エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

工房レストアさんで古文書修復ワークショップ

 7月13日(土)、工房レストアさんで古文書修復ワークショップを受講してきました。

「文化資料の町医者」の看板を掲げる工房レストアさんは、文化財だけでなく個人の所蔵品の修復作業も積極的に行っています。資料、人々の記録・記憶を保存し、後世に繋いでいこうという工房レストアさんの志と努力はHPを見ていただければお分かりかと思います。
工房レストア
http://kobo-restore.com/index.html

修復ワークショップも、修復というものをひとりでも多くの人に知ってもらって、保存活動の裾野を広げるために、お仕事の時間と場所を割いて開催されています。

1.漉きはめ
修復する資料に資料と同質の紙原料液を流し込み、虫喰い・破れなどの欠損した箇所にのみ新しく同質の紙を形成して修復する技法http://www.kobo-restore.com/syuhukukoutei-komonjo.html
紙原料液を流し込む準備中

2.裏打ち
裏打ち用の紙に糊付けして重ねています

3.和綴じ(四ツ目綴じ)
絹糸で和本をかがっています

作業をさせていただいてなお「漉きはめ」と「裏打ち」の違いが分かっていなかったのですが、出来上がったものをいただいて納得!両者は手触りからして全然違うのです。「裏打ち」はもう一枚紙を張り付けるため紙が厚めになります。「漉きはめ」は欠損したところにのみ紙が補填されるので、元の紙と同じ厚さ。虫喰いの穴あきだらけで作業するのもこわごわだった古文書は「漉きはめ」による補填でしっかりと丈夫に、かつ美しく仕上がっていました。作品(?)をそれぞれ手にした受講生は感動。

この漉きはめに関しては、当日工房で見せていただいた明治期の新聞原紙の修復品に受講生一同興味しんしんでした。脱酸処理したあと、パルプで漉きはめするそうで、破壊が進んでいた用紙がしなやかさと強度を取り戻していました。このような洋紙修復の可能性にみな感心しきり。
参考:新聞の脱酸処理http://www.kobo-restore.com/datusan.html

当日の様子が工房レストアさんのブログにアップされています。
「エル・ライブラリーさま古文書ワークショップ開催 」http://koborestore.blog.fc2.com/blog-entry-108.html

懇親会(工房は大正にあるので会場は沖縄料理屋さん)でオリオンビール泡盛で酔っぱらった館長谷合がアジっていた様子も詳細に記されていますが、工房レストアさんの真摯な姿勢とスタッフのみなさま方の思いにシンクロして、いつも以上に(気持ちが)盛り上がっていたようです。

ワークショップ、とにかく楽しいです。スタッフの方々のガイドがお上手なせいもあると思うのですが、作業するのが純粋に楽しいです。そして修復の持つ可能性を知る大変貴重な機会でした。工房レストアさんではワークショップを随時開催してくださるそうなので、興味のある方はぜひ相談してみてください。(千本)

 <追記> 参加者のおひとりである、学校図書館司書さんが開設されている「ほんとも!〜学校図書館おたすけサイト〜」に動画がアップされています。沖縄そばもおいしそうです。http://hontomo.wwww.jp/librarytalk/940/