- 久保在久(すみひさ)[著]
- 『蔕(へた)文庫』59号(=2015年2月)より現在も連載中。(発行=蔕文庫舎/大阪府八尾市)
若い人には「大阪砲兵工廠」といっても、今は大阪城公園として整備されている所が、戦前日本最大級、アジア最大級の兵器工場であったことを知らない人が多いと思うが、今回の連載は1987年に久保が編纂した『大阪砲兵工廠資料集』(上・下/日本経済評論社)にもとづいており、その大部な『資料集』の実績の上に、明治以降の新聞記事を丹念に追って、見開き2頁の読みやすい分量で、テーマごとにわかりやすく解説されている。
『資料集』編纂当時は「戦争の残骸にあたる施設などの研究」は進んでおらず、その頃まだ存命中であった関係者またはその遺族らを訪ね歩いて集めたこの資料集は、「日本産業技術史学会資料特別賞」を受賞したほどに、高い評価を得た。
著者の「大阪砲兵工廠」検証の基本的姿勢は、「大阪産業革命の原点」としての評価にあり、この視点が今回の連載にも貫かれている。