当館のスタッフも協力している「戦後社会運動資料としての幻灯の研究」の代表研究者である鷲谷花さんが講演・上映される幻灯会を紹介します。会場は北海道ですので、夏の夜のイベントして涼しくかつ勉強になる有意義な集いです。ふるってご参加ください。
【内容】
戦後を代表する労働争議の一つ日鋼室蘭争議から今年で60年を迎えます。争議は1954年6月、日本製鋼所が朝鮮戦争休戦後の不況などを理由に、室蘭製作所3742人のうち915人の指名解雇を発表したことに端を発します。実に4人に1人の首切りです。日鋼室蘭労組は、道内外の労働者・農民の支援を受けて193日間の首切り反対ストライキを打ち抜き果敢に闘いましたが、事態は地域を巻き込んで泥沼化し、同年12月末、中央労働委員会のあっせんでようやく終息しました。争議の当事者の多くは世を去り、争議の事実が語られる機会はいま、ほとんどありませんが、記憶や教訓を風化させまいと情熱を持ち続けている人びとがいます。
争議から60年の節目を迎えるに当たり、当時日鋼労組が制作した幻灯(スライド)を、労働歌の合唱と幻灯を融合させた先駆けとして注目する若手研究者を室蘭に招き、幻灯を鑑賞して争議の事実を振り返りたいと思います。いま危機にさらされようとしている平和と民主主義、人権を守るためにも、歴史の教訓から学びたいと願っています。
◆幻灯「日鋼室蘭首切り反対斗争記録 嵐ふきすさぶとも」(日鋼室蘭労組教宣部、1954年)上映
◆合唱・演奏担当:室蘭合唱団あすなろ