エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

新着雑誌です(2019.6.5)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労務事情 No1384 2019.5.15 (201342177)

労務事情 No1385 2019.6.1 (201342326)

企業と人材 No1076 2019.6.5 (201342383)

人事実務 No1197 2019.6.1 (201342185)

労働経済判例速報 2376号 2019.5.30 (201342359)

労働判例 No1198 2019.6.1 (201342243)

地域と労働運動 225 2019.5.25 (201342276)

 

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資料に触れて探るワークショップ「大阪社会運動史 大正から戦前の昭和期」

一般社団法人大阪自由大学が主催し、当館が協力するイベントのご案内です。
 エル・ライブラリーが所蔵する資料の現物を見て触れて、そこから何が読み取れるかを参加者が考えるワークショップ。
 たとえば第2回の「田万コレクションに見る発禁雑誌など」。
 一枚の墨書ラブレター、そこには大正時代の京都帝大生が婚約者に送った熱い思いが書かれていて、微笑ましいものです。その学生が長じて労働弁護士となり、社会大衆党代議士となって国会で演説した手書きの草稿が当館に寄贈されています。これらを書いた人が「田万清臣(たまん・きよおみ)」です。
 田万弁護士は発禁になった雑誌をたくさん所蔵していました。そのコレクションを見て、大正昭和初期の労働者文化に思いをはせてみましょう。
 その他、全3回の講座すべてで、当館所蔵のお宝資料を受講生のみなさんに実際に手とって見ていただきます。そして、その資料を読み解いてもらいます。一通の嘆願書から世界史が見える。一枚の労働組合旗から労働者の矜持や映画史が見える。 
 そんなワクワクする歴史講座、ぜひご参加ください!
 
2019年7月1日、7月8日、7月22日、いずれも月曜午後2時から4時まで。
会場:エル・ライブラリー

アクセス:http://shaunkyo.jp/access/

講師:谷合佳代子(エル・ライブラリー館長)
   黒川伊織(エル・ライブラリー特別研究員)
参加費:各回1000円

申し込み:kansaiforum@gmail.comまでメールで。
主催:一般社団法人大阪自由大学
協力:エル・ライブラリーf:id:l-library:20190530163315p:plain

 

新着雑誌です(2019.5.30)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

賃金事情 No2783 2019.5.5 (201342151)

賃金事情 No2784 2019.5.20 (201341955)

労働経済判例速報 2375号 2019.5.20 (201341989)

労働法律旬報 1935号 2019.5.10 (201342011)

労働法令通信 No2521 2019.5.28 (201342078)

労働情報 No982 2019.6.1 (201342045)

 

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神戸映画資料館の「収蔵フィルムで辿る組合映画史」上映会にいきました

 ボランティアの森井です。

 労働組合が制作した映画によって労働運動・社会運動の歴史を振り返る上映会が5月18日・19日・25日・26日の土・日にJR新長田駅南の神戸映画資料館で開催され、筆者は4日間すべて見てきました。組織統合などの変遷のせいで組合自身が処分した可能性のあるフィルムを安井喜雄館長がこつこつと収集し、うち18本を16ミリフィルムで上映するという企画でした。

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 期間前半の18・19日で特徴のある作品は、「ドキュメント輪禍 むちうたれる者」(1969)でした。今でこそ「認知」されているむち打ち症を、タクシー運転手の労働実態から追及していく作品ですが、従来の組合の運動大会を主体とせず、現場でインタービューする手法をとったため、ある意味前衛的な映画でした。(上の写真は本作のポスター。製作公開当時のもの。安井喜雄氏提供)

 後半の25・26日では「前線 封建制100年との闘い」(1977)が圧巻でした。全逓の郵便局の特定局(田舎の地主が局長になり特権かざす、世襲などが蔓延る)の撤廃に向けての運動を丹念に描いていました。特定局を巡回して局の都合のいいよう変動的に働かされる女子局員への聞き取り証言。特定局で組合に入った女子職員へのパワハラ。立ちっぱなしの作業で流産しかかったというケースも。組合に加入した途端に一年間局長や局員が口をきいてくれなかったという場合もあり、運動の厳しい局面が描かれていました。

ラストの安東民兒(あんどう・たみじ)監督の「自由への伝言 この辿る道」(1984)は、様々な冤罪事件や弾圧事件をそれぞれ当事者の証言をていねいに取材構成する形式で、1時間弱でも全く飽きさせない作品でした。安東監督のトークもあり(下の写真)、就職への影響を案じた家族の要請により取材した人名のクレジット表示を外した裏話など、当事者への配慮も興味深いものがありました。

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 釜ヶ崎でのあいりん地区総合センターの閉鎖など労働者を取り巻く環境が悪化する中で、国鉄、三池、大映闘争ほか労働組合が制作や支援して作られた記録映画が18作一挙上映されたのは、メーデーの5月に開催された画期的な特集上映だったと思います。(森井雅人、エル・ライブラリーボランティア司書) 

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.(上の写真)神戸映画資料館所蔵資料の表紙。映演総連大映労働組合『第38回定期全国大会議案書』と『大映闘争の記録』。

 <作品名一覧>

「号笛なりやまず」
「白い機関車」
「失業 —炭鉱合理化との斗い—」
「日本の政治」
「三池のたたかい」
「炭鉱(やま)」
全逓青年婦人全国大交流集会」
「ドキュメント輪禍 むちうたれる者」(1969/67分)
「東京’69 ── 青いクレヨンのいつかは…」(1969/28分)
「鬼ッ子 —闘う青年労働者の記録—」(1969/78分)
「映画の灯は消さない ─大映斗争の記録─」(1972/17分)
「黄色いゼッケン 闘争1000日の記録」(1974/32分)
「説得 ─かわち.1974.春─」(1974/56分)
「反合理化闘争の記録」

kobe-eiga.net

 

新着雑誌です(2019.5.24)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 3972号 2019.5.10 (201342086)

月刊人事マネジメント 341号 2019.5.5 (201342128)

労働法学研究会報 No2693 2019.5.15 (201342110)

労働法律旬報 1934号 2019.4.25 (201342052)

労働判例 No1197 2019.5.15 (201342144)

労働法令通信 No2518 (201342003)

労働法令通信 No2519 2019.5.8 (201342037)

労働法令通信 No2520 2019.5.18 (201342060)

労働基準広報 No1994 2019.5.21 (201341971)

賃金と社会保障 1729号 2019.5.10 (201341948)

月刊人事労務 363号 2019.4.25 (201342094)

 

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『大阪砲兵工廠物語~創立150年 新聞記事を中心に』

『大阪砲兵工廠物語 創立150年 新聞記事を中心に』

 久保在久著(耕文社/2019年5月/四六判112頁)

(写真はWikipediaより。化学分析場跡)

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 本書は、大阪砲兵工廠(戦前日本最大級、アジア最大級の兵器工場)が大阪城周辺で作業を開始して150年という節目を機に、久保在久によりまとめられたものである。

 久保による「大阪砲兵工廠」に関わる著書は、本書が初めてではなく、1987年に日本経済評論社から『大阪砲兵工廠資料集』上巻、下巻『大阪砲兵工廠衛生調査報告書』が上梓されており、「日本産業技術史学会資料特別賞」受賞に示されるように、高い評価を得ている。

 本書は、そのような蓄積の上に、戦前・戦後の「大阪毎日新聞」「大阪朝日新聞」記事を中心に4年をかけてマイクロフイルムを総当たりして検索し、読みやすさを意識して編纂されている。全体の流れは、「明治期」「大正期」「戦前昭和期」「戦後期」に区分して時系列に記述されており、300項目に近い見出しがそのまま目次になっていて、どこからでも読み始められる構成となっている。

 著者による「大阪砲兵工廠」史料収集と紹介は、「大阪産業革命の原点」という視点が重要な軸となっている。幕末から明治にかけての兵器のうち大砲は、輸入品で粗悪なものが多く、砲兵工廠の整備が急がれて、東京では銃砲を、大阪では大砲を製作することになった。日本最後の内戦となった西南戦争(1877年)における官軍の兵器補給廠の役割を大阪砲兵工廠が担ったこと、日清戦争日露戦争における工場敷地拡張が記述されている。兵器製造・修理が主目的とは言え、西欧先進国の最新技術が導入され、技術革新の蓄積が図られるなかで、大正期には、全国各地や海外からの特別注文に応じ、軍用自動車をはじめ関連企業でのアルミニウム製器具等の製造の技術移転がなされた。

 職工の労働実態や生活についての検証が刻銘なのが、本書の特徴でもある。大正5年4月には、職工26,000人、(うち女工2,000人)従業員5,000人が在籍、退職者が月に600人いる代わりに、採用者が1,000人もあり、差引毎月400人が増加している計算になる。

 出入りが激しい裏には、労働者の負傷・疾病率が高く、疾病統計も詳細に追跡されている。当然のことながら、労働者の不満・鬱積は激しく、陸軍省直轄の工場で最初の労働争議が、明治39(1906)年7月1日に起きている。日露戦争後の1,600名馘首に対して、退庁する官吏を職工が襲撃する事態に、玉造署からの警部派遣で鎮圧にかかったが、11月には、職工1万人を糾合して2名の代表を選出して、賃上げ交渉に及ぶが、当局はその2名を解雇、反抗を強めた職工は、18,000人を結集して20人の代表を選出して、要求項目を提起、職工が4~5人集まれば、直ちに憲兵が解散を命じるが、助役が袋叩きにされて川に投げ込まれる事件が何件も起こるという繰り返し。職工側は団結を強め、解雇された10名の生活費全額を拠出金で保障しあった。かくして、大正8(1919)年11月9日、大阪砲兵工廠労働団体「向上会」が誕生し、八木信一会長が選ばれる(発会式は森ノ宮小学校雨天体操場で、1周年記念大会は中之島中央公会堂)。当局側は、家族慰安会等の懐柔策をこらす。

 八木信一は、大正10年「全国官公業総同盟」発会のイニシャティブをとり、普選運動盛り上げのリーダーともなり、厳戒下の大阪最初のメーデー(大正10=1921年)での総指揮者にもなっている。だが、陸軍省直轄の工場でも、「向上会」の左傾化は避けがたく、ついに、八木信一は排斥され、「純向上会」を結成して(大正11年)その会長となり、大正15年には「関西民衆党」を結党しその執行委員長にも就くなど、戦前労働運動の大リーダーの位置を築く。両者の対立は激化し、一触即発の事態を招くが、如何に弾圧を強めても、労働者の不満鬱積=左傾化は避けがたい必然であることは、詳細な検証が語っていて、興味深い。

 大阪砲兵工廠は、1945年8月14日、アメリカ軍のB29爆撃機145機の空爆により壊滅した。この大爆撃は傍の国鉄京橋駅をも直撃して乗客217名が死亡、京橋駅南口に「慰霊碑」が建立されて、毎年8月14日に慰霊祭が実施されている。

 著者は、中学卒業後電気通信省(現NTT)のモールス通信士となり、定時制高校、立命館大学日本史専攻で学び(病気で中退)、「歴史の面白さにのめり込んだ」。その職場=全電通大阪中電支部は数多くの労働運動リーダーを輩出した現場であり、著者の描く労働実態や労働者の反撃のさまの鋭さは、流石“中電出身”と頷かされる。

大阪砲兵工廠とその労働運動については、『大阪社会労働運動史』(社運協発行)第1巻2巻の久保執筆文に詳しい。久保は、この『大阪社会労働運動史』だけでなく、『大交史』をはじめ、全港湾や合化労連等多くの労働組合史を編纂し、『大阪の部落史』刊行にも参画、『近代日本社会運動史人名事典』(日本アソシエーツ)にも執筆していて、歴史研究者として、知る人ぞ知る貴重な存在である。

(著者は元号主義者ではないが、時期区分がわかりやすいように、元号表記を使用したと断っている)。(伍賀偕子〈ごか・ともこ〉、元「関西女の労働問題研究会」代表)

 

「中央区のまちライブラリー〜誕生から今日まで〜」

 開催中の「まちライブラリーブックフェスタ2019」の期間中イベントとして、エル・ライブラリー近くの「ISまちライブラリー」にて、大阪市中央区のまちライブラリー勢ぞろい!という交流会が本日(2019.5.17)開催されました。

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 14か所のまちライブラリーなどの人たちが5分間スピーチをして自己紹介。

 まずはまちライブラリー提唱者の礒井純充氏が創設した「ISまちライブラリー」が現状と歴史を報告。近所の子どもさんがたくさん来てくれるということで、エル・ライブラリーとは雰囲気が全然違うんだろうなぁと想像をめぐらしました。当初、人集めのために開かれていた「本とバルの日」は2年前にやめたということです。今では毎日開館しているので本を読みに来る人が増え、会員も増加中とのこと。

 地域住民として40年天満橋に住んでいた人が、「ISまちライブラリーがビジネス街の天満橋にできたことで人と出会える場、憩いの場ができた」とおっしゃっていました。この方はボランティアスタッフとしてISまちライブラリーで食事を提供されたりしてきました。
 その他、ISまちライブラリー開館のころを巡る様々な方のお話に、心温まるものがありました。

 その他、スピーチされたまちライブラリー等の施設は以下の通り。エル・ライブラリーも谷合が紹介させていただきました。

まちライブラリー@シュール・ムジュールデサキ

語学とおけいこ Free space C Flat

小さなお庭と猫の図書館

まちライブラリー@サクセスファクトリー

まちライブラリー@ビーハイブホステル大阪

ことばを食べるカフェみずうみ

大阪市立島之内図書館「中央区まちじゅう図書館マップ」

まちライブラリー@イチハチ

 ・飲食店のためのまちライブラリー

大阪企業家ミュージアム

キャンディ・ライブラリー

わたしの図書館ミルキーウェイ

 なんと、上記の「ビーハイブホステル大阪」という宿泊施設を運営しているまちライブラリーのオーナーが、当法人の初代理事長中平次郎氏のお孫さんであることが発覚! すごいつながりだなあと感動しました。

 この会合では、年表を基に礒井さんがまちライブラリーの歴史を振り返り、思いを語りました。しかし配布された年表には一部捏造があり(笑)、中央区のまちライブラリーが2011年4月に5か所同時に誕生したことになっていますが、実は微妙に違うということでした。

 礒井さんは2003年にオープンした会員制図書館「六本木ヒルズライブラリー」の立ち上げにかかわった一人でもあります。しかし異動によってその仕事を離れることになり、礒井さんは自力でライブラリーを立ち上げることを考え始めました。

 本を通して人と人をつなぐという発想は多くの共感を生み、サードプレイスとしての図書館のありかたを模索していた礒井さんを多くの人が支えたことによって、ISまちライブラリーは2008年以来11年以上運営を続けることができました。「本とバルの日」を月に1回開いていたころは、そのときだけ10人20人が集まるけれど、それをやめて毎日開館するようになったら、いつの間にか来館者が増え、月に300人近くが利用するようになったということです。

 まちライブラリーでは『まちライブ』という冊子を発行されています。現在5巻まで発行済み。1冊500円で、セットで購入すると割引もあるとのこと。まちライブラリーは誰でも参加可能、誰でも作れるので、興味のあるかたはぜひ手に取ってご覧ください。問い合わせはまちライブラリーまで。http://machi-library.org/

(谷合)

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