LLブック わたしのかぞく−なにが起こるかな?

LLブック(やさしく読める本)制作グループ(藤澤和子、川崎千加、多賀谷津也子)編;長谷川朋也 写真
2015年4月 樹村房発行 27×19cm(横長本)1冊

 LLブックの「LL(えるえる)」とはスウェーデン語で「やさしく読める」という意味の言葉の略で、「読むことがむずかしい人に、読みやすくわかりやすく作られた本です。本によって写真、絵、ピクトグラム、読みやすい文章が、使われます。読者は知的障がいや自閉症、読み書き障がい、失語症などの障がいがある人、日本に住んでいる外国人や高齢者などで、読むことがにがてな人たちです。彼らに、本を読む楽しみが届くことを願って作られています。」(本書「あとがき」より)

 LLブックは、日本にはほとんどなく、所蔵図書館も少ないのが現状ですが、スウェーデンでは異なる母語を持つ人や自閉症失語症の人、子どもや高齢者などのコミュニケーションを促進するものとして広く受け入れられ、国費でLLブックが制作されているそうです。

 本書『わたしのかぞく』は、どこにでもいそうで、でもちょっとおもしろい家族の日常で起こった出来事を集めたコント集です。1 はみがき 2 あさごはん 3 てつぼう 4 おしゅうじ 5 いす 6 バトミントン 7 ケーキ 8 デート 9 ランニングの9タイトルからなり、白黒写真だけで4コマ漫画風に表現し、同じメンバーが登場する連作です。それぞれ4〜5ページ、全部合わせてもとても短いものです。

 毎日の生活の中で起こりそうな出来事を、文章の説明を入れずに、写真だけで描いた「字のない絵本」「写真絵本」のようです。家族役などで登場する人物の表情や仕草さに、思わず「クスッ」と笑ってしまう。また、色や背景などを出来るだけ抑えたカメラマンの視点が効果的で、誰もが「わかりやすく」、「親しみやすく」、「楽しめる」LLブックです。あとがきの末尾には、次のように書かれています。「『こんなことが起こったね』『こんなことあるある』と、写真を見ながら笑ってくだされば、幸いです。」

 日本でもっとLLブックを広めたい、誰もが楽しめる本を作りたいと、この本の制作・出版には、学生や劇団員、カメラマンなど様々な人たちが協力して、演技・編集・写真などに関わっていて、その熱意が伝わる一冊です。

 本年4月1日より「障害者差別解消法」が施行され、公共図書館などでも、今まで以上にLLブックについての理解や関心を深め、活用を広げていこうとする取り組みが少しずつ始まっています。
 なお、本書は誰もがやさしく読めるように、各タイトルやあとがきのカタカナや漢字には、平仮名のルビがついています。(谷垣笑子:元公共図書館職員)