの来歴が当エル・ライブラリーと似ていますね。募金活動を行って開館にこぎつけたということで、現在までずっと市民ボランティアによって運営が続けられています。
 「過去・現在・未来における資料の共有を内実とする、“ 市民活動資料を共有する思想” を創造していきます」と、設立の趣旨に謳っておられます。大変共感することが多いアーカイブズです。

 市民アーカイブ多摩では「緑蔭トーク」という講演会を定期的に開催しておられますが、谷合は特別編として急遽登壇させていただきました。そこでは、エル・ライブラリーという資料館がどのように生まれ、どのように駆け足でここまで運営を続けてきたか、市民に支えられ市民を支える図書館・アーカイブズとしての歩みを語りました。

 最新号の「アーカイブ通信」(2016.11月号)にはその時の抄録が掲載されています。同誌は8ページと短いのですが、全頁カラー印刷の美しいものです。エル・ライブラリー内で限定部数配布していますので、お早めに手に取ってご覧ください。

新着雑誌です(2016.11.25)

今週の新着雑誌です。
新着雑誌は閲覧のみです。貸出はできません。
労務事情 No1329 2016.11.15 (201269826)
ビジネスガイド No831 2016.12.10 (201269842)
労働法律旬報 1874号 2016.10.25 (201269784)
賃金と社会保障 1668号 2016.10.25 (201269818)
賃金と社会保障 1669号 2016.11.10 (201269735)
労働法令通信 No2433 2016.10.28 (201269875)
労働法令通信 No2432 2016.10.18 (201269909)
労働法令通信 No2434 2016.11.8 (201269768)
労働法令通信 No2435 2016.11.18 (201269792)
月刊人事労務 333号 2016.10.25 (201269701)

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『飾らず、偽らず、欺かず 管野須賀子と伊藤野枝』

 田中伸尚著(岩波書店/2016年10月/四六判240頁)

 
 「大逆事件」(1910−11年)で処刑された唯一の女性、管野須賀子(かんの・すがこ)。その約10年後、「甘粕事件」(1923年)で憲兵隊に虐殺された伊藤野枝(いとう・のえ)。女性を縛る社会道徳や政治権力と対決し、コンベンショナルから脱出し、自由を求めて疾走した二人の生と思想を、「歩いて書く」という書法で調べた関係者の証言や資料をもとに描き出した、読み応えのある示唆深い書である。
 書名の「飾らず、偽らず、欺かず」は、須賀子の獄中手記に書かれた言葉。
大逆事件」については、第59回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した、同著者の『大逆事件―生と死の群像』(岩波書店)に詳しい。
 二人は14歳違うが、思想系譜や活躍の舞台から考えれば出会いがあってもいい筈であるのに、権力・軍部の理不尽極まりない暴力によって、二人とも30歳前に命を断たれて、出会うことがなかった。須賀子の刑死の翌年に、野枝が表現の舞台にデビューしたことになる。
 著者によれば、須賀子は、みずからアナキスト無政府主義者と名乗った「最初の女性」であり、もともとクリスチャンのジャーナリストだが、国家ではなく個人の生や思想を尊重し、女性の人権を大事にする世界に変革するにはアナキズムだと考えるようになった。当時としては当たり前だった忠君愛国主義者だった彼女が、社会主義者との出会いの中で、その思想を変革成長させていく過程も丁寧に実証されている。
 そして、野枝も、堂々とアナキストを名乗り、女性としては、須賀子についで二人目だったと述べている。思想の自由が極端に狭められた「冬の時代」に、互いに出会うことがなかったとしても、見えないバトンを受け取ったのだと思うと、共通点を見出している。

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新着雑誌です(2016.11.12)

今週の新着雑誌です。
新着雑誌は閲覧のみです。貸出はできません。
労務事情 No1328 2016.11.1 (201269503)
賃金事情 No2728 2016.11.5 (201269560)
人事実務 No1166 2016.11.1 (201269594)
労働経済判例速報 2289号 2016.10.30 (201269537)
労働者の権利 vol.317 2016.10.25 (201269677)
月刊人事マネジメント 311号 2016.11.5 (201269479)
労働法学研究会報 No2632 2016.11.1 (201269644)

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新着雑誌です(2016.10.31)

今週の新着雑誌です。
新着雑誌は閲覧のみです。貸出はできません。

労政時報 3918号 2016.10.28 (201269529)
賃金事情 No2727 2016.10.20 (201269495)
企業と人材 No1044 2016.10.5 (21269552)
労働経済判例速報 2288号 2016.10.20 (201269636)
労働判例 No1140 2016.10.15 (201269602)
別冊中央労働時報 1502号 2016.9.10 (201269669)
別冊中央労働時報 1503号 2016.10.10 (201269461)
賃金と社会保障 1667号 216.10.10 (201269586)
月刊人事労務 No331 2016.8.25 (201269610)

詳細な目次はこちら

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