「映像(幻灯と映画)に見る戦後の失業・貧困問題と労働運動」を開催しました。参加者50名の盛会でした。
(ナレーションを担当する東川絹子さんと幻灯「にこよん」。佐々木央さん撮影・提供)
日時:2018年3月2日(金)18:00~
場所:エル・おおさか(大阪府立労働センター)5階研修室2■作品解説
鷲谷花(大阪国際児童文学振興財団特別専門員)
■映画上映「ここに生きる」
■幻灯上映「にこよん」
台本朗読:東川絹子氏(関西・炭鉱と記憶の会)
■映像上映と講演
杉本弘幸氏(立命館大学ほか講師)
「戦後の失業対策事業と労働運動について―独立プロ映画に見る―」主催:科研費基盤研究(C)15K02188「昭和期日本における幻灯(スライド)文化の復興と独自の発展に関する研究」(研究代表者:鷲谷花)
共催:エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)
(手前に写っているのが幻灯機。西牟田真希さん撮影・提供)
鷲谷花さんの作品解説の後、失業対策事業の労働者を中心とした日雇い労働者の労働組合である全日自労によって制作された映画『ここに生きる』と幻灯『にこよん』が上映されました。
今回の『ここに生きる』(オオタ・ぷろだくしょん、望月優子監督、1962)の上映は大変貴重な機会でした。『にこよん』はナレーションを担当した東川絹子さんによる登場人物のきめ細やかな演じ分けによって立体的な公演となりました。
続いて行われた杉本弘幸氏による講演では、戦後の失業対策事業の概要、内容、歴史が詳細かつ平明に説明され、合間に流された映像も相まって、今回上映された作品の背景がよく理解されました(杉本さんの写真を撮り忘れました!)。さらに質疑では現在の非正規問題、労働者の連帯・尊厳などにまで話題が広がりました。来場された方々から「とても充実していた」との声が聞こえました。
これまで何度か開催してきた幻灯会ですが、今回杉本さんにお話いただいて、労働をテーマに深め広げていくさらなる可能性があることが感じられました。国際児童文学振興財団の土居安子さんを始め、お世話になった方々に御礼申し上げます。(千本沢子)
講師プロフィール
杉本弘幸
1975年、広島県福山市生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学・大阪大学)。
京都工芸繊維大学・佛教大学・立命館大学講師。専門は日本近現代史。
著書に『近代日本の都市社会政策とマイノリティ-歴史都市の社会史-』(思文閣出版)、『戦後日本の開発と民主主義』(共著、昭和堂)ほか。鷲谷 花
大阪国際児童文学振興財団特別専門員・東洋大学他非常勤講師。専門は映画学・日本映像文化史。
共編著書に淡島千景・坂尻昌平・志村三代子・御園生涼子・鷲谷花『淡島千景 女優というプリズム』(青土社)。主な論文に「満洲から筑豊へ-幻灯『せんぷりせんじが笑った!』(1956)をめぐる「工作者」たちのゆきかい」(『映像学』96号、日本映像学会、2016年7月 )。近年は昭和期の幻灯(スライド)の調査・研究及び上映活動にも取り組んでいる。