名取市における 東日本大震災の概要


名取市における 東日本大震災の概要』名取市総務部震災記録室 編集(宮城県名取市/2015年3月/A4版 118p)
東日本大震災 名取市の記録』名取市総務部震災記録室 編集(宮城県名取市/2014年10月/A4版 400p)
(右の写真は本書とともに出版されたDVD。「震災を語り継ぐ人々」というDVDも合わせて発刊)

 名取市は、仙台市の南東に隣接する人口約7万3500人(被災年の2月末)の市である。東西に長い長方形をなしているが東端は海岸であり、東日本大震災においては地震に加えて津波の激しい被害にあった。今回紹介する2冊の本は、名取市における東日本大震災の記録であり、ともに公式記録、写真、個人の寄稿などを含む包括的で、放射能汚染の記述が少ないこと以外はバランスの取れたものとなっている。

 『名取市における 東日本大震災の概要』(以下、『概要』)は比較的コンパクトで写真が中心なのに対し、『東日本大震災 名取市の記録』(以下、『記録』)は地震津波の一般理論から、東日本大震災のメカニズム、被害状況、各部門の応急対応、復旧、復興までよりいっそう包括的な記録である。また、表・図・写真・個人の体験文などが適宜に組み込まれ、文とビジュアルな要素、キチッとした記録と生きた体験が組み合わされ、すぐれた資料集となっている。とりわけ、写真や体験文は6年たった今でも心に響き、図表や文章は時を経てしっかりした認識を与えてくれている。

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新着雑誌です(2017.1.20)

今週の新着雑誌です。
新着雑誌は閲覧のみです。貸出はできません。
労務事情 No1131 2016.12.15 (201270071)
賃金事情 No2731 2016.12.20 (201269982)
人事実務 No1167 2016.12.1 (201270014)
人事実務 No1168 2017.1.1 (201270048)
労働判例 No1144 2016.12.15(201270154)
ビジネスガイド 54巻1号 2017.1.10 (201270105)
ビジネスガイド 834号 2017.2.10 (201270139)
労働判例 No1145 2017.1.1.・15 (201269958)
労働経済判例速報 2293号 2016.12.10.20 (201270097)
労働経済判例速報 2294号 2017.12.30 (201270121)
労働法律旬報 1878号 2016.12.25 (201270162)
月刊人事労務 334号 2016.11.25 (201270063)

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『日本における社会改良主義の近現代像 ―生存への希求』

 玉井金五・杉田菜穂著(法律文化社/2016年11月/A5判292頁)

 本書は、人口・社会問題を軸に、戦前戦後における社会改良主義の学問的鉱脈を丁寧に探索して現代と対峙する、社会政策論の体系的な専門書である。11の章と2つの補章から構成されているが、それぞれが独立の共同執筆論文なので、専門書は苦手でも、関心のある部分から読み始めても、本書の前提となる方法論に到達できる。

 書名の「社会改良主義」については、新自由主義に対して社会民主主義的見解が対置されるが、1897年発足の社会政策学会は、その学会趣意書(1900年策定)において、「社会改良主義」を標榜してきたし、実際の日本の政策・制度は中間的な社会改良主義的な考えに基づいて運営されているのだから、その中身を厳密に精査して現代的課題に立ち向かいたいというのが、本書の立場である。改良志向の社会政策という分野で論陣を張った者を中心に光をあてている。思想・学説と政策・制度の間の距離を見極めつつも、その密接な関係性を、日本の社会政策の歩みとして丁寧に検証している。

 日本社会政策論の系譜は、<経済学>系と<社会学>系に分類され、<経済学>系の象徴とも言うべき大河内一男の社会政策論が、労使関係や労働問題を軸にした研究に大きく影響を与えたことは周知のことであり、本書で改めてその影響の広さ・深さを学ぶことができる。だが、本書では、これまでの社会政策論史において論及が少なかった<社会学>系社会政策論が果たしてきた役割を戦前まで遡って発掘して再定置することに重点を置いている。その過程は、「人口問題と社会政策」の系譜とも言いかえられるとしている。

 目次を以下に全部記載するのは、本書がいかに体系的に構成されているか、個別には知られている研究者が日本社会政策論史においてどのような系譜に位置づくのかがわかって読みたくなると思うからである。例えば、筆者の関心から言えば、森本厚吉の消費経済論が、どのように位置づいているのか、家政学ジェンダー研究において、欠かすことのできない先駆者の一人であったことが理解できた。(伍賀偕子・元「関西女の労働問題研究会」代表)

目次
 序章 社会政策と現代の対話 課題と方法
 第1部 社会政策と分析視座
第1章 日本社会政策論の系譜 <経済学>系と<社会学>系
第2章 <社会学>系社会政策社会保障社会福祉 福武直の世界
第3章 社会政策と厚生経済論の交差 福田徳三と大河内一男
第4章 日本社会政策思想の潮流 <市場>経済と<非市場>経済
 第2部 社会政策と生命・生活
    第5章 1910〜20年代の日本進歩主義者の群像  「救貧」から「防貧」へ
    第6章 戦前日本の社会政策と家政・生活問題 森本厚吉の消費経済論
    第7章 日本における<都市>社会政策論 山口正と磯村英一
第3部 社会政策と人口問題
   第8章 人口問題と日本社会政策論史 南亮三郎の位相
   第9章 人口の<量>・<質>概念の系譜 上田貞次郎と美濃口時次郎
   第10章 戦前から戦後における人口資質概念の史的展開
   第11章 人口抑制から社会保障へ 人口認識の形成過程
終章  人口・社会問題のなかの社会政策 結びと展望
補章1 戦後日本における社会開発論の生誕
補章2 日本社会保険制度史と近藤文二

  

『女工哀史』と猪名川 ― 名著は兵庫県で書かれた(2)

 前回は、どうして「能勢の山中」が多田村だったのかという所まででした。
今回はその謎を解き明かします。

 (下の写真は猪名川染織所の登記地番の現景

  工場は、ここから右(西)側にかけて広がり、多田神社参詣道をはさんで事務所・寄宿舎・寮・売店などが並んでいたと思われる)

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 しかし、『女工哀史』の本文には、「大阪の大資本家喜多又蔵氏の経営にかかる兵庫県猪名川染織所」という名が何ヶ所かに出てきます。そして、たとえば労働者の住居の様子について、「表面だけ二十六畳部屋に定員二十二人としておき、その実三十三人まで入れてゐる。こうなるともう入れるのではなくして無理矢理に押し込むのだ。全く足の踏み入れ処が無い。其の上此処はまた一つの部屋の配置については棟々を「松の寮」、「竹の寮」、「梅の寮」とか「何分舎」とか称え、部屋は「何十何号」と呼ぶ」といった具合に、実に見ていなければわからないことを記述しているのです。

わたしは、この「猪名川染織所」というのが本人たちの働く工場であり、またそのそばの住まいで『女工哀史』を執筆していたと目星を立てていたのですが、決め手がありませんでした。なにより、『川西市史』にこのような名前の工場の記録が全く出てきていないのです。川西村を川西町へという村議会の議案書の中には紡織関係として「大阪織物株式会社猪名川分工場」というのが出てきますが、名前がどうもあいません。しかもこれは、阪急の能勢口駅と官有鉄道の池田駅を中心に都市化し始めている川西村所在の工場です。

また、最近岩波文庫から出版された細井和喜蔵の妻だった高井としをの『わたしの「女工哀史」』は、この間の出来事を詳細に語っていて、たいへん分かりやすいのですが、そこには「兵庫県猪名川の上流の多田村にあった猪名川製織所へ入社した」とあって、「猪名川染織所」とはなっていません。しかも、この名前の会社も『川西市史』には出てきていないのです。

ただ、多田村という村名が出てきたのは、この本が最初です。間違いなく現在の川西市内にあった工場です。しかも、能勢口駅から能勢電車に乗っていくので、よそから来た人には「能勢の山中」といっても差し支えはありません。これは大きなヒントになると思いました。そこで、念のためにと考えてネットで「猪名川染織所」を検索してみました。そうすると、大原社会問題研究所の所蔵する労働争議に関する調査資料の中に「猪名川染織所」の労働争議調査表が出てきて、手書きのメモで「兵庫県川辺郡多田村」と記入されています。争議発生時期は大正十五年となっています。また、ネットにはもう一つ、『官報』が掲載されており、第四三〇二号(大正一五年一二月二四日)に内務省告「第二三九号」で健康保険組合の設立を認可しているのです。それが喜多合名会社(大阪市西区江戸堀南通二丁目十三番地)で、組合の名称「猪名川染織所健康保険組合」、事務所の所在地「兵庫県川辺郡多田村新田字下川原二百六十二番地ノ一」となっています。なお、この健康保険組合解散についても官報があり、昭和七年七月一日であることが明示されています。まさしく、細井和喜蔵が『女工哀史』本文で何度か紹介している大阪の資本家喜多又蔵の会社「猪名川染織所」そのものです。だから、もうこれに間違いないと考えられるようになったわけです。高井としをが「猪名川製織所」と記載しているのは「猪名川染織所」の勘違いだったというべきです。なにしろ、一九八〇年という相当後年になって記述された自伝ですから、間違ったとしても無理はないと思います。むしろ、よく似た名前を五七年ものあいだ覚えていたことの方に驚きます。それだけ、思い出も深いものがあったのでしょう。(つづく)

<著者・小田康徳>

 1946年生まれ。大阪電気通信大学名誉教授。NPO法人旧真田山陸軍墓地とその保存を考える会理事長。あおぞら財団付属西淀川・公害と環境資料館館長。主な著作は『近代日本の公害問題―史的形成過程の研究』・『歴史に灯りを』など。『新修池田市史』など自治体史にも多数関係している。川西市在住。

 

 

 

新着雑誌です(2016.12.28)

今週の新着雑誌です。
新着雑誌は閲覧のみです。貸出はできません。
労政時報 3921号 2016.12.9 (201269941)
労政時報 3922号 2016.12.23 (201270147)
賃金と社会保障 1670号 2016.11.25 (201269974)
労働法律旬報 1877号 2016.12.10 (201270006)
労働経済判例速報 2292号 2016.11.30 (201270030)

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『映像が語る「地方の時代」30年』

 今回から寄贈本紹介の執筆スタッフが新たに加わりました。ボランティアのNさん(男性)です。図書館員の経験はないのですが、これまでもエル・ライブラリーで時々配架作業や目録整理作業を手伝っていただいておりました。ではNさん執筆の「寄贈本紹介」、第1回目は6年前に出版された以下の図書です。

※※※
映像が語る「地方の時代」30年
「地方の時代」映像祭実行委員会 編(岩波書店/2010年11月/四六判 本文178p 資料66p)

 1978年7月、横浜市で開かれたシンポジウム「地方の時代」の基調講演「地方の時代を求めて」で、長洲一二(ながす・かずじ)神奈川県知事(当時)は新しい文明論を提起した。その中で長洲氏は、戦後30年にわたって進められた中央集権的近代工業化が歪みを生み行き詰まっていると指摘し、それを打破し、人間復興の社会を作り直していくために必要なのが「地域」「地方」を見直すこと、そのための「歴史的キーワード」が「地方の時代」だと提唱したのである。
 2年後の1980年から、地域の放送局、ケーブルテレビ局、市民・学生・高校生や自治体などによって、「地方の時代」は具体化される。「地方の時代」映像祭である。
 さらにその翌年、1981年から、基調講演やシンポジウムに加え、映像作品のコンクールが開かれるようになった。それから本書刊行の2010年の第30回映像祭までに3000作品を越える映像が出品されている(この映像祭は本年2016年も開催された)。

 3000作品というと相当な数だ。巻末の入選作リストを見ても多種多様であり、作品リストがそのまま「『地方』からこの国を見るとどうなるのか」の見事な提示になっている。中でも目立つのは、第1に国や企業の巨大開発に翻弄される地域を見つめ、その矛盾を問いかける作品群。第2に地域に内在する課題に地域自らがどう向き合ってるか、そのあり方を問い、あるいは地域の「内発的発展」への努力を描いた作品群。第3に、弱きもの、差別された人たちの視線で時代を問うものである。第4は、戦争や原爆の証言をつたえる作品群。第5に、地域に生きる人々の暮らし、伝統文化、しきたり、家族愛などを静かに見つめる諸作品がある。

 本書は、19人もの著作者からなる。その概要は、第1に、「地方の時代」という理念がどのような役割を果たしてきたか、十分に開花しなかったとすれば、それはなぜか、また今後求められる「真の地域主義」とは何かを考える。第2に、「地方の時代」映像祭の30年はどういうものだったか確認する。また、各地域で映像作品は何を伝えようとしたのか、どのような役割を果たしえたかを各地の制作者が具体的に報告する。第3に、今後、地域は何をどう目指していくか、その中で地域のメディアはどのように取り組むべきなのか考察していく。

 本書はまた、上記のように、「地方の時代」映像祭にさまざまな形でかかわってきた多数の著者による諸論考が一方にあり、他方、詳しい「地方の時代」映像祭資料(各回の開催概要、審査員一覧、受賞作品一覧・5年ごとの受賞作品紹介と概説)があって、論考・資料の両面から「地方の時代」30年を理解することができる。

[目次・著者一覧]
 序として――地域からこの国を問う  市村 元

第1章 「地方の時代」の30年
 「地方の時代」の背景と展望  後藤 仁
 「地方の時代」30年を総括する  新藤宗幸
 「地域主義」回復のために  富野暉一郎

第2章 「地方の時代」映像祭の30年
 きわめて私的なドキュメンタリー 回想の「地方の時代」映像祭  吉田喜重
 「地方の時代」映像祭の審査から見えたもの  結城登美雄
 作品コンクールから見えるもの  辻 一郎

第3章 地域からの発言
 「地底の葬列」が見つめた夕張  後藤篤志
 仙台三部作を撮る――「イグネ」「つかい川」「イナサ」  伊藤孝雄
 伝えたい! 地方の温かさと実態を  中崎清栄
 やぶにらみドキュメンタリー  阿武野勝彦
 地方の異邦人  曽根英二
 オキナワからの発信  山里孫在

第4章 これからの「地方の時代」と地域メディア
 地域メディアの「身土不二」  中村耕治
 地域メディア宣言  樋泉 実
 地域メディアとしてのケーブルテレビ  丸山康照
 「地方の時代」とローカルジャーナリズム  吉岡 至
 「地方の時代」映像祭のこれから  音 好宏

 あとがき  市村 元
 「地方の時代」映像祭資料 (濱崎好治・音 好宏)

(ボランティアN)

新着雑誌です(2016.12.9)

今週の新着雑誌です。
新着雑誌は閲覧のみです。貸し出しはできません。
労政時報 3920号 2016.11.25 (201269800)
賃金事情 No2729 2016.11.20 (201269990)
賃金事情 No2730 2016.12.5 (201270022)
企業と人材 No1045 2016.11.5 (201269743)
企業と人材 No1046 2016.12.5 (201269776)
労働経済判例速報 2291号 2016.11.20 (201270055)
労働判例 No1143 2016.12.1 (201270089)
労働法律旬報 1875号 2016.11.10 (201269917)
労働法律旬報 1876号 2016.11.25 (201269719)
旬刊福利厚生 No2111 2016.11.8 (201269883)
労働基準広報 No1904 2016.10.21 (201269891)
労働基準広報 No1905 2016.11.1 (201269867)
労働基準広報 No1906 2016.11.11 (201269925)
労働基準広報 No1907 2016.11.21 (201269933)
労働基準広報 No1908 2016.12.1 (201269966)

詳細な目次はこちら

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