エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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韓国MBC放送の取材を受けました


 今年は「日韓併合」100年にあたる年で、これを機にテレビや新聞等でいろいろな番組・記事が掲載されています。
 エル・ライブラリーにも、MBC(韓国文化放送。韓国最大の民間放送局)から取材陣が来られました。<日韓併合100年>といえば、日本が朝鮮を植民地支配した「悪しき記憶」の100年ですが、歴史というのは多面的・多義的なものであり、日本は多くの朝鮮人を苦しめ生命財産や名前を奪いましたが、一方で朝鮮人のために命がけで闘った日本人がいたことも事実です。
 MBCでは、韓国人がいつも被害者だったわけではなく、日本人がいつも加害者だったわけではないとの認識の下、1920年〜30年代当時の朝鮮人を助けた日本人についての番組を制作するとのことです。


 その一人として、大阪出身の朝日見瑞(あさひ・けんずい。1898-1988年)さんが取り上げられます。朝日さんは1928年、朝鮮の荷衣(カイ)島(韓国語ではハイド)で発生した農民運動を支援するため荷衣島に渡り、農民組合を組織した人です。献身的な運動を称えて、現在では荷衣島の記念館に写真とともに顕彰されています。荷衣島といえば、故金大中大統領の故郷でもあります。

 その朝日見瑞さんのインタビュー記事が掲載されている資料が『大阪労働運動史研究』という雑誌です(一番上の写真は、MBC放送のスタッフにその雑誌を紹介している谷合)。テレビクルーは、当該雑誌および1920年代の在日朝鮮人労働組合の機関紙や、大阪の労働運動の写真などを撮影していかれました。


 なお、朝日さんは戦後、松下電器労働組合を結成され、初代委員長に就任しました。現在その功績を称えて、大阪城公園内にある「大阪社会運動物故者顕彰塔」(写真右)にお名前が記されています。(谷合)