うたう幻灯会

 神戸映画資料館が所蔵する1950年代の社会運動に関連する貴重な幻灯のコレクションの中から、ライブ・パフォーマンス面を重視して作られたと思しき作品を、生演奏とコーラス付で上映。エル・ライブラリー館長谷合も登壇します。

第一部 14:00〜15:15
上映「ぶどうぱん―三越斗争の記録―」
(1953年?)
製作:全三越労働組合
後援:全日本百貨店労働組合連合会・官公庁映画サークル協議会
配給:日本幻灯文化社
戦後初のデパートの女性従業員による労働争議として大きな社会的反響を呼んだ、1951年12月の全三越労組の賃金ベースアップ要求・組合幹部不当解雇反対ストライキを記録する幻灯。原作の同名詩集『ぶどうぱん』と共に、三越闘争支援のカンパ集めを主目的として製作されたものと考えられる。1950年代に数多く作られた労働争議記録・支援幻灯の中でも初期の代表作のひとつで、台本の朗読のみならず、コーラスやハミングなどの「うたごえ」やピアノ伴奏などの効果が指定されている点も、後に続く作品に影響を与えた可能性がある。

講演「三越争議(1951)と『ぶどうぱん』―60年後に振り返るその成果と蹉跌」
  谷合佳代子[大阪産業労働資料館(エル・ライブラリー)館長]

第二部 15:30〜16:30
上映「戦争案内」
(1959年?)
原作:ベルトルト・ブレヒト
編集:関西幻灯センター 古志峻・田窪清秀・高原宏平
製作:日本幻灯文化株式会社
版権所有:ドイツ民主共和国 ベルリン オイレン・シュピーゲル
1955年にドイツ民主共和国・ベルリンで出版されたブレヒトの写真詩集『戦争案内 KRIEGFIBEL』の幻灯版。各国の新聞・雑誌に掲載された戦争報道写真に、ブレヒトによる4行詩を付したオリジナルの写真詩集から、約半数にあたる38コマを抜粋・編集して構成されている。個人で読むための書籍として発表された原作を、幻灯/スライドというメディアの特性を活かし、多数に向けた上映・上演のために翻案する試みとしても興味深い。ドイツ第三帝国の権力者たち、軍需工場、爆撃機のコックピット、防空壕から空を見上げる市民、破壊された市街、殺し殺される兵士たち、生命を脅かされる子どもたち、「戦争」のさまざまな局面が万華鏡のように映し出される。
 
上映
「わっしょい わっしょい ぶんぶんぶん』
(1954年)
製作:東大セツルメント川崎こども会
作画:加古里子
絵本作家・児童文学者として知られる加古里子かこさとし)が、東大セツルメント川崎こども会での活動の一環として創作した一連の幻灯作品のひとつ。1951年にまず掛図式の大型紙芝居として創作した作品を、さらにカラーの幻灯として改作したもの。加古里子の絵本作家としてのデビュー後、再度紙芝居化(童心社)、絵本化(偕成社)されているが、それぞれの画面構成はかなり異なっている。音楽の好きな国の住民たちが、意地悪な悪魔に妨害されながらも、楽器を盗まれれば動物や虫の鳴き声で、動物や虫を盗まれれば自分たちの歌声で、にぎやかな音楽を奏でつづける本作からは、子どもたち主体で運営されていたセツルメント幻灯会の楽しい雰囲気が伝わってくる。
 
 
ピアノ伴奏:山川亜紀
合唱・朗読:田中裕介、神矢匡
*各作品に、適宜伴奏やコーラスを付して上映します。

《参加費》1000円(一部・二部通し/高校生以下は無料)

共催:「戦後社会運動資料としての幻灯の再発見・再評価とアーカイヴス間連携による資料保管・公開体制の構築」(研究代表者:鷲谷花)、プラネット映画資料図書館、神戸映画資料館

*この事業は公益財団法人三菱財団の助成により行われます