『めげない女たちの物語 戦後70年、歩み続けて ふぇみん聞き書き集』

ふぇみん婦人民主クラブ/2017年7月/B5判262頁)

 本書は、敗戦の翌年1946年にいち早く結成された「婦人民主クラブ」(現在の名称=
ふぇみん婦人民主クラブ」)が、創立70周年を記念して、90代から80代の先輩会員21人への聞き書きプロジェクトを組み、4年間かけて編纂・刊行したものである。

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 いま、どの市民団体や運動体も「高齢化」が進み、次世代への継承が課題となっているなかで、敗戦後を生き抜いた先達の生きざまを、次世代が聞き書きして記録に残すというその取組みの姿勢や作風に、まず敬意を表したい。

 「はじめに」では ――戦争が女性たちに加えた仕打ちを身体に刻んだ世代、そして一転、敗戦の焦土と飢えの中、「民主主義」を胸いっぱいに吸いこんだ90代から80代までの世代を中心に本書は編まれています。「みんなちがって、みんないい」という金子みすゞの詩の一節が浮ぶような、それぞれが独特かつ恰好いい21人の女性たちです。私たちは、そんな先輩たちと出会えたことの幸運を思います――と記されている。 

 紙幅の都合で21人全員の紹介は出来ないが、それぞれに工夫された表題からでも、その多彩さ、豊かさがうかがえる。

憲法は渡さぬ 三万の熱気に 九十歳われも」(2015年5月3日憲法記念日集会に参加して)と結んだ創立時からの草分けの先輩の聞き書きからは、大衆団体としての自立を貫いてきた組織の歴史だけでなく、敗戦直後の女たちの燃えるような息吹が伝わる。

 また、「村八分事件が私の原点」では、敗戦直後に教科書の墨塗りという経験を経て、中学1年で学んだ『あたらしい憲法のはなし』を胸に刻んだ女子高校生が、1952年村役場が絡んだ村ぐるみ「不正選挙」を新聞に告発した。家族ぐるみ「村八分」にあわされ、一方で支援者も広がり、映画化もされるほどの全国的な話題になった当事者の聞き書きとその後の生きざまは、ものを言えなくさせる昨今の政治攻勢を生き抜く勇気と連帯感を伝えている。

 それぞれの表題=目次を追うと、その人生を知りたくなって曳きこまれていく。

★女3人いれば、たいがいのことはできるかな ★機動隊員の顔を思い切りひっぱたい

た! ★「女だから」と差別されたら反撃せずにはいられない  ★ウトロとの出会いで人生がより豊かになった  ★農民を根こそぎダメにする政策はやめちまえ ★大阪大空襲を生き延び、どう生きるか考えた  ★らせん階段をのぼるように ★血縁だけでない人間関係の築き方を教えてもろうた ★「脱被ばく」を終りの宿題にしています ★反靖国に起ちあがってたくさんのよき人々と出会った――等々、まさに書名のように『めげない女たちの物語』である。

 それぞれの人生の節々にそこはかとなく溢れる平和・人権・人間愛のメッセージは、登場者を全く知らない人も含めて、読者すべての大切な共有財産になるし、日本の女性運動史・市民運動史上も、貴重な記録が掘り起こされ、刻まれたことに心からの拍手を送りたい(ちなみに、私自身は登場者21名中11名の方々と交流があった)。

――タンポポの綿毛が風に乗って遠くまで舞うように、先輩たちの紡いだ物語が、次代と世代の壁を越え届くことがあるならば、これにまさる喜びはありません――と結ばれている。(伍賀 偕子:ごか・ともこ。元「関西女の労働問題研究会」代表

 本書は、市販本ではないので、注文先は以下の通り。

1冊1500円(税込み)送料=200円

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-31-18-301 ふぇみん婦人民主クラブ

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