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【寄贈本紹介】『未来の図書館、はじめませんか?』

岡本 真、森 旭彦著 2014年11月 青弓社発行 B6版 194頁

 今回より、また新たに寄贈本紹介コーナーを執筆してくださる方が増えました。大阪府内の公共図書館で長らく勤められた谷垣笑子さんです。早速、図書館員にもそうでない人にもお薦めの新刊書を紹介していただきます。
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 ここ数年、図書館のことが話題になり、新聞・雑誌やテレビなどで取り上げられることが多くなった。話題づくりや集客のための民間サービスによる図書館ではなく、地域づくり、まちづくりの核としての図書館、人と人がつながる場としての図書館の可能性や魅力を引き出そうと新しい試みが各地で生まれている。従来の図書館関係者だけではなく、異なる分野の方々の活躍や市民の力で図書館が大きく変わろうとしている。
著者の一人岡本真氏は、編集者などを経て、1999年ヤフーに入社。「Yahoo!カテゴリ」「Yahoo!検索」などの企画・運用や「Yahoo!知恵袋」の企画・設計を担当、09年に同社を退職。現在はアカデミック・リソース・ガイド代表取締役、プロデューサーとして、公共図書館等での講演や職員研修、図書館づくりに携わっている。

 『未来の図書館、はじめませんか?』、なんと魅力的で夢のある書名だろうか。表紙には、「市民と行政、図書館員が協働して、日々の小さな実践を通して図書館の魅力を引き出す方法を多様な具体例から指し示す。同時に、発信型図書館をつくるためのアイデアを提案することで、図書館がもつ拡張の可能性を浮かび上がらせる。地域を変えて人を育てる『未来の図書館』へと向かう道を照射する刺激的な提言の書」だと書かれ、「さあ、未来の図書館をはじめよう!」とあり、図書館に関心を持つ人もそうでない人にとっても、面白そうで、わくわくさせる。

 そして、まえがきには、「知を守り、育み、そして創り出していく図書館のいまとこれからについて、私が日頃感じている思いのすべてを書き綴りたいと思います。そして、図書館づくりの実践者にとって、本書がよりよい図書館の未来を拓くためのメッセージになれば・・・。本書の書名にはそんな気持ちが込められています」と著者の思いが述べられている。
 本書は下記の8章からなる。

  • 第1章 図面から生まれる図書館は正しいのか
  • 第2章 図書館の?周辺?にある、進化のチャンス
  • 第3章 図書館の原風景を見つめる
  • 第4章 「足で見る」図書
  • 第5章 「まち」から生まれる図書館、図書館から生まれる「まち」
  • 第6章 さあ、図書館をつくろう
  • 第7章 「発信型図書館」のためのアイデアのつくり方
  • 第8章 図書館の拡張(巻末に「図書館をつくるための本棚」として、関連図書を紹介)

最後に、著者は「あとがき」で、「図書館の専門家の方々からみれば、荒削りな点も少なくないかと思いますが、(中略)一種の覚悟をもって上梓した一冊です。ご批判は甘んじて受けつつ、そのご批判にはこれから私がしていく図書館づくりで返答していきたいと思います。」と述べている。年間300もの図書館を訪問し、それぞれの良さや工夫を発見する視点、図書館の市民活動に関わる目線、全編を通して貫かれている図書館への関わり方に、長く図書館で働いてきた私も、「あなたのまちにはどんな図書館が必要ですか?」を考えさせられた。
図書館関係者、行政関係者はもちろん、まちづくりや市民活動に関わる人たちにも読んでもらいたい一冊である。(谷垣笑子・元公共図書館職員)