スキルアップ!情報検索:基本と実践

中島玲子, 安形輝, 宮田洋輔著

日外アソシエーツ , 紀伊國屋書店 (発売) 2017.9 192頁

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 情報検索を初めて学ぶ学生、スキルアップしたい現場の図書館員、体系的に学ぶ機会がなかった社会人のために書かれた入門書。情報検索の入門書としてだけではなく、資料論としても使える本である。

 全体は下記の3章に分かれている。

  • 第1章 情報検索 基本編(情報を検索するとは;データベースと検索の仕組み;データベースには得意分野がある ほか)
  • 第2章 情報検索 実践編(図書を探す;雑誌記事を探す;新聞記事を探す ほか)
  • 第3章 検索裏ワザ お役立ち情報編(フィールド別の検索のすすめ—より的確に調べる;やり過ぎは機会損失—検索漏れを減らす;より広く適したものを探す—論理和や上位概念の活用 ほか) 

 Amazonのカスタマーレビューでは、いずれも初心者と思しき人々から高い評価を得ている。しかし本書は「初級は卒業した」と思っている人にも読んでほしい。

 あなたは我流の検索で事足れりと思っていますか。Google検索で上位5件ぐらいを読んで満足していますか。Googleのオプション検索を使いこなしていますか。統計情報の探し方を知っていますか。

 こんな質問に、順に「はい、はい、いいえ、いいえ」と答えた人なら、絶対に読んで役立つ本だ。知っているようで知らないことや、部分を知っていても全体を知らないことはいくらでもあって、検索の世界でもそれは当てはまる。だから、第1章の基礎編が大事である。

 基礎編をざっと眺めてここは飛ばし読みでも大丈夫と判断した読者なら、第2章から読んでもいい。本書が司書課程の「情報サービス演習」のテキストやサブテキストにぴったりなのは当然だが、第2章の実践編は「図書館情報資源概論」や「特論」のサブテキストにも使える。実際、いまや図書館情報資源といえば、図書館の蔵書として所蔵されている図書や雑誌だけでは不足しており、たとえば行政情報を調べたい利用者にとっては、WEBからの情報入手は欠かせない。そんな場合には、第2章の「統計情報を探す」「公的な資料、法律、判例を探す」が大いに参考になる。

 第3章になると、検索の裏技が披露されている。検索結果から適切な検索語を見つけて再検索する(これを「フィードバック」という)とか、検索語が多すぎると機会損失になるとか、英語以外の外国語をどうやってうまくGoogle翻訳にかけるのかとか、既に実践している人もいそうだが、さまざまな技が論理的に示されているので説得力がある。

 以上、褒めるところばかりであった本書の最大の長所はその読みやすさにある。そしてもう一つ、例題がよく練られているという点。さらに、200頁に満たない本なのに巻末に索引がついているのも嬉しい。

 わたし自身がもっとも目からうろこが落ちたのは、「代行検索のポイント」と「検索評価の視点」の部分だ。これらは3章の末節に置かれていて、これは図書館でいう「レファレンスサービス」の過程で生まれる事柄である。レファレンスとは、「調べ物依頼とその回答」という意味で、利用者からの調査依頼と、図書館員による調査結果の回答の両方を指す。本書では図書館におけるレファレンスサービスだけではなく、日常生活での「代行検索」にこれを当てはめて説明しており、とてもわかりやすい。検索結果の評価については不断におこなう必要があり、その評価軸がきちんと示されているところが役に立つ。

 あとは、本書を読んでさらに深い知識を得たいと思った読者に参考図書の案内があれば、なお良かった(欲張りですみません)。(谷合佳代子)