報告が遅くなりましたが、12月13日(土)にエル・おおさか研修室で第1回「大阪社会労働運動史講座」を開催しましたので、その概要と参加記を掲載します。

この講座は当法人が編纂刊行している『大阪社会労働運動史』全10巻完結を記念して、その活用を図るものとして、連続企画としてお届けします。
その第1回は第10巻編集代表の沢井実氏(大阪大学名誉教授、住友史料館館長)による、「戦間期大阪市電の労使関係」という講座でした。参加者はオンラインを含めて26名と多くはなかったのですが、内容の豊富さや深さは参加者一同が興奮して口々に感想を述べ合うぐらいの面白さでした。会場の都合で17時までには撤収しないといけなかったため、名残惜しい参加者一同とともに続きはエル・ライブラリー内で茶話会形式で! 和やかに講師との質疑応答が続きました。
参加者の中には大阪交通労働組合の退職者会の方々もおられ、講演後の質疑応答の場面では自分たちの現役時代の大阪市交通局(地下鉄・市バスを運営していた)の職場慣行や逸話をいくつも披露してくださり、興味の尽きないことでありました。
当館ボランティアの森井雅人司書による参加記を掲載します。
「大阪社会労働運動史講座・戦間期大阪市電の労使関係」を聴いて
エル・ライブラリーでは『大阪社会労働運動史』全10巻を刊行し、明治から2000年代に至る社会運動・労働運動・社会実相を叙述しましたが、ここに蓄積された歴史と知識をもとに、これからの課題と問題意識を共有するために企画したのが「大阪社会労働運動史講座」であり、その第一回として12月13日(土)に「運動史」の執筆者のひとり、沢井実先生の「戦間期大阪市電の労使関係」が開かれました。
大阪市は関東大震災(1923年)以後、電気供給事業と市電事業の二本立てと昭和恐慌の影響で市電の経営について苦戦を強いられます。しかし、景気の回復とともに路線の地形的配置で徐々に収入が増加していき、足場を固めることとなりました。職能的な訓練所は早くから設立されていたため、労働市場の売り手市場から買い手市場への変化に伴い、年配者の増加が運動組織結成の萌芽となりました。
1922年の共扶俱楽部(きょうふくらぶ)結成が発端となって、労働組合の結成に至り、西部交通労働同盟、同志会、愛友会、大阪電気労働組合の4組合が設立されましたが、市当局とのやりとりや共産党が大弾圧を受けた「3・15事件」の影響で次第に協調路線をとることとなりました。
いちがいに4組合の設立(分裂)といっても、当時の産業別労働組合のキーとなる全国的展開が地域の足元の問題とズレが生じること、「市民」側からみて関西私鉄の状況と比較される緊張関係があったことも否定できません。これは中央からの「理論」と当事者労働者の「現場主義」が労働運動の2つの契機であったと思います。
大阪交通労働組合でかつて組合活動を推進されていたかたが、この講座のチラシをみて来場され、沢井先生のレクチャー終了後、質問コメントに参加されたので、別の意味で学びとなりました。(森井雅人司書)