エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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追撃 自民党大軍拡・腐敗政治 政権交代のために

五十嵐 仁 『追撃 自民党大軍拡・腐敗政治 政権交代のために』(学習の友社/2024年5月  四六判 132頁) 

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 五十嵐仁(いがらし じん。法政大学名誉教授、大原社会問題研究所名誉研究員/専門分野は政治学、労働問題)による、学習の友社からの単著はこれが5冊目である。

 著者の「やむにやまれぬ危機感」を伝えるために「あとがき」を引用する。

~ やむにやまれぬ危機感に駆られて本書を執筆しました。戦争準備は戦争を引き寄せてしまうのではないか。軍拡のための大増税によって生活はぶっ壊されてしまうのではないか。政治が食い物となって自民党の蓄財に利用され、人権が軽んじられる醜い国になってしまうのではないか。そうであってはならないとの気持ちから、思いのたけを書き綴ったのが本書です。本書は私の叫び声だったのかもしれません。それだけに、覚悟を決めて書きました。金権腐敗政治にどっぷりとつかり、統一協会と癒着して堕落し続けながら、その背後で戦争への準備と大軍拡を着々と進めている自民党政治への怒りをバネにしながら。

このような私の危機感と怒りを共有し、そこから抜け出すために力を合わせようではないかと、皆さんに訴えたいと思います。今度こそ、市民と野党の共闘によって自民党政治に代わる新しい政権を実現したい。これこそが、本書を書いた最大の動機であり目的なのですから。~

 構成・目次は以下の通りである。

序章 自民党がぶっ壊してきた日本の惨状
第一部 安保3文書と大軍拡・大増税
改憲・大軍拡を阻止し9条を守り活かすために 大軍拡・大増税による戦争への道を阻止するために
「新たな戦前」を避けるために―敵基地攻撃論の詭弁と危険性
敵基地攻撃能力は日本に何をもたらすか―岸田政権の狙いを暴く
第二部 裏金事件と岸田政権の迷走
岸田政権を覆う統一協会の闇
現代史のなかでの岸田政権をどう見るか
岸田政権の混迷と迷走
裏金事件があぶり出した自民党の腐敗と劣化―表紙を変えて延命させてはならない
自民党政治の混迷と野党共闘の課題―受け皿を作って政権交代を
終章 「新しい政治」への挑戦―どうしたら良いのか、どうすべきなのか

あとがき

 著者の「危機感」と「熱意」がひしひしと伝わるが、各章における検証は、政治学者としての緻密でリアルな分析がなされている。

 ベトナム戦争とイラク戦争時の自衛隊派兵において、憲法9条の果たした役割(=戦争加担への防波堤と自衛隊員を戦火から守るバリアー)の立証は、改憲によって「失われるものの大きさ」へのリアルな理解を深めることができる。

 岸田政権の軍拡政策は、安倍政権の延長路線に留まらず、「専守防衛」を超える「敵基地攻撃能力」は、「戦後安保政策の大転換」を意味しているというのが本書の警鐘である。

 また、「諸悪の根源は小選挙区制にあり」も、所与の制度と諦めている風潮に対して、小選挙区制が4割台の得票率で7割台の議席をもたらし独裁体制を築く制度であることを著者は、一貫して主張してきたし、著作も多い。

 本書の結論はこのような「危機的状況」を打破する道は、市民と立憲野党の共闘を職場・地域から築くことであり、2024年を「あのとき日本は変わった」という年にしようという提唱である。(伍賀 偕子)