本の修復講座、エル・ライブラリーにて開かる

 昨日、奈良に本拠地を持つNPO法人書物の歴史と保存修復に関する研究会」(略称NPO法人書物研究会)さんに実践修理の講座を開いていただきました。エル・ライブラリーにごまんとある古い資料を教材に使っていただき、受講生のみなさんに修理してもらう、という当館にとってありがたい講座です。日曜の午後、研究会代表の板倉正子先生と8人の受講生さんが来館され、まずは書庫調査。写真は修理が必要な古い本を探しているメンバーの皆さんです。本が汚いので手袋が赤黒く染ります…(すみません)。

受講生さんたちは2班に分かれて、それぞれ書庫内でたくさんの修理本候補を見つけました。「おおお!」「これはいい!」「ちょうどよい壊れ方、硬さ、…」等々、いろんな専門用語が飛び交いつつ、喜んでおられた模様。電子書籍の時代なのに、なんで修理してまで古い書物を残すのか? その根本的な問いにはさまざまな答えがあるでしょう。すべての本が電子化されてしまったら? そんな時代を想像すると、ちょっとぞっとします。一枚ずつ紙をめくりながら、本の重さを感じながら読書する楽しみは本好きにはたまらない快感です。それに、これらの本そのものが博物的価値を持つようになるのもそう遠くない未来の話ではないでしょうか。


 右の写真、本のタイトルは賀川豊彦著『主観経済の原理』(1920年)なのですが、背表紙の素材である革がボロボロになって剥落し、下貼りに使われた紙が露出しています。一瞬、背表紙が逆さまに見えますが、実は別の本からリサイクル利用された芯紙が見えているのです。革の背の脱落を防ぐためにメンディングテープが貼られていて、そのテープがまた古びてしまい、そのテープの部分だけ革が残っているという状態です。元は90年以上前の、金箔も使われている立派な書物です。これぞ格好の修復素材。

 そして下の写真、なんと『マルクス伝』を開けてみれば、押し花が! みなさん、本で押し花を作ってはいけませんよ〜。

 実際に修理作業が行われるのは来月です。


 板倉先生、受講生のみなさま、お疲れ様でした。本がきれいに修理されて戻ってくるのが楽しみです。ありがとうございます。(谷合)