エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

映画「パブリック 図書館の奇跡」公開記念トークイベントに館長登壇

<2020.7.8追記 下記トークイベントは動画がアーカイブされていますので、いつでも視聴可能です>

 映画ファンである当館館長・谷合も登壇するイベントを紹介します。以下、配給会社のサイトより転載します。

『パブリック 図書館の奇跡』公開記念🌤
日本各地の《公共》のエキスパートと考える!
《公共性を持つ空間》のあり方と未来
2夜連続開催

新作映画『パブリック 図書館の奇跡』の問いかけをきっかけに、コロナ禍でより露わになった、図書館・美術館・駅・公園など、日本の公共施設の抱える問題とその解決策、また《公共》の役割について、国内各地のエキスパートをオンラインでつなぎ共に考える座談会の配信イベントです。

【第1夜】
7/7(火)18:00~19:30 予定
配信URL:https://youtu.be/GC4aGeKo2TM

[司会]岡本真(アカデミック・リソース・ガイド株式会社 (arg)代表、著書『未来の図書館、はじめませんか?』)
[登壇]
福島幸宏(東京大学大学院 情報学環 特任准教授)
嶋田学(奈良大学 文学部 文化財学科 教授・司書課程)
谷合佳代子(公益財団法人大阪社会運動協会・エル・ライブラリー)
岡野裕行(皇學館大学文学部国文学科准教授)
桂まに子(京都女子大学図書館司書課程)
*敬称略・順不同

【第2夜】
7/8(水)19:00~20:30 予定
配信URL:https://youtu.be/D3VJK0lDI4w
[司会]岡本真
[登壇]
田中元子(株式会社グランドレベル代表取締役社長、喫茶ランドリー オーナー)
平賀研也(前県立長野図書館長)
川上翔(NPO法人ビッグイシュー基金 プログラム・コーディネーター)
*敬称略・順不同

ぜひご覧ください👀💡📚

新着雑誌です(2020.6.30)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労務事情 No1407 2020.6.1・15 (201376977)

人事実務 No1209 2020.6.1 (201377009)

労政時報 3995号 2020.6.26 (201376993)

企業と人材 No1088 2020.6.5 (201376985)

月刊人事マネジメント 354号 2020.6.5 (201377017)

労働経済判例速報 2405号 2020.4.10 (201371770)

労働経済判例速報 2406号 2020.4.20 (201371838)

労働経済判例速報 2407号 2020.4.30 (201371804)

労働経済判例速報 2408号 2020.5.10 (201371861)

労働経済判例速報 2409号 2020.5.20 (201371895)

労働判例 No1217 2020.4.15 (201377033)

労働判例 No1218 2020.5.1 (201377066)

労働判例 No1219 2020.5.15 (201377090)

労働判例 No1220 2020.6.1/15 (201377157)

労働基準広報 No2031 2020.6.11 (201377181)

労働基準広報 No2032 2020.6.21 (201377124)

 

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『団塊の世代の仕事とキャリア  ―日本の大企業における大卒エリートのオーラル・ヒストリー』

 清水克洋 谷口明丈 関口定一 編(中央大学出版部/2019年/A5判上製336頁)

 

 本書は、「団塊の世代」のサラリーマン・エリートが企業においてどのように仕事をし、キャリアを培って、日本企業の中核を担ったかの5名のオーラル・ヒストリーと、それをもとに5名の研究者が「団塊の世代の仕事とキャリア」論を展開する構成であり、中央大学企業研究所研究プロジェクトによる成果をまとめたものである(中央大学企業研究所研究叢書40)。

 「団塊の世代」とは、1947年~49年の3年間に出生した、いわゆる「第1次ベビーブーム世代」をいい、堺屋太一の近未来予測小説『団塊の世代』(講談社/1976年)によりその呼称が広まったと言われている。彼は、その本の扉で「団塊の世代は、過去においてそうであったように、将来においても数々の流行と需要を作り、過当競争と過剰施設とを残しつつ、年老いていくことであろう」と予言している。ちなみに、この年の出生数は、ピークで270万、この間毎年それに近く、現在の3倍近いベビーが生まれたということである。この世代は、成長するにつれ、「グループサウンズ世代」「戦無派世代」「全共闘世代」「フォーク世代」「ニューファミリー世代」と呼ばれてきて、もとは他称だったが、今や「団塊の世代」は自称となっている。そして、団塊の世代の高齢化による雇用、年金、医療の問題群が予測指摘されてきた。

 この世代論は、生きた時代背景やその特徴など、第Ⅱ部で論じられていて非常に興味深いが、本論はここではない。

 第Ⅰ部で語られる5名のオーラル・ヒストリーは、団塊の世代に属し、1972年京都大学経済学部卒という、いわゆるエリートが、日本を代表する大企業(日立製作所旭化成伊藤忠商事日本長期信用銀行マツダ)でキャリアを形成して、1970年前後から2010年前後までの約40年間の日本経済を担っていくヒストリーである。ヒアリング調査の目的は次の4点が示され、その問題意識が貫かれている。

  • 大卒エリート社員のキャリアパスを明らかにする
  • 彼らが日本企業の組織能力の形成に果たした役割を明らかにする
  • バブル崩壊後の彼らの位置・役割を明らかにする
  • 団塊の世代の歴史的意義を明らかにする

 5つの証言は「個性的で、多数の貴重な事実がちりばめられており、聞き手を強く引き付けるものであった」とされ、「この世代が生きた時代を見事に反映したものであり、他の世代は決してこのように人生を生きることはないであろうという意味で、この世代に固有のものであった」とされている。

 それらがもつ意義については、それぞれに研究者による示唆的な解題が試みられている。

 そして共通の特徴として、― 組織人として日本的雇用慣行の下で、組織内キャリアを形成したこと、それは厳しい競争とともにあり、さらにその厳しさは徐々に強まっていたこと、職業人生の後半の20年は、バブル経済の崩壊、経営合理化、成果主義導入などを経験し、苦労したことなど― が語られている。

 5名の各オーラルヒストリーを紹介する紙数がないので、概括的な紹介になってしまうが、印象に残った言葉がある。バブル崩壊後の経営側の対応について、「選択と集中」というが、「私から言わせればほとんどリストラと同義語に近いように思う」という見識や、また当時の経営改革は「決して良い話、全員が賛成できる話ではなく、大変血が出る話でした」とその心痛を語り、さらに、われわれは「逃げ切り世代」かも知れないという心情の吐露などである。その流された血をどうしてくれるのかという反駁はここでは控えるが、日本的経営を担ってきた彼らの、成果主義への短期的・長期的評価やその具体的展開から、何を学ぶのか、「能力主義」批判の思想的基盤や土壌をどう耕せばいいのか、じっくり考えさせられる書である。(伍賀 偕子<ごか ともこ>元「関西女の労働問題研究会」代表)

 

所蔵資料紹介~辻󠄀保治資料(近江絹糸紡績労働組合関係資料)

 2019年度より当館特別研究員に就任した下久保 恵子による「所蔵資料紹介」のシリーズを始めます。まずは辻保治旧蔵資料からいくつかの同人誌や職場新聞などをピックアップして紹介していきます。第1回は『熔岩』を取り上げます。

 

1.『熔岩』(彦根の詩サークル『熔岩詩人集団』) 

写真は、『熔岩』17(熔岩詩人集団,1954.4.8)の表紙絵及び挿入版画

表紙絵:北照夫 版画:江口 峻

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  熔岩詩人集団は、1952(昭和27)年、大西作平、猪野健司、中川郁夫他5名で発足し、同年、5月に「熔岩」第1号を発行した。社会的なイデオロギーを詩の中に盛り込むことを目指し、その後、1965(昭和40)年6月の81号まで続刊された(注[1])

『熔岩』は、当時の全国的な詩文学誌であった、『列島』4号(1953.3)掲載の「サークル詩の現状分析と批判」(関根弘大久保忠利鶴見俊輔,安東次男)において、「全国各地方のとくにその組織的な活動が顕著とおもわれるサークル」として他の12の詩誌とともに検討対象となっており、注目度の高い地方詩誌であった。

辻資料には、10-11,15,17-20,22-25,27,28,30-34,36,43,53,63-66,68号の26号分の熔岩本誌が所収されている。資料中の『熔岩』は,ガリ刷で,表紙は多色刷,本文にも版画やカットが入っている。表紙やカットの制作については、制作者名の記載のある号もない号もあるが,交代で行っていたようである。

余子敏,川本道成「近江絹糸の詩サークルはどうして生まれたか」(『詩運動』№14(詩運動社,1955) によれば, 辻氏が『熔岩』に参加したのは,近江絹糸人権争議以前の1954年2月頃とされている。人権争議以前に、辻氏のペンネームである「余子敏(よごさとし)」 の作品として、『溶岩』17号(1954年4月),18号(1954年5月)に詩や俳句群が掲載されている。

17号に掲載された俳句作品群(抜粋)を紹介しよう。なお、タイトルにある「ふくろう」は当時、近江絹糸で行われていた深夜専業労働者(深夜番)のことをさし、辻氏自身も精紡職場の深夜番であった(注[2])

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-俳句- ふくろうとその群の章 余子敏

 ホコリより逃れ一人月を吸い

 公休あり深夜番陽に伸々

 「入試止」あきらめ ており顔々

ふくろうの群新生夜のいとなみ

 買われおる労組大会 春雷

 発言 解雇去る友に朝の雪

 議題発言なく満悦 椅子の人

 惨。黒々の群に一面朝の日

 眠ざむれば晴天の昼睡り足らず

 夜眠か嬉しくなにか夢見ん

 われ若く の春あせて不安

 

 (注1)熔岩詩人集団の設立、活動については、、『熔岩』第10号(1953)、『暗い中に笑顔が』pp.122-123,「近江文学百景 ―湖国の詩脈・戦後編〈11〉―数々の詩集について ―『暗いなかに笑顔が』ほか―」(『湖国と文化』1986年夏第36号 pp.72~pp.73)参照

 (注2)ゼンセン同盟オーミケンシ労働組合『大いなる翼を広げて大いなる翼を広げて-労働組合30年史-」(1989)p95参照

           (下久保 恵子 エル・ライブラリー特別研究員)

 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

『旧真田山陸軍墓地、墓標との対話』

小田康徳編著(阿吽社/2019年/四六判301頁)

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 旧真田山陸軍墓地ってどこにあるかご存知だろうか? 大阪市天王寺区玉造本町の台地上にあり、広さは15,077㎡である。創設は1871(明治4)年、日本で最も早く大阪に設置され、1945年の敗戦と陸軍解体に至るまでに軍と戦争に関わって死んだ人のさまざまの墓標が、軍の階級別または戦役別などに区画されて整然と並び、個人の墓碑数は5,091基以上にのぼり、日露戦争満州事変に関わる合葬墓碑が5基、日中戦争から第二次世界大戦終結までについては、別に8,249人分のデータをもって数えられる戦没者男女の分骨を納めた納骨堂が建てられている(納骨堂には、女性と思われる名前の方が少なくとも5人、看護婦長1人、陸軍軍属3人、所属記載なし1人が葬られている)。

 本書は、小田康徳はじめ「NPO法人 旧真田山陸軍墓地とその保存を考える会」に属する人々15名による執筆で編纂されている。本書に先立って2006年『陸軍墓地がかたる日本の戦争』(小田康徳・横山篤夫・堀田暁生・西川寿勝編著/ミネルヴァ書房)が刊行されている。今回は、軍と戦争に関わって命をおとした人びと一人ひとりの存在を物語る墓標に注目し、書名にあるように、いくつもの「墓標との対話」を重ね、その生と死を語る他の史料を丹念に探し出して検証し(例えば出身地の自治体史など)、この墓地に葬られるに至ったその時々の陸軍や戦争の真実にきわめて具体的に迫る、貴重な歴史研究である。その一つひとつの探索・検証の尽力には、頭がさがる思いである。

 構成は、第一部:陸軍墓地の通史 第二部:さまざまな死者との出会い― からなり、第二部では、― 第1章:平時の死没者、第2章:西南戦争と大阪での死没軍人たち、第3章:日清・日露の戦争から大正期の対外戦争まで、第4章:十五年戦争と関わった人々、第5章: 真田山陸軍墓地を考える― の章立てとなっている。

 概括的な見出しに括られてはいるが、「さまざまな死者との出会い」は、旧陸軍とそれが主導した日本の戦争というものの重荷を一身に受け亡くなった人びとの生への思いと、今を生きる私たちに多くのことを投げかけている。― 最も古く葬られた人物と謎の死、生兵(せいへい)の死、平時死者の病死、陸軍と脚気、30年間神戸に眠っていた遺骨、京都府出身の西南戦争戦死者12人、陸軍墓地に眠る2人の水兵、日清戦争時の清国俘虜、第一次大戦におけるドイツ兵俘虜、日中戦争初期の将兵39人が1日で戦死・・・ 列挙して並べるには重すぎる史実ばかりであるが、国民的な「記憶の共同体」形成のために「保存を考える会」の人々が紡ぐ歴史の掘り起しである。

 「真田山陸軍墓地と関わった日々」の記録では、戦争の悲惨、悲劇を知らない次世代に史実を伝える活動として、墓地のボランティア案内や、高校教育での実践と、若い世代から返ってきた新鮮な感想が印象深かった。―「徴兵制度のあった時代の波に呑まれて、泡のように消えていった命を思います」(高3女子)「感じたのは、なぜこのような歴史のある場所があまり管理されず、激しく傷んでいっているのかということです。国や行政がさらに動き、守っていかなければならないと考えます」((高3女子)など―

 本書および「NPO法人 旧真田山陸軍墓地とその保存を考える会」の活動は、「靖国神社」や各地の忠霊塔・忠魂碑において、「戦没者を慰霊する」という名のもとに「日本の対外膨張を肯定し、戦没者をその過程において評価する視点」が強調される風潮に対して、被葬者の死没の意味を歴史の峻厳なる検証を地道に重ね、そのありようを明確に対置している。

 2018年9月4日近畿を縦断した台風21号は、この旧真田山陸軍墓地に大きな被害の爪痕を残した。大きな木は幹が裂け、根こそぎ倒れて、墓碑の被害が甚大だった。すぐ翌日調査に行った「保存を考える会」は、管理している大阪市建設局管財課に対して、破壊状況の記録作成と復元するための基本的な注意事項5項目を申し入れた。その被害状況もリアルに記録されている。本来国が管理運営すべきことが自治体におしつけられているのであって、国は、歴史的にも重要な意味をもつものとして、墓地を文化財として認め、史跡として指定し、恒常的な展示施設を伴う研究施設を併設すべきであって、これらの対策が今までに取られていれば、台風被害も幾分かは緩和されていたのではないか― と本書は結んでいる。(伍賀 偕子<ごか・ともこ>元「関西女の労働問題研究会」代表)

新着雑誌です(2020.6.10)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 3994号 2020.6.12 (201371762)

労働基準広報 No2030 2020.6.1 (201371796)

労働基準広報 No2029 2020.5.21 (201371820)

労働法学研究会報 No2714 2020.4.1 (201371853)

労働法学研究会報 No2715 2020.4.15 (201371887)

労働法学研究会報 No2716 2020.5.1 (201371911)

労働法学研究会報 No2717 2020.5.15 (201371713)

労働法学研究会報 No2718 2020.6.1 (201371747)

 

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れいこちゃん記念文庫のささやかな募金活動

 今日6月6日は井上れいこちゃんのセカンドバースデー(命日)です。れいこちゃんは1年間小児がんと闘い、2012年に11年の短い命を閉じました。

 エル・ライブラリーのサポーターであったれいこちゃんを悼み、れいこちゃんの闘病を支えたNPO活動を支援するために、当館内にささやかな記念文庫を設置しています。れいこちゃんだけではなく、難病とともに生きる子ども達と家族を支えるNPOの情報収集も行っています。

 れいこちゃん記念文庫の詳細はこちら

 毎年この日は、れいこちゃんのお父さんであり空手家図書館員として高名な井上昌彦さんがご自宅を開放して「れいこパーティ」を開催されます。れいこちゃんを知る人たちが三々五々集まり、それぞれにれいこちゃんを偲ぶのです。

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 残念ながら今年はコロナ禍のためにこのれいこちゃんパーティが中止となりました。毎年この日を期して当館内に設置している募金箱を空けます。一年間にたまった金額にスタッフが私費を足してまとまった額(といっても些少)をチャイルド・ケモ・ハウスに送っています。

 れいこちゃん記念文庫を設置して今日でちょうど7年となりました。れいこちゃんが星になってからは8年です。あっという間に過ぎてしまった日々の流れを偲びつつ、れいこちゃんや難病と共に生きる子どもたちを支援するためのNPOなど市民活動を情報面から支援するために、当館はこれからも情報収集と発信を続けていきます。

 現在レット症候群支援機構、FOP(筋肉が骨になる難病)と闘う少年の手記『神様からの宿題』、メイク・ア・ウィッシュなどの資料を展示しています。レット症候群については、こちらに病気とともに生きる少女の動画があります。ぜひご覧ください。

www.youtube.com

 

www.kemohouse.jp