『反撃 改憲・反動の嵐に抗して』五十嵐 仁 著 学習の友社 2026年6月 四六判132頁

本書は学習の友社からの、五十嵐仁による『追撃』(2024年)、『撃破』(2025年)に続く政治情勢3部作である。著者の五十嵐仁は、法政大学名誉教授、大原社会問題研究所名誉研究員で、専門は政治学、労働問題である。前二著に続いて、この間の日本の政治過程とそれにたいする評価を確認し、高市政権による改憲・反動大攻勢に反撃の「のろし」をあげるためのたたかいの書と称されている。
<構成と目次>
序章 改憲・反動大攻勢への反撃を
第一部 参院選の結果と高市早苗新政権の誕生
第一章 参院選の結果をどう見るか―自民党政治は撃破された
第二章 参院選の結果と憲法運動の課題
第三章 極右タカ派改憲連立内閣の危険性―高市早苗新政権をどうみるか
第四章 カーキ色のタカは日本をどこへ導くか―高市早苗政権の暴走とその危険性
第五章 戦後八一年目を希望の年に
第二部 解散・総選挙による逆襲と反撃の課題
第一章 だまし討ち解散による「クーデター」を許すな
第二章 静かな「クーデター」で乗っ取られた日本―総選挙の結果と政治の課題
第三章 過ぎたるは及ばざるがごとし―総選挙後の政治情勢と今後の展望
第四章 憲法蹂躙・戦争準備の大攻勢に反撃を―総選挙でこじ開けられた改憲・大軍拡への扉
第五章「社公合意」の悪夢を繰り返すな―革新統一戦線の再構築に向けて
終章 改憲・反動の嵐に抗して反撃の「のろし」を上げよう
<憲法蹂躙・戦争準備の大攻勢に反撃を!>
著者の分析・規定は、
自民党による高市総裁の選出、その後の自公連立から自維連立への組み換え、政権合意による政策の大転換、そして突然の衆院解散という一連の過程は、自民党内極右勢力と極右政党である維新の会による「権力の簒奪」であり、静かなる「クーデター」である
とされており、その行きつく先=憲法蹂躙・戦争準備に警鐘を鳴らしているのが、本書の狙いである。高市首相の本質は、「戦後憲法体制と民主主義の墓堀人」と明確に規定している。
また、先の参議院選挙と今回の衆院選における野党勢力の伸縮についての分析も、説得力ある分析がなされている。特に、「中道改革連合の大失敗」については、厳しい批判である。それはかつての(46年前)「社公合意」の推移と社会党が辿った“悲劇”を繰り返すなと主張している。反撃の基本は「社公合意の悪夢を繰り返すな 革新統一戦線の再構築に向けて」の第五章で展開されている。「共産党を除く」の「合意」が果たした役割を歴史的経緯に基づいて分析しているのは、類書を見ない。もう一つ、第二部第四章で「再確認したい憲法九条の力」が5項目にまとめられている展開も、改めて再確認したい内容である。
著者は、反撃の核として、かつての「社公合意」で破綻に瀕した革新統一戦線を立て直すために結成された「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」(全国革新懇)、憲法九条を守るという一点共闘の九条の会、九条を壊すな!実行委員会、九条改憲NO!市民アクション、安保法制をなくす会や市民運動としての総がかり行動実行委員会、市民連合などの共闘組織をあげている(ちなみに、著者は全国革新懇、東京革新懇の代表世話人である)。これまでの共闘が生み出してきた九条改憲の阻止、首長選挙での統一候補の当選、地方選挙や国政選挙での共闘の実現などの具体的成果に確信をもとう、市民と立憲野党の共闘は可能性ではなく、現実であり、発展させよう!と結んでいる。
そしてあとがきでは、「希望の光が灯った」として、高市政権に反撃する行動として、「国会議事堂前に「改憲反対」「九条守れ」「NOWAR」というパネルを掲げ、ペンライトを手にした人々が3万六〇〇〇人も集まった」、「このような集会に初めて来た人や若い女性などが多かった」と述べている。(伍賀偕子(ゴカ トモコ)