防災プログラムの実践セミナー開催報告

 9月28日(土)、エル・ライブラリーを会場とする、専門図書館関西地区協議会主催のセミナーが開催されました。題して、
「震災訓練プログラム saveMLAKメソッドに学ぶ‐その時、我々は、図書館はどう動くか‐」

 震災と被害を受けた図書館から学び、組織として、個人としての危機管理の実践的能力の向上と、大震災の経験を図書館員が共有することを目指したセミナーです。

 会場が図書館なので、参加者は臨場感あふれる体験ができたのではないでしょうか。エル・ライブラリーのような小さな図書館は、企業内図書室が多くを占める専門図書館界にとっては身近な場所です。

 地震直後から1時間30分までの対応ロールプレイング訓練は、まず講師の岡本真さん(アカデミック・リソース・ガイド(株)代表取締役)の説明から始まり、ロールプレイは緊急地震速報の音が合図となりました。参加者は、次々に出される情報に応じた対応を求められます。

エル・ライブラリーの館長である谷合は「ベテラン司書が退職後にボランティアしている」という設定で訓練に参加しましたが、しばしば自分の立場を忘れる発言をしてしまい、「わたしはいま誰だっけ? あ、ボランティアスタッフだった!」とアイデンティティの混乱のなかをさまよいながらも受講生さんたちに助けられて訓練を受けました。
受講生は二班に分かれて、それぞれが「けが人が書架の間に挟まっています」といった設定を書いた紙を読んで、すぐさま行動に移します。わが班では、ドラえもんに負傷者と死者の一人二役を演じてもらいました。

「大変です、ドラえもんの脈がありません!(あったら怖い)」と真剣な表情。うつぶせに倒れていたドラえもんをひっくり返すとにっこり笑っているではありませんか。
「うわー、ドラちゃんが笑ってる! この状況で笑うな」と思わずつっこみそうになりながら、真剣に訓練を行いました。

プログラムの実践後は、参加者全員による「振り返り」の時間を持ちました。死者が出たという想定にまずは動転してしまって、いろんなことがすっかり飛んでしまったことなど、多くの反省がありました。
続いて、防災ファシリテーターで、本メソッド監修者である鈴木光さんによる講評がありました。「まず、自ら情報をとりにいくことが必要。ラジオやワンセグを使いましょう」とのアドバイスが。災害伝言板の使い方を教えていただいたり、いろいろと役に立つ情報が入手できました。
また、専門図書館関西地区協議会蔵書防災マニュアル作成研究会の活動報告として、各館で利用可能なマニュアルたたき台や、阪神淡路大震災以降、長年に渡って防災に取り組む企業図書館の事例紹介、防災グッズの現物展示も同時におこない、実務に役立つ情報を提供しました。


セミナー後の懇親会ではエルおおさか裏手の創作料理店「TATEYA」を借り切り、「図書館サポートフォーラム賞受賞 祝 純米酒エル・ライブラリー」を開封しました。これはみちのくライブラリアンからのプレゼントです。講師の鈴木光さんのお誕生日だったこともあり、大いに盛り上がりました。
 長時間にわたる訓練と懇親会にご参加くださったみなさま、お疲れ様でした。
このような訓練は一度で終わらせてはならない、何度も何度も繰り返すことで、実践の役に立てられるのだとつくづく実感しました。東北の震災では図書館内で死者は一人も出ていません。その奇跡のような事実は、偶然ではなく、日ごろの訓練の成果であったのです。そのことを決して忘れてはならないでしょう。
 「什器を耐震性の高いものに変えるなど、物的な備えも必要である」との岡本さんからの具体的な例示も大変役立つ情報でした。(谷合)(写真は鈴木光氏撮影 / 提供)