エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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「炭鉱の記憶と関西」展の収支と寄付者一覧

 5月5日から始まり、6月30日に終わった巡回展「炭鉱の記憶と関西 三池炭鉱閉山20年展」については、たびたびこのブログで取り上げてきました。

 今回は、エル・おおさか会場で開催した展示会とそのプレイベントについて、収支報告を行います。合わせて、寄付者のお名前を掲載いたします。

 エル・おおさかで開催した5日間の展示とその2年前から行ってきたプレイベントについては、寄付によって費用を賄いました。寄付してださった方のうち、氏名公開を承諾された方だけ掲載します。この他大勢の匿名の皆様も含め、ご厚志に改めて感謝申し上げます。

 

氏名(敬称略)
青木 恵理子
浅川 肇
東 恵子
荒木 伝
杏 さだ子
飯塚 健二
池内 靖子
池口 忠史
池田 知隆
石田 勉
伊藤 悦子
伊藤 武志
伊藤 ツヤ子
稲垣 房子
犬養 光博
井上 泰行
今村 栄一
岩下 好夫
岩本 京子
石川 孝織
上田 茂
上田 孝子
鵜飼 雅則
内田 太治
宇仁 宏幸
宇野 京子
宇野田 尚哉
Eric Seki
江口 祐二
江嵜 文寿
衛藤 社司
江頭 充子
一般社団法人大阪労働者福祉協議会
大阪の社会労働運動を伝承する同志会のメーデーを語る会参加者ご一同
大坪 正敏
大庭 伸介
織田 喬企
大島 玲子
柿山 朗
片岡 喜彦
片山 聡子
勝山 吉章
加藤 学
鎌田 慧
神代 弘子
笠原 良太
北村 千代子
木村 至聖
菊池 美幸
楠元 辰雄・貞枝
久保 在久
熊谷 博子
栗田 正雄
栗村 英昭
黒川 伊織
小園 廣美
株式会社工房レストア
古賀 崇
伍賀 偕子
小坂和子
後藤 厚
小浜 正子
古玉 浩子
佐伯 知美
坂本 聡男
佐々木 央
佐々木 勝
佐藤 和義
佐藤 忠則
酒本 美千江
嶋崎 尚子
下村 勉
新藤 慶
清水 拓
嶋崎 尚子
末田 一秀
杉本 一男
鈴木 不二一
積 勝昭
関島 秀樹
瀬戸 宏
想思社
高井良 健一
高田 和人
高田 光良
瀧口 憲一
竹中 恵美子
立石 武博
立石 俊博
立山 生一
田中 信幸
谷合 佳代子
炭鉱映画上映会会場カンパ
炭鉱の記憶と関西展来場者
玉野 和志
千本 沢子
千本 英史
千葉 武
張 龍龍
塚本 泰史
津畑 順子
津崎 さおり
寺本 和哉
殿村 元一
鳥羽 耕史
刀根 正行
中島 玲子
中谷 文美
長谷 みどり
なかまユニオン
永吉 守
中澤 秀雄
二階堂 達郎
西川 直治
西日本旅客鉄道労働組合中央本部
西牟田 真希
西村 一郎
西本 英幸
西矢 恵子
西城戸 誠
野田 仁
野中 尊立
橋本 清澄
蜂谷 紀代美
羽野 実子
濱﨑 忠勝
浜田 祥子
濱本 哲
早川 鉦二
林 啓恵
林 信男
林 啓恵
林田 吉智
原 秀志
原口 節子
畑山 直子
東川 絹子
平川 道治
平嶋 康正
平野泉・平野恵嗣
平畑 金一
広瀬 哲裕
福井 漻子
藤田 敏雄
藤田 美代子
古川 英児
古澤 博
藤田 清香
福田 珠己
法政大学大原社会問題研究所有志
本郷 隆夫
本田 逸夫
前川 武志
前川 俊行
前川 誠
増田 和生
松浦 雄介
三上 章道
三上 弘志
みつや交流亭のイベント参加者有志
港 健二郎
南 輝夫
三宅 美千子
宮本 隆史
宮脇 好光
向井 美香
宗 邦洋
森崎 東
森久 聡
安田 孝
山川 文子
山﨑 勝司
山﨑 弦一
山田 均
山口 秀樹
横川 輝雄
李 相才
龍 健三郎
若島 敏夫
脇本 ちよみ
渡辺 百合子

 その他46名の匿名の方を含め、総計2,449,494円を頂戴しました。

 

<収支報告>

エル・ライブラリーの収支のみ(関西大学での開催費は含めない)。プレ企画も含めて2015年4月~2017年7月までの集計。

収 入    税込価格
  寄附金 2,449,494
  入場料(幻灯会) 27,000
  委託料(関大シンポジウム) 40,000
     
収入計   2,516,494
     
支 出    
プレイベント企画 会場使用料(映画上映会)4回分 54,700
  DVD(上映会用) 30,000
  印刷代(ちらし) 6,780
  コピー代 400
  小計 91,880
     
図録 印刷製本費 700部 604,476
  撮影費 317,520
  原稿料 152,274
  記事利用料 7,560
  写真使用料 5,400
  小計 1,087,230
     
展示会 会場使用料 193,320
  展示製作費(人形、模型) 199,600
  展示製作費(幟、パネル等) 150,660
  展示用品(ガラスケース) 199,800
  展示用品(パネル、工具、文具等) 75,638
  イベント代(紙芝居、落語、サロン) 66,745
  画像使用料 22,274
  印刷代(ちらし、ポスター) 41,640
  資料代 5,830
  コピー代 35,000
  雑費 38,396
  小計 1,028,903
     
交通費 交通費(資料収集、展示会往復等) 216,510
     
手数料 振込手数料(寄附金など) 18,360
     
送料 送料(展示品、図録) 110,233
     
支出計   2,553,116

 

新着雑誌です(2017.8.16)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新号は貸出できません。

労務事情 No1345 2017.8.1・15 (201297892)

企業と人材 No1054 2017.8.5 (201099041)

人事実務 No1175 2017.8.1 (201099058)

労働経済判例速報 2315号 2017.8.10 (201297926)

労働判例 No1156 2017.7.1 (201297777)

旬刊福利厚生 No2228 2017.7.25 (201297801)

労働法律旬報 1892号 2017.7.25 (201297835)

賃金と社会保障 1686号 2017.7.25 (201297868)

労働基準広報 No1932 2017.8.11 (201297983)

 

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『女工哀史』と猪名川 ― 名著は兵庫県で書かれた(番外編)

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 写真は細井和喜蔵の紀念碑です(2017年6月23日筆者撮影)。
 京都府与謝野町加悦、丹後ちりめんで知られた町、細井和喜蔵の生家の近く、道路から石段を20段ほど登った高台の広場、鬼子母神の社に隣り合って建てられています。

 背面には

明治三十年((一八九七年)五月九日
当町にうまれ、大正十四年(一九二五年)八月十八日、
東京の亀戸で二十八歳の若い生命を閉ぢた細井和喜蔵は
その紡織労働者としての闘争経歴に基づき「女工哀史」等の
不朽の名著を残した。その名誉のため、在京青山の
無名戦士之墓に呼応して、大方の寄附に「よって
この碑を建てた
 一九五八年秋
加悦町、細井和喜蔵顕彰員会
題字及碑文 「女工哀史の会」代表 藤森成吉

 と刻まれている。

 ここまで細井和喜蔵のことを語ってきた筆者の目から見ると、事実上の妻であった高井としをの名前が刻まれていないこと、「紡織労働者としての闘争経歴に基づき「女工哀史」等の不朽の名著を残した。」とは書かれていても、細井の女工さんたちの生活に対する徹底的な観察、彼女らに対する愛情の存在に触れられていないことなど、不思議な感を抱かせるところもある。

 なお、毎年秋には有志が集まり碑前祭を開いているとの事です。(小田康徳)


新着雑誌です(2017.8.10)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新号は貸出できません。

労政時報 3935号 2017.8.11・25 (201099033)

人事マネジメント 320号 2017.8.5 (201297736)

労働経済判例速報 2314号 2017.7.30 (201297645)

労働法学研究会報 No2649 2017.7.15 (201297678)

労働法学研究会報 No2650 2017.8.1 (201297702)

労働基準広報 No1931 2017.8.1 (201297769)

 

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朝日カルチャーセンターの講座を開きます

 エル・ライブラリーと朝日カルチャーセンターくずは教室との提携で、当館において講座を開催いたします。書庫見学もついてます。

 主催は朝日カルチャーセンターさんなので、申し込みは下記サイトからおねがいします。

テーマ:百年前の労働争議嘆願書に学ぶ社会運動と日本の産業

講師:谷合佳代子(エル・ライブラリー館長) 

開催日:8月26日(土)

場所:エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

地図:http://shaunkyo.jp/access/

<スケジュール>

13:30 受付開始

14:00 見学会開始

14:40 休憩

14:50 講座開始

15:50 講座終了

17:00 ライブラリー閉館まで自由に見学・閲覧可能

www.asahiculture.jp

今週の新着雑誌(2017.7.28)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新のものは貸出できません。

賃金事情 No2744 2017.7.20 (201112240)

労政時報 3934号 2017.7.28 (201112125)

ビジネスガイド No842 2017.8.10 (201112182)

労働経済判例速報 2313号 2017.7.20 (201112208)

労働判例 No1157 2017.7.15 (201292604)

月刊人事労務 2017.6.25 (201112158)

企業と人材 No1053 2017.7.5 (201112216)

労働法律旬報 1891号 2017.7.10 (201292638)

賃金と社会保障 1685号 2017.7.10 (201292729)

労働基準広報 No1930 2017.7.21 (201292661)

労働法令通信 No2458 2017.7.18 (201292695)

月刊人事マネジメント 319号 2017.7.5 (201292737)

 

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『労働史からみた同一労働差別賃金―その変遷と問題点』

柳田勘次著(兵庫県労働史研究会/2017年4月/A5判130頁)送料込み1,000円

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  著者は1931年生まれで、労働運動現役時代の1960年代から70年代には、総評全国金属兵庫地本書記長ならびに委員長を務めながら、多くの研究論文や著書を著しており、その問題意識の鮮明さが伝わる書である。

 1992年に発足した「兵庫県労働史研究会」が日本の賃金の歴史について、特に「同一労働同一賃金」「年功賃金」「電産型賃金」をめぐって研究会で議論を深めた内容を柳田氏がまとめたのが本書である。

 

 <本書刊行の目的と構成>

 本書刊行の目的は、安倍政権の「偽の同一労働同一賃金」に対して「真の同一労働同一賃金」の実現をめざす絶好のチャンスに、職場における差別賃金反対闘争を積極的に組織しながら、「同一労働同一賃金」の立法闘争を強化する必要から、とされている。

 生活賃金(年齢給)と採点給(査定給)という日本の差別賃金制度は、1929(昭和4)年の横浜船渠に導入された「合理的賃金制度」以来、長い歴史をたどっている。

 年功賃金は、終身雇用・企業別組合とともに日本企業の三種の神器と言われ、所与のものとして受け止めがちだが、本書の第一章冒頭は、「その昔、日本は欧米と同じ、横断的労働市場であった」から展開されている。それが、欧米と違って日本ではなぜ長い差別賃金の歴史をたどったのか、先達たちの差別賃金との闘いの分析と教訓を追う。

 目次は以下の通りである。

第一章 戦前の生活給と技能給・採点給

第二章 国家総動員法下の労働政策

第三章 敗戦で大転換した国家体制と有利だった労働情勢

第四章 有利な客観情勢を生かしきれなかった労働運動

第五章 電産型賃金の成立過程にみられる問題点

第六章 電産型賃金をめぐる評価

第七章 職務給の導入とその問題点

第八章 職能資格制度の本質とその問題点

第九章 成果主義賃金の本質とその問題点

あとがき

 

 

 本書では、電産型賃金が戦後の年齢給と査定賃金に及ぼした影響を重視して、その正と負の遺産を詳しく分析している。第六章の電産型賃金をめぐる評価においては、産別会議による指導でも総評賃金綱領でも、「同一労働同一賃金の実現」や「査定賃金」については一言も書かれていなかった、そのために、同一労働同一賃金をめざして電産型賃金の克服に挑戦した単組や支部の闘いは孤立し、厳しい組織破壊攻撃を受けたという総括は、労働運動史の総括にもかかわる重要な指摘であり、より詳細な学びが必要だと感じた。

 「あとがき」(p.83)で結んでいる提起は次の通り。

査定による差別賃金をなくして同一労働同一賃金を早期に実現するためには、査定賃金制度を労働史の視点からフォーカスして、その教訓に学ぶ必要がある。[中略] 年功賃金を守るのではなく、「若年層と中高年層の賃金を共に引き上げて不当な賃金格差を圧縮する必要がある。一例をあげれば、「一律+比例+α」の大胆な賃金闘争が求められている。そうしなければ、歴史に学ぶ意味が失われるといってよい。(p.83)

 

<補録 査定賃金制度に関連する当面の諸課題>

 補録も、本論と同等の重要な提起がされていて、より現代的な課題と結びついている。目次は以下の通りである。

 第一章 企業別組合をめぐる諸問題

 第二章 年功賃金をめぐる諸問題

 第三章 定期昇給の本質

 第四章 差別賃金反対の裁判闘争について

 第五章 同一労働同一賃金の実現に向けて

 あとがき

 

 補論における提起は、「同一技術教育と同一職業訓練同一労働同一賃金の前提」であり、労働組合の課題である。技術進歩は日進月歩だから、労働者の技術教育と職業訓練は喫緊の課題である――と。低賃金層を最低賃金制と公契約条例(生活賃金運動)で底上げして、同一労働差別賃金を是正し、国際的な(企業をこえた)賃金原則にもとづかなければならない。欧米型の職種別・熟練度別賃金をコピーするのでなく、仕事について3年たったら、「普通の熟練工」として一人前の賃金がとれる同一労働同一賃金を目ざすことである。そのためには、同一産業と同一地域の活動家が交流を活発にして、歴史的に検証された実績がある要求方式を参考にし、査定の効果を縮小して格差を是正する要求を決めることである――と。

 

<評者からの付記3点>

 以上、字数の関係で個々の記述の要約はできないが、当研究会の高いレベルの討議には脱帽であり、賃金論の解説書が少ない中で、少々難しいが、集団で学習するテキストとして貴重である。

 ただ、評者から3点付記したい。賃金論争の歴史的分析において、総評時代の「大幅賃上げか横断賃率か」の論争に触れられていないが、その論争の歴史的限界から何を教訓化すればいいのか学びたいと思う。2点目は、同一労働同一賃金の実現のために必要な視点に、「家族数と賃金のリンク」をたちきる前提条件としての社会保障の充実への言及が不可欠なのではないかと思う。

 3点目は、補録第四章「差別賃金反対の裁判闘争について」の記述中、屋嘉比ふみ子が原告となった「京ガス事件」について、「東京地裁での勝訴、東京高裁での勝利的和解」と記載されているが、正確には「京都地裁での勝訴、大阪高裁での勝利的和解」である。全国的な支援闘争ではあったが、主要に担ったのは関西の運動であったし、「同一価値労働同一賃金」原則の歴史的判決であるので、「正誤表」が必要だと思う。 (伍賀偕子(ごか・ともこ) 元「関西女の労働問題研究会」代表)