エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

ライブラリーキャンプに行ってきました

 6月9日(日)、10日(月)に開催された、「ライブラリー・キャンプ in 淡路島」に当館の谷合が参加しました。

 ライブラリーキャンプは、アカデミック・リソース・ガイド株式会社が企画運営する、日常から離れた空間で、図書館関係者が業種や地域を越えてつながり、幅広く「ライブラリー」に関する諸課題を討論する場を創出することを目的とした、宿泊前提のキャンプです。

 年に4回の開催を目指して始まったこのキャンプ、第1回は山中湖で、第2回は長野県小布施町で、そして第3回は淡路島で実施されました。今回は9名での少数精鋭チームで、震災の町淡路島から震災復興と防災について考える、という大きなテーマを持ったキャンプとなりました。
まずは北淡震災記念公園で集合し、野島断層を見学。1995年の阪神淡路大震災時にできた断層がそのまま保存されています。かつては棚田だった場所の上に保存館を建てています。この野島断層は国指定の天然記念物で、現場保全のために草抜きも禁止。雑草が生えてきたらハサミでカットするそうです。野島断層は10キロにわたって地表に出現した地割れなのですが、この保存館ではそのうち140メートルほどを保存しています。平らだった田んぼに隆起と落ち込みができて、でこぼこになっています。

 メモリアルハウスは、保存館に隣接した民家です。大きな邸宅なのですが、庭の中を断層が走り、家が地面と共に横滑りしました。震災後も住民は4年間住んでおられたとか。ゆるやかに傾いたままの家は立っているとめまいを感じて気持ちが悪いのに、慣れれば平気なのか、よく4年間も住んでおられたと驚きました。震災当日の台所の様子を再現してあります。




揺れを体験するコーナーでは、震度7を体感してきました。普通の家の居間を模して作ってある場所のソファに腰かけます。手すりをもって揺れが来るのを待つのですが、揺れが来るとわかっていても怖かったです。その様子をipadでビデオ撮影しました。最初が震度7、次が震度4。実感的にはそれほど違わないような気もする、という意見もありました。いずれにしてもこの揺れの最中にガスの火を消したりは決してできないでしょう。このはてなダイアリーにアップできる動画の容量が小さいので、最初の震度7の部分だけを掲載しました。全部を再生できる動画はFacebookに掲載しました。https://www.facebook.com/video/video.php?v=479239065500934&saved


さて、このライブラリーキャンプ最大の「売り」は、「アンカンファレンス」と呼ばれる「会議」です。事前にテーマを決めずに行うワークショップのことを指します。参加者全員がファシリテーターになり、それぞれテーマを持ち寄ります。ゲストスピーカーには神戸市産業振興局の松崎太亮さんをお迎えしました。
 この日のテーマの一つである「図書館での資金調達」を提案した谷合が、グループ討議の様子をまとめ報告しています。第1回大阪マラソンの公式Tシャツを着てしゃべっているのが谷合です。

宿に着いて夕食後は、ゲストスピーカーの松崎太亮さんの講演を聞きました。阪神淡路大震災のとき、神戸市の広報担当者だった松崎さんは午前8時には記録のためにビデオカメラを回し始めたということです。その時の貴重な体験談や、その後の復興活動についてのお話、また、図書館が復興支援に何ができるか、といった大きなお話をいただきました。ふだんわたしたちが関与しているsaveMLAKの復興支援活動に大きな助言・提案をいただいたと感激しました。



翌日は洲本市の「レトロこみち」を見学し、高齢化が進む町中で、古びていく民家を利用した町おこしに取り組んでいる様子をお聞きしながら、「こみち食堂」で食事や見学、また食堂の隣の食品店をお借りしてアンカンファレンスの続きを開きました。写真は食堂の入り口です。この街をロケ地とする映画「夏の終わり」がもうすぐ公開されるとかで、大きなポスターが貼ってありました。





 こみち食堂を経営する女性は、淡路島でたった1館残ったこの「洲本オリオン」というミニシアターの経営者でもあります。何と1千万円かけてデジタル対応したそうで、3Dも上映可能。映画館は趣味で経営しているそうです。



 洲本オリオンにて記念撮影。若いカップルに貸し切り、映画上映後に彼のプロポーズの言葉を映写して彼女に見せたこともあるという粋な映画館です。地域の人たちに楽しんで欲しいから営業しているとおっしゃっていました。儲ける気はないと笑う女性経営者は「借金無しが自慢」。昭和レトロ感満載の素敵な場所でした。映画好きにはたまりません。映画「オリオン座からの招待状」を思い出させるようなお話でした。(映画の感想は個人ブログに掲載しています)


 アンカンファレンスではさまざまなテーマを出し合いました。わたしは資金調達の件以外には、<「情報」がもつ力を図書館はどう伝えるのか><図書館員のミッションとは何か>といったテーマを提案したり、討議に加わったりしました。今回のアンカンファレンスと、深夜3時まで続いた宿での飲み会ではたいへん深い議論を交わすことができました。これからの図書館を運営する上での大きなヒントをもらえたので、早速実行に移すべく、作戦を練っているところです。その結果については少しずつこのブログでもいろんなイベントのかたちでお知らせしていきます。このキャンプのおかげで充電がたっぷりできたと思うので、次は放電ですね。成果を出していきたいと思います。スタッフ不足の図書館でこうして館長が出かけられるのも、留守を守ってくれた館長補佐・千本のおかげです。感謝!(谷合)

 追記:掲載した写真は、嶋田綾子さん(アカデミックリソースガイド㈱)撮影のものも使用させていただきました。また、実行委員として本キャンプを差配された山根麻衣子さん(アカデミックリソースガイド㈱)には何から何までお世話になりました。お二人には記して謝意を表します。