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要求書を提出しました

維新プログラムにおけるプラザ「廃止」案撤回を求めて、プラザを委託管理運営する(財)大阪社会運動協会は昨日大阪府知事宛で要求書を提出しました。

2008.6.11
大阪府知事橋下徹

 要  求  書

   財団法人 大阪社会運動協会
   会長兼理事長 赤本忠司


大阪社会運動協会は、6月5日、先般の「大阪の社会・労働関係専門図書館の存続を求める会」の要望書にもかかわらず、大阪府商工労働部より、「大阪府労働情報総合プラザ図書館」の運営委託を7月一杯で打ち切るという通告をうけ、文書整理委託費111万円、書籍廃棄委託費21万円、物品廃棄委託費71万9千円を支給するから、本年一杯でフロアをきれいにして立退くよう通告をうけました。私たちは失望よりも怒りをもってこれをうけとめましたが、とくに図書約25000冊、雑誌18000冊を「破棄」することを委託するという御提案は絶対うけいれることはできません。そこには知事の、図書館を単に本という「もの」が一杯おいてある「フロア」としてとらえ、「プラザ」が大阪府の労働行政の中で、どのように果たすべき役割を果たしているかという角度からは、全く見ておられない姿勢がみごとに示されていることを感じるからです。

 大阪社会運動協会が『大阪社会労働運動史』の刊行から出発した組織であり、それが内外からどのように高い評価をうけているかは前回の要望書に書かれていたのでくりかえしませんが、それが「労働情報総合プラザ」の運営をひきうけるようになった経過は社運協の側に、既刊8巻の刊行過程で収集され、『運動史』執筆者だけに利用されてきた厖大な資料を、関係領域の研究者のみならず、一般市民も利用できる「社会運動資料センター」を作りたい悲願があったからです。こうした施設の維持には補助金が不可欠であることは常識でしたが、時代はすでに補助金をゆるす状況にはありませんでした。
 
 1999年、大阪府労働部から、労働部と商工部を統一する機会に、これまで労働部図書館として運営してきた「労働情報総合プラザ」の図書館の運営を、社会運動協会に委託したいという提案をうけたことは、涙の出るほどうれしいことでした。府は高給の職員によって素人的に運営されていた「プラザ」の図書館運営を、経験をつんだ司書をかかえた社会運動協会にゆだねることによって、経費の削減と図書館運営の効率化をはかる、社会運動協会は、同じ府立労働センター(通称エル・おおさか)の南館2階にある「プラザ」の図書館の府の労働行政サポート機能と、本館4階にある社会運動協会図書室の社会労働運動研究サポート機能をうまく組み合わせ、「プラザ」図書館をますます役に立つ図書館にすると同時に、社会運動協会図書室を「補助金なしで」実質的には市民にひらかれた「社会運動資料センター」にする道をさぐりなさいという、府の配慮だと私たちはうけとめました。

 「プラザ」図書館の受託運営は2000年4月より開始され、私たちはそこへ全力投球しました。私たちの見るところ、それまでの図書館はアルバイトの司書一人が窓口に常駐し、図書の貸出返却の事務を行い、司書が不在の時は、府の正規職員が本を探すことや返却を手伝うという体制でした。これは恐らく経費削減のための処置と思われますが、図書館が単に本の貸出・返却の業務を行う場所ととらえられており、それを真に行政の役に立つ情報センターとする問題意識は不在という印象でした。

 その上にもう一つ目についた欠陥はお役所につきものの人事異動によって、指導的地位にある職員が短期間で交替し、経験の蓄積がさまたげられ、経験にもとづく図書館業務の持続的改善と長期的発展の可能性がとざされているということでした。

 私たちはまず司書二人とアルバイト二人が窓口に常駐し、来館者の読書相談に徹底的に応じる体制を作りました。そのことをとおして、どういう人が、どういう質問をかかえてこの図書館を訪れるかがわかります。初期にすぐわかったことは、「プラザ」図書館の上の南館3階にある大阪府総合労働事務所が行っている、職場トラブル、仕事選び其他多様な相談業務を利用した人びとが、読むことをアドバイスされた本を探しにくるケース。本館8階にある労働委員会の委員や事務担当者や紛争当事者が、労働判例集や統計類を利用するケース。さらに多いのは、社会保険労務士の利用です。大阪の特徴である中小企業主のかかえる労務管理や職場トラブル、社会保険業務などのコンサルタントであるこの人びとにとっては、この図書館の判例集や労務管理・労働法などの実務書が大きな役に立っていることもわかりました。

 このように誰がどんな資料をどのように利用しているかを確認しつつ、もっと役に立つ資料を、もっと多くの人に利用してもらえるようにと努力して来た8年間でした。念願の「社会運動資料センター」も、社運協資料室に少し改造を加え、窓口は「プラザ」図書館におき、利用希望者はそこへ案内して閲覧してもらう形で2006年4月より、ほとんど人手をかけない設備として実現しました。

 この間利用者は年々増え、受託前年度は年間3515人であった利用者は現在では1万4000人と4倍に達しています。それは何より私たちの仕事が、大阪府の労働行政や民間の社会保険労務士などの仕事としっかり結びつき役に立ちはじめているしるしだと考えています。職場のトラブルをうまく解決したり、労使紛争を解決した人びとが御礼にみえたりすることも経験するようになりました。そういう時、私たちはこの図書館を運営する経験をもってほんとうに幸せだったと感じます。

 橋下知事図書館は決して本という「もの」がたくさんおいてある「場所」ではありません。「プラザ」図書館は、大阪府内で労働職場内の問題や労資関係や経営問題などで悩みをもつ人びとと、大阪府で労働行政にたずさわる人びとの双方に、本当に役に立つ情報を提供するために、必要な本、資料を集積し、館内にない資料はコンピュータ検索でただちに所在をたしかめて提供する、生きたシステムで、司書も書籍もそのシステムの一つの構成要素にすぎません。しかしシステムはどのひとつの構成要素を欠いても必ず死にます。ましてや書籍は最も重要な構成要素です。それを破棄せよというのはシステムに永久の死を宣告することです。その死は当然そこにつながって仕事している利用者、大阪府総合労働事務所、労働委員会、多数の社会保険労務士、その他労働関連の悩みを持つ人びとに深刻な打撃を与えます。プラザと一体のものとして運営されてきた社会運動資料センターも死にます。知事はあえてそのような死を希望されるのでしょうか。

 私たちが一つ不思議に思っていることは、私たちが行って来たことは、今知事が実行されようとしていることと全く矛盾しないのに何故?ということです。知事が今行われようとしていることは、大阪府の財政をそれによって府政が萎縮してしまうことがないように配慮しながら、いかに大胆にたてなおすかということではないでしょうか。私たちは、「プラザ」図書館の運営をそれが府営であった時の事業費よりはるかに安い経費で受託し、それが府営であった時の欠陥を見ぬき、役に立つ図書館として再建し、利用者を4倍にし、「社会運動資料センター」まで作りました。それは知事が実行されようとしている行政の参考とされてもよいことなのに、何故知事は真っ先に私たちの図書館の死を宣告されるのか、是非おうかがいしたいと思います。

 私たちは、「働く者の知る権利」を守るため、大阪府労働情報総合プラザの廃止の撤回を要求します。

以上について、6月20日までに文書での回答を求めます。

以上