エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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メルマガ500号記念プレゼント

 このところ、何冊も新刊本を恵投いただいています。そのうち、複数を頂戴した図書について、当館メールマガジン読者にプレゼントします。

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 本日発信するメールマガジンが記念の500号となります。今からでも読者になっていただければ、500号と501号でプレゼントの案内をしますので、ご応募できますよ~♪ 応募者多数の場合は抽選します。

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今回読者の皆様にお贈りするのは、下記3冊です。

① 小田康徳著『明治の新聞にみる北摂の歴史』神戸新聞総合出版センター 2021年9月 A5判310頁 2200円+税  紹介文はここ

熊沢誠著『スクリーンに息づく愛しき人びと 社会のみかたを映画に教えられて』耕文社 2022年4月 1800円+税 (紹介文は近々掲載予定)
労働政策研究・研修機構編『近江絹糸争議斡旋経過 中央労働委員会による』労働政策研究・研修機構 2022年3月 1800円+税 (紹介文は近々掲載予定)

新着雑誌です(2022.4.7))

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労務事情 No1445 2022.4.1 (201419975)

企業と人材 No1110 2022.4.5 (201420007)

賃金事情 No2845 2022.4.5 (201420031)

月刊人事マネジメント 376号 2022.4.5 (201420122)

人事実務 No1231 2022.4.1 (201420064)

労働判例 No1258 2022.4.1 (201420098)

月刊人事労務 396号 2022.1.25 (201420155)

地域と労働運動 257 2022.1.25 (201419959)

 

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「読売新聞」に労働遺産認定委員としての館長コメントが掲載されました

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 世の中はウクライナでの戦争に耳目が集まり、それはそれは悲惨な状況が連日報道されています。図書館は平和の礎の一つと考えている私はこの状況に何ができるのかと思いをめぐらせています。図書館に戦争を止める力はありませんが、戦争に至らない道を探す知識の宝庫として、過去の記録や先人の知恵をアーカイブすることが図書館の使命と考えます。

 さて、そのような折ではありますが、今年1月に「日本労働ペンクラブ」が初めて選定した「労働遺産」が発表され、認定証が公布されました。栄えある第1回の労働遺産に認定されたのは以下の2件です。

ⅰ 川崎・三菱大争議など大正時代の関西労働運動の記録
ⅱ 近代的労働運動発祥の地記念碑と遺構

 認定証はこれらの労働遺産を所有、管理する下記4団体に交付されました。
・法政大学大原社会問題研究所(東京都町田市)
賀川豊彦記念松沢資料館(東京都世田谷区)
・賀川記念館(神戸市)
一般財団法人日本労働会館友愛労働歴史館

 労働遺産の詳細はこちら

 当館館長・谷合は労働遺産認定委員の一人として1年間の協議に参画してきました。そして、労働ペンクラブ関西支部・森田定和代表が神戸の賀川記念館・馬場一郎館長に認定証を交付する場にも立ち会いました。

 このたび、読売新聞大阪本社の辻阪光平記者が記事を書いてくださいましたので、皆様にお知らせいたします。著作権保護のために本文を全部は読めないようにしていますが、最後に谷合の言葉が掲載されていますのでご笑覧ください。

 また、これに先立ち、日本労働ペンクラブ関西支部支部通信』第35号(2022.1)に「日本労働ペンクラブ労働遺産認定「川崎・三菱大争議など大正時代の関西労働運動の記録」の意義について」と題して谷合が短文を寄稿しています。(谷合佳代子)

『戦時期日本の働く女たち ジェンダー平等な労働環境を目指して』 

堀川祐里 著(晃洋書房/2022年2月/A5判228頁) 

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 本書は、戦時期の女性の労務動員についての歴史的・実証的研究から、現代にも通じる女性労働者の稼得労働と妊娠、出産、育児に関する課題を照射している。

 著者は現在、新潟国際情報大学国際学部講師で経済学博士(中央大学)。戦時期の女性労務動員についての研究論文が多く、2020年10月には、赤松常子顕彰会より「第49回赤松賞」を受賞している。

<目次> 

全体の構成は以下の通りであるが、各章の見出しと副題が工夫されていて、読者の関心のあるところからアクセスでき、読書会のテキストとして活用できるイメージが湧く。

はしがき
序 章 戦時期日本の働く女たちに関する研究のこれまでとこれから 
第一章 一九二〇年代から一九三〇年代の女性の就業状態 
― 労働運動の指導者と研究者の視点から見た働く女たち 
第二章 未婚女性の労務動員のための「戦時女子労務管理研究」 
 ― 労働科学研究所の古沢嘉夫の視点から 
第三章 既婚女性労働者の困難 
 ― 妊娠、出産、育児期の女性たち 
第四章 女性たちの労務動員に対する態度の多様性と政府の対応策 
第五章 赤松常子の主張と産業報国会の取り組みとの齟齬 
 ― 既婚女性の労働環境をめぐって 
第六章 戦時体制が残した女性労働者の健康への視点 
 ― 生理休暇の現代的意義 
終 章 戦時期日本を生き抜いた働く女たち 
あとがき

<戦時期日本の女性労働環境の研究・提言が問うていること>

 著者曰く「戦時期は、資本主義社会における自助原則、つまり自己責任の原則がむき出しになった時代であった」と。本書では、戦争を生き抜くために、働く女性たちを保護しようという視点をもった労働科学研究所の古沢嘉夫の研究や、戦前の日本労働総同盟婦人部の指導者・赤松常子(産業報国会でも使用者に抵抗した)の提言・行動を中心的に追跡している。

 労働科学研究所の研究者たちは、生殖能力の指標としての月経の調査研究を続け、女性の健康状態を可視化した。

 そして、これらの蓄積が、敗戦直後の労働基準法制定において、国際的にも初の「生理休暇」規定に結実したと規定している。労基法は第8次案まで紆余曲折を経て、生理休暇規定実現までの赤松常子や谷野せつらの健闘も貴重な記録である。均等法制定過程で「生理休暇」規定が労基法から消えたかの風潮が支配的な昨今、コロナ禍で「生理の貧困」が問題となり、最近メディアでも改めて「月経」についての考察が話題となっている。

 著者は現代的課題から戦時期の女性の働き方を照射していて、歴史研究としてだけでなく、今まさに求められている実践的課題を導いている。

 本書の帯には、~「生理休暇」が<消える>ためには?~のキャッチフレーズが踊っている。第6章では、赤松の生理休暇要求の根幹は、労働環境、休暇・休養一般の不備であったのではないか、女性労働者の労働生活の改善のための足掛かりとしてとらえていたのではないか、さらに、この規定制定後もそれで事足れりではなく、女性労働者の労働環境改善に対して主張を続けたと。

 著者の結語は、~ 現代日本を生き抜く働く女性には、仲間と繋がれば、自分たちの生活を、ひいては社会全体を変えられると信じて行動してほしい。戦時期日本の働く女たちについての本研究が、少しでも今を変えるきっかけになればと願う~と。(伍賀 偕子(ごか ともこ))

所蔵資料紹介~辻󠄀保治資料(近江絹糸紡績労働組合関係資料)

29. サークル誌(1)

 辻󠄀資料には、近江絹糸各工場で活動していたサークルが作成したサークル誌が16タイトル41点(重複を除くと38種)含まれている。最も多いのが彦根工場のもので、12タイトル37点(34種)にのぼる。彦根工場のサークル誌はその作成年代、背景によって、概ね3つの資料群に区分できる。

 第一は、人権争議終結後の1954年10月から1956年4月に発行されたサークル誌である。『波紋』(若葉会、話合[文学])、『ともしび』(読書会、文学)、『クルミ』(クルミ会、演芸・コーラス)、等が存在している。

『ともしび』5号(1955年4月)

クルミ』(1955年12月)

 人権争議発生後、近江絹糸の各工場では、文芸・音楽等のサークル活動が一気に盛んになった。1955年7月の彦根支部大会報告には、文学関係3、話合1、演芸・コーラス1、絵画1の6つのサークルが列挙されている。

 サークル誌の内容を見ると、「緑の会はアカでもなんでもないと言う事をよく知ってもらいたいと思います」(緑の会『波紋』創刊号6頁)等サークル活動が政治活動の場と見られていたことがわかる。当時を回顧する座談会において、辻󠄀自らが、共産党細胞等のサークルへの関与について話していることからも、人権争議期の文化活動は争議にかかわった様々な政治勢力と無縁では有り得なかった。一方で、同じ座談会で、辻󠄀は「…おそらくサークルは自然発生的に生まれています。そこに後から共産党の指導が入ったということはいえますが、彦根の場合生まれたのは自然発生的だと思っています。」とも語っている(注1)。

 争議中に彦根支部文化部が創刊した『暁起』(1954年8月発行)は主に組合員が投稿した手記や詩を中心に編集されているが、創刊号に、「労組の文化活動について」と題した座談会の記事が掲載されている。これは、全繊滋賀支部が司会で、日清労能登川東レ瀬田、鐘紡彦根などの労働組合の教育文化担当者が出席し、近江絹糸のこれからの文化活動に助言をしようという企画である。

 しかし、組合員の自主的な投稿を中心とした機関誌の発行やサークル活動の積極的支援を行っている組合は少なかった。むしろ、「近江絹糸で、今後、文芸サークルとか、その他の文化活動を、いかに活発に行なって行くか」、経済面からも「うまく会社にやらせる様に仕向けるという動きを示す事が大切」であり、「この大争議で、いろいろ原稿として書く事は今の所は、なんでもありますが、これからは、そういうものもなくなつてくんじゃないかな」という感想が述べられている。

 これに対し、近江絹糸の文化活動担当は次のように述べている。

「‥私としては、近江絹糸の組合員は、本当に百八十度転換したと思うんです。今迄、圧えつけられていて何も思つた事をしゃべれず、日記以外は、公にしてペンを動かす事されなかつたですが、今は違うんです。この発刊【著者注:本記事の掲載されている『暁起』のことだと思われる】に当つて各支部からの原稿を募集した所圧倒的多数の真実の声が寄せられたのです。どれも今迄に見られなかつた人間として、人間らしく真剣に生き抜こうと言う、真に胸を打つものです。」

 すでに、軌道にのった労働組合活動の一部門として教育文化活動を行う他組合と、文化・表現活動が自由の象徴として、労働運動と一体となって進められる高揚期にあった近江絹糸労組との温度差が読み取れる。

『暁起』創刊号

(注1) 「近江絹糸の思い出」(『大阪労働運動史研究』NO.15,1985)25-26頁

 

(下久保恵子 エル・ライブラリー特別研究員)

 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

 

新着雑誌です(2022.3.28)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4032号 2022.3.25 (201420148)

ビジネスガイド No916 2022.4.10 (201419991)

労働基準広報 No2093 2022.3.21 (201420114)

賃金と社会保障 1796号 2022.2.25 (201420056)

賃金と社会保障 1797号 2022.3.10 (201420080)

地域と労働運動 2022.2.25 (201420023)

 

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所蔵資料紹介~辻󠄀保治資料(近江絹糸紡績労働組合関係資料)

28.職場新聞(21)替歌

 「うたごえ運動」は、戦後、日本共産党の文化工作の一環として始められたが、その後、1950年代に民主主義を守る運動、平和を求める運動として党派を超えて広がり、大きく発展していった。一方、労働現場でも、サークルや職場で集い、歌うことが広がった(注1)。

 1957(昭和32)年6月16日付「第三回支部大会報告書及議案書」(近江絹糸労働組合彦根支部)の教文部の活動報告にも「うたごえの仕事ぶり」として項目が立てられ、組合運動の一環としてとらえられていたことがわかる。また、辻󠄀保治資料には、歌詞集や替歌集なども残されている。

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『晒練替歌集』晒練職場会

 職場新聞にも「うたごえ」として休み時間などに共に歌う呼びかけが多数見られるとともに、多くの替歌が掲載されている。替歌の歌詞からは労働者の日常がうかがわれ、興味深い。

労働運動歌っぽいもの。

 替え歌 ‖娘船頭さん‖

  • 娘十八口紅させど

わたしや淋しい 紡績娘

春がくるのに花さへ 咲かず

みるは排綿のヨー 綿ばかり

  • 思い出します 人権争議

お前も私もハチマキしめて 百六日の

苦闘我等のヨー 大勝利(注2)

  • 歌が聞える平和の■唄が

職場の汗から 明るい声が

自由と権利を守るために

やるぞみんなのヨー

たくましい力

(排綿有志合作)

(絹紡製綿『蛹粉の中で』3号4面)

 

かえうた

  • 人繊仕上は

われらの職場

おれらがやらなきゃ

守れないからに

  • 同志よ頑張ろ 

職場を守ろ

  おれたちゃ家には

    帰れないからに

  • 機械がとまれば

  われらが困る

おれらのいるとこ

  こゝしかないさ

 (雪山賛歌のふしでうたう)

 (この続きを皆で作りましょう。)

(綿・スフ紡仕上『じんし』5号4面)

 

職場の様子がわかる歌。

替歌

  • 俺らはナー

入社以来のラップ上げ

しんしょは、カバーとロット(注3)だよ

大小さま〲なラップを

上げて上げて又上げて

何時になったら幸せを

エーつかめるね

ドッコイシヨー

ドッコイショー

二、工場はナー

  むされるような暑さだよ、

  これでは体がもつものか

  だからたまには休みたい

  早く早くそれ冷房をつけておくれよ課長どの

  エーたのみますヨー

  ナンマイダー

  ナンマイダー

  (節は俺等は炭坑夫)

(綿・スフ紡混打綿『ラップ』6号2面)

 

我等の賛歌

一、運の向きよで入った職場

あせとほこりのたいぬとこ

これがおいらのガス焼き

よせよセンチな泣きごとなどは

みんな仲よくなアおい

やろうじゃないか。

二、灰にまみれた手のひら見れば

あかくにじんだ糸切の(注4)

これがおいらのガス焼さ

よせよセンチな泣きごとなどは

我らガス焼さなアおい

守ろうじゃないか

(風の吹きよで)

(絹紡ガス焼『ほのお』12号2面)

 

ブルージーな毎日

替歌

一、赤い夕日が琵わこにしずむ

工場にや■■ランプの灯る頃

オイラまづしい深夜番(注5)

いつになったらやめられる

あヽー夜になってもねむれない

オイ!社長金おくれ オイラ

借金だらけだ えヽ?あなた

ウン ふられたんだ

二、油によごれたポケットをのぞきゃ

今日も小さなタバコだけ

安給料と借金にゃ なれているけど

くるしいよ

あヽ―金のない身がつらいのさ

三、まぶたにうかぶあの人恋し

今頃ネ床でたかまくら

オイラ糸つぎ汗くさい

楽しかるべき青春を

あヽ―夢のない身がつらいのよ一、                                                                                                                  赤

(綿・スフ紡精紡『ぼこぼこ』3号4面)

 

そして恋の歌も

ケセラセラ

滋賀ひとえ

  • 僕の好きな彼女がいます。

毎日楽しくすごせます。

ケセラセラなる様になるは

先のことなど判らない。

二 絹糸で結婚してくれますか。

  毎日がとっても苦しいです。

  ケセラセラなる様になるわ

  心中しても知りませんよ。

       ケセラセラ

(綿・スフ紡精紡『ぼこぼこ』6号4面)

 

(注1)河西秀哉「1950年代うたごえ運動論」(大原社会問題研究所雑誌No707・708,2017)参照。

(注2)近江絹糸人権争議のこと。

(注3)混打綿工程の最終製品は綿またはスフ綿のシートを巻き上げたラップである。カバーはラップにかけるカバー。ロットはラップに通す芯棒で、ラップを運ぶために使う。

(注4)ガス焼は絹糸紡績の仕上の一工程で、絹糸をガスバーナーが設置されたガス焼台の突起(ランナー)に巻き付けて糸の毛羽立っている部分を焼き、艶を出す。職場は暑く、台は灰だらけであった。

(注5)深夜番は深夜業専門の労働者。人権争議終結後は、週単位で日勤との交替制となった。

(下久保恵子 エル・ライブラリー特別研究員)

 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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