エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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寄贈本紹介

『つながる 寄りそう 支え合う 労働者福祉中央協議会結成70周年記念誌』

労働者福祉中央協議会(2020年3月/私家版/A判32頁) 本冊子は、全国各地で活動している「労福協」の中央組織結成70周年を記念して発刊された。 日常的に労働組合運動を担っている人々でも、「労福協」というと、大単産や労働福祉団体の幹部によって運営され…

『広告の夜明け 大阪・萬年社コレクション研究』

竹内幸絵・難波功士編(思文閣出版/2017年12月/A5判316頁) 本書は、1890(明治23)年に大阪で創業された広告代理店「萬年社」が、その倒産(1999年)までの約100年間に収集した広告資料や文献などの「萬年社コレクション」を詳しく分析研究している。二人の…

「1968」を編みなおす 社会運動史研究2

当館特別研究員・黒川伊織の論考も掲載されている『社会運動史研究』2号を紹介します。 「社会運動史研究」の第2号として、「1968」を編み直すという特集構成で刊行された。1968年は社会運動の高揚が同時多発的に見られた年であるが、編者は次のように述べ…

『団塊の世代の仕事とキャリア  ―日本の大企業における大卒エリートのオーラル・ヒストリー』

清水克洋 谷口明丈 関口定一 編(中央大学出版部/2019年/A5判上製336頁) 本書は、「団塊の世代」のサラリーマン・エリートが企業においてどのように仕事をし、キャリアを培って、日本企業の中核を担ったかの5名のオーラル・ヒストリーと、それをもとに5…

『旧真田山陸軍墓地、墓標との対話』

小田康徳編著(阿吽社/2019年/四六判301頁) 旧真田山陸軍墓地ってどこにあるかご存知だろうか? 大阪市天王寺区玉造本町の台地上にあり、広さは15,077㎡である。創設は1871(明治4)年、日本で最も早く大阪に設置され、1945年の敗戦と陸軍解体に至るまでに…

『ハンセン病療養所と自治の歴史』

松岡弘之著『ハンセン病療養所と自治の歴史』(みすず書房、2020年2月) 1909年、大阪市と尼崎市の境を流れる神崎川河口の中州(大阪市西淀川区中島)に、2府10県の第三区連合府県立外島(そとじま)保養院が開設された。1934年の室戸台風で外島保養院は壊…

20世紀メディアよもやま話

当館館長・谷合佳代子も寄稿したエッセイ集が発行されました。 本書は雑誌『Intelligence』購読会員だけが読める限定ブログに掲載された記事を編集して冊子にしたものです。錚々(そうそう)たる研究者たちが書かれた記事の中に、不釣り合いに谷合のエル・ラ…

「患者」の生成と変容 日本における脊椎損傷の歴史的研究

坂井めぐみ著(晃陽書房/2019年7月/B判305頁) 著者は10代に脊髄損傷を負い、入院・療養生活から一歩踏み出して大学に入学し、企業に就職したのち、再び大学院に進学して研究に取り組んできた。 本書は2018年の博士論文を加筆修正したもので、脊椎損傷医療…

「情」と「理」 山﨑弦一語録集

発行:連合大阪(2019年12月/B判178頁/私家版) 本書は、連合大阪(日本労働組合総連合会大阪府連合会)会長を3期6年務め、2019年10月に退任された山﨑弦一氏の、定期大会や執行委員会、メーデーや春闘決起集会などにおける挨拶を、退任を機に「語録」とし…

『社会運動のグローバル・ヒストリー 共鳴する人と思想』

田中ひかる編著(ミネルヴァ書房/2018/A5判298頁) 本書は、19世紀から現代までに世界で現れた「国境を越える社会運動」に焦点を当て、歴史をグローバルに学ぶことを目的に、大学1年生向け講義のテキストを念頭に編まれている。 本書での「社会運動」の定…

蛾のおっさんと知る 衝撃の学校図書館格差 ~公教育の実状をのぞいてみませんか?〜

(株)郵研社ホームページより あなたのお子さんの学びに寄り添うはずの学校図書館。自治体によって信じられないような教育格差があることをご存知でしたか? その実態を蛾のおっさんと共に考えてみましょう。 「こんな図書館は、花マルだね!」「こんな図書…

『宇田川文海に師事した頃の管野須賀子』

堀部功夫著(日本古書通信社/2019年/B判321頁) あの大逆事件(1910~11年明治天皇暗殺計画容疑で多数の社会主義者が逮捕・処刑された)で、幸徳秋水ら12名が処刑されたが、そのうち、女性は管野スガ一人のみだった。 その管野スガについて、「宇田川文海…

『カレチ』全5巻

池田邦彦(講談社 モーニングKC/総ページ数1150頁) このコミックは講談社『モーニング』の2009年14号~2013年31号に不定期連載され、2011年1月~2013年6月には毎月1度連載されたもので、最終巻5巻を除いては一話読み切り形式である。第5巻の発刊は2013年8…

凛として 亡命したILO労働代表 松本圭一の生涯

飯塚恭子著(私家版/2018年11月/B5判170頁) 著者は、ノンフィクション作家。著者の遠縁(曾祖母の弟)にあたる、ILO労働代表松本圭一の、波乱万丈の人生とその生きざまを丹念に掘り起こしたドキュメントである。『深き淵より汝を呼べり』で第4回朝日ノン…

エル・ライブラリーの資料紹介記事が掲載される

当館館長・谷合佳代子が執筆した当館資料紹介の記事や講演録が10月から11月にかけて刊行されました。ご紹介が遅くなりましたが、写真と共にお知らせします。 (1)「エル・ライブラリーのアーカイブズ : 収集から活用まで」 (特集 マイノリティ・アーカイブ…

『母』([前編]・後編)

『母』([前編]・後編) 松井勇著(蔕文庫舎/2009年; 2019年 / 四六判) 本書は、前編の刊行10年後に後編が刊行されている。戦後すぐの労働運動高揚期から労働運動一筋の道を歩み、退職後は、文芸投稿誌『蔕文庫』(季刊)の主宰者であった、松井勇氏の歩み…

当館情報も掲載されている『専門図書館探訪』

本書は一般の人たちが利用できる公開型の専門図書館のサービスや資料を紹介するガイドブックです。見開きごとに1館ずつの紹介があり、全ページカラーで、写真がふんだんにあるのでとても見やすく使いやすい名鑑となっています。 本書では専門図書館の分野を…

『石の上にも三年 ―季刊・文芸投稿誌『蔕(へた)文庫』の歩み―』

松井勇 著 (蔕文庫舎/2019年8月) 本誌は、日本社会文学会『社会文学』第46号(2017年)に掲載された作品を、本年2019年8月に加筆修正したものである。 著者は、1933(昭和8年)10月大阪市東成区で生まれ、疎開先の三重県志摩郡(現鳥羽市)で敗戦を迎え、…

解題『近江絹糸人権闘争=労働争議 自由と人権を守る血と涙の闘いであった』

日本労働運動史上に名高い近江絹糸争議(1954年)関連の図書については、当事者の手記をこれまでも寄贈していただいています。今般は、そのお一人である朝倉克己さん(下の写真)の手記を本田一成・國學院大学教授を通じて頂戴しました。 当館にて2016年から…

『過労死は防げる~弁護士・労働組合が今、伝えたいこと』

連合大阪法曹団有志・連合大阪非正規労働センター編著(かもがわ出版/2019年/四六判144頁) 「過労死」が深刻な社会問題となって久しい。ローマ字のkarôshiが2002年にオックスフォード英語辞典に掲載され、日本の労働組合にとって不名誉なことだが、国際用…

大阪大空襲の体験を語る会代表久保三也子資料目録

当館に寄託された久保三也子さんの資料について研究を進めてきた「大阪空襲被災者運動資料研究会」(空資研)から、報告書の第2集が発行されました。63頁の薄い冊子ですが、久保さんが代表を務めておられる「大阪大空襲の体験を語る会」(「語る会」)の歴史…

『写真記録・三島由紀夫が書かなかった近江絹糸人権争議~絹とクミアイ』

『写真記録・三島由紀夫が書かなかった近江絹糸人権争議~絹とクミアイ』 本田一成(新評論/2019年2月/A判204頁) 本書は、1954(S29)年、106日間に及ぶ日本最大級の労働争議=近江絹糸人権争議について、この争議を取材した三島由紀夫が作品化した小説…

『政治と労働の接点Ⅱ』

『政治と労働の接点Ⅱ』一の橋政策研究会(非売品/2019年/B5版224頁) 本書の発行元である「一の橋政策研究会」は、加藤敏幸元参議院議員(民主党参議院国会対策委員長/現電機連合政治アドバイザー)の議員退任後の政治活動を支える政治団体として2016年に…

貧困の基本形態 社会的紐帯の社会学

『貧困の基本形態 社会的紐帯の社会学』 セルジュ・ポーガム 著 川野英二/中條健志 訳 2016年3月31日発行 新泉社 四六判 416p 貧困は、全体的に豊かになった社会では受け入れがたい不平等であるがゆえに、困惑させられるものである。貧困層は、近代社会が…

戦後社会運動史論3

『戦後社会運動史論③ ―軍事大国化と新自由主義の時代の社会運動―』 広川禎秀、山田敬男 編(大月書店/2018年12月/四六判288頁) 本書は「社会運動史研究会」(故犬丸義一の呼びかけで1990年からこの名称)の3冊目の論集である。 「歴史学研究において、社…

『大阪砲兵工廠物語~創立150年 新聞記事を中心に』

『大阪砲兵工廠物語 創立150年 新聞記事を中心に』 久保在久著(耕文社/2019年5月/四六判112頁) (写真はWikipediaより。化学分析場跡) 本書は、大阪砲兵工廠(戦前日本最大級、アジア最大級の兵器工場)が大阪城周辺で作業を開始して150年という節目を…

みんなで活かせる!学校資料

◆本書入手希望者に著者が郵送寄贈してくださるそうです。問い合わせ先は最下部をご覧ください◆ 『みんなで活かせる! 学校資料 学校資料活用ハンドブック』村野正景、和崎光太郎編、京都市学校歴史博物館 2019.3 150p. 19cm 2017年4月に発足した「学校資料研…

『アジア太平洋の労働運動 連帯と前進の記録』

鈴木則之著(連合新書21/明石書店/2019年1月/四六判284頁) 本書は、ICFTU(国際自由労連)とその後継組織であるITUC(国際労働組合総連合)とその地域組織であるアジア太平洋地域組織(ICFTU/ITUC-AP)の労働運動の展開とそこにおける日本(連合=日本…

過労死・過労自殺の現代史 ~働きすぎに斃れる人たち~

『過労死・過労自殺の現代史 ~働きすぎに斃れる人たち~』 熊沢 誠 (岩波現代文庫/2018年12月/文庫版435頁) 本書は、2010年に岩波書店から刊行された『働きすぎに斃れて―過労死・過労自殺の語る労働史』の現代文庫版であるが、各事例の2010年後の推移や…

『電話交換手はなぜ「女の仕事」になったのか ~技術とジェンダーの日独比較社会史~』

石井香江 (ミネルヴァ書房/2018年5月/A5判432頁) 著者は、同志社大学グローバル地域文化学部准教授で、社会学博士。 本書は、電話交換が技術発展により、男性から女性の仕事へ変わっていく過程を日本とドイツの比較から実証して、男と女の仕事の棲み分け…