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名取市における 東日本大震災の概要


名取市における 東日本大震災の概要』名取市総務部震災記録室 編集(宮城県名取市/2015年3月/A4版 118p)
東日本大震災 名取市の記録』名取市総務部震災記録室 編集(宮城県名取市/2014年10月/A4版 400p)
(右の写真は本書とともに出版されたDVD。「震災を語り継ぐ人々」というDVDも合わせて発刊)

 名取市は、仙台市の南東に隣接する人口約7万3500人(被災年の2月末)の市である。東西に長い長方形をなしているが東端は海岸であり、東日本大震災においては地震に加えて津波の激しい被害にあった。今回紹介する2冊の本は、名取市における東日本大震災の記録であり、ともに公式記録、写真、個人の寄稿などを含む包括的で、放射能汚染の記述が少ないこと以外はバランスの取れたものとなっている。

 『名取市における 東日本大震災の概要』(以下、『概要』)は比較的コンパクトで写真が中心なのに対し、『東日本大震災 名取市の記録』(以下、『記録』)は地震津波の一般理論から、東日本大震災のメカニズム、被害状況、各部門の応急対応、復旧、復興までよりいっそう包括的な記録である。また、表・図・写真・個人の体験文などが適宜に組み込まれ、文とビジュアルな要素、キチッとした記録と生きた体験が組み合わされ、すぐれた資料集となっている。とりわけ、写真や体験文は6年たった今でも心に響き、図表や文章は時を経てしっかりした認識を与えてくれている。

 たとえば、『記録』第4章 「名取市の被害状況」は、さいしょに市海岸部の地図、ついで被災写真が配置され、第1節「地震の状況」で基本的諸元と津波到達までのタイムテーブル、第2節「被害の概要」では文章での概要説明と津波浸水がいくつかの表と図でまとめられ、感性・理性双方から状況が示されている。他方、第3節「被害の内容」では、人的被害、避難者数の推移、建物、ライフライン、交通、道路・橋梁、河川の被害など被害対象別に主に表や図で表されている。さらに、章末では4名の方の被災体験で締めくくられている。
 なお、『記録』巻末の「資料」には津波被災地域の世帯を対象としたアンケートが載せられている。詳細で有用なアンケートと思える。(ボランティアスタッフ・N)

[目次]
『概要』
 1.地図・・・4P
 2.「東日本大震災 名取市の記録」・・・10P
  地震の状況
  名取市の被害状況
 3.「名取市東日本大震災一年間の写真記録」・・・42P
  (1) 地震動被害・・・写真35葉
  (2) 津波襲来・・・・写真29葉
  (3) 津波被害・・・・写真81葉
  (4) 火災・・・・・・写真10葉
 4.写真追録
  (1) 津波被害・・・・・・・4葉
  (2) 道路啓開・・・・・・・12葉
  (3) 災害ボランティアセンターの活動・・13葉
  (4) 震災前後の比較写真・・11組
  (5) 慰霊・・・・・・・・・6葉
 5.「東日本大震災名取市民の体験集」・・・100P
    (8名)
『記録』
 第1章 名取市の概要・・・・・・・・008p
 第2章 地震津波の知識・・・・・・010p
 第3章 地震の状況・・・・・・・・・022p
 第4章 名取市の被害状況・・・・・・034p
 第5章 初動対応・応急対策・・・・・076p
 第6章 救助・捜索活動・・・・・・・114p
 第7章 医療・保健活動・・・・・・・140p
 第8章 被災者対応(避難)・・・・・152p
 第9章 被災者対応(支援)・・・・・194p
 第10章 応急仮設住宅対策・・・・・・230p
 第11章 ボランティア・・・・・・・・238p
 第12章 災害廃棄物対策(震災廃棄物)・248p
 第13章 国・県への要望事項・・・・・254p
 第14章 財政措置・・・・・・・・・・264p
 第15章 市議会の対応・・・・・・・・268p
 第16章 慰霊・・・・・・・・・・・・274p
 第17章 支援・・・・・・・・・・・・276p
 第18章 要人訪問・・・・・・・・・・286p
 第19章 復旧への取り組み・・・・・・290p
 第20章 復興への取り組み・・・・・・296p
 資料編・・・・・・・・・・・・・・・304p
 インタビュー・寄稿文・・・47人