エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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当館資料が掲載された『占領軍による人身被害調査資料集 』第7巻

『占領軍による人身被害調査資料集 』(第2期)第7巻(六花出版)に当館所蔵資料が収録されました。

 復刻された資料名は、

『人間の生命六万円也?! : 占領下の犠牲者を救おう』全国調達庁職員労働組合 1958年発行、という小冊子です。

 このシリーズの紹介を、版元の六花出版(りっかしゅっぱん)のウェブサイトから抜粋します。

[戦後の平和なはずの生活は] 占領軍兵士たちの車両暴走や暴力・武力によって無残に踏みにじられていった。 無抵抗の多くの人命が失われ、遺された家族は喪失と 経済的困窮に苦しみ、からくも生き延びても重い障害に生涯が支配された。

弊社は、今回は、国家補償を求める被害者たちの運動や それを支援した労働組合や法律家、政治家などの記録、また自治体 や官庁からの対応を明らかにする資料を中心にまとめ、復刻する。

知られざる占領軍被害補償運動とその行方を解明し、戦後の闇 を照らし出すことによって現代史研究に新しいフロンティアを拓 く資料集である。

 本シリーズは第1期6巻、第2期3巻からなります。2023年12月から刊行が始まった第2期の書誌情報は下記の通り。

◎編・解説――藤目ゆき(大阪大学教授)
◎体裁――A4判/上製/総約1000ページ
◎揃定価――90,000円+税(税込99,000円) ISBN978-4-86617-230-9

第7巻 国家補償運動資料Ⅰ/Ⅱ
第8巻 駐留軍労働者の被害資料/被害者給付金審査会資料等Ⅰ
第9巻 被害者給付金審査会資料等Ⅱ

 

また、収録資料の詳細がわかるパンフレットは下記リンク先から閲覧・ダウンロードできます。実に多くの資料が収録されており、全国各地で様々な被害があったこと、その被害に泣き寝入りをしなかった人々の闘いが浮き彫りになります。

https://rikka-press.jp/wp-content/uploads/35ea0a38d8ddec5f26f40df39d40b364.pdf

 第7巻は当館で手に取ってご覧いただけますので、ぜひご活用ください。(谷合)

rikka-press.jp

 

新着雑誌です(2024.3.21)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは閲覧のみです。貸出はできません。

労政時報 4073号 2024.3.8 (201458759)

労務事情 No1487 2024.3.1 (201458635)

労務事情 No1488 2024.3.15 (201458577)

月刊人事マネジメント 2024.3.5 (201458692)

ビジネスガイド No944 2024.4.10 (201458726)

労働判例 No1300 2024.3.1 (201458601)

労働判例 No1301 2024.3.15 (201458569)

季刊労働法 284号 2024.3.15 (201458668)

 

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新着雑誌です(2024.3.14)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。

閲覧のみです。

労政時報 4072号 2024.2.23 (201458445)

企業と人材 No1133 2024.3.5 (201458478)

人事の地図 No1254 2024.3.1 (201458502)

賃金事情 No2887 2024.3.5 (201458536)

 

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ひびきあう二つの「女工哀史」

 当館資料も活用されたエッセイを寄贈いただきました。それは、かの有名な『女工哀史』(細井和喜蔵著、1925年)のもう一人の作者と呼ばれている、高井としをの自伝『わたしの「女工哀史」』について書かれた歴史エッセイです。

 著者は元教員の阪上史子さんで、阪上さんは『わたしの「女工哀史」』という1980年に書かれた本に出合ったことで、このエッセイを著すこととなったそうです。歴史の教科書にも載っている『女工哀史』は有名ですが、その著者である細井和喜蔵には事実婚の妻・としをがおり、彼女自身の工場体験を詳らかに細井に語ったことで名著が生まれた、ということはあまり知られていません。

 婚姻届を出していなかったために、遺族として『女工哀史』の印税を受け取れなかったとしをは貧乏のどん底で大変な苦労をします。和喜蔵亡きあと、再婚した相手とも戦争中の空襲によって死別し、戦後は五人の子どもを日雇い労働(いわゆるニコヨン)で育て上げたうえに労働運動にも邁進した彼女の生きざまには圧倒されます。そういった高井としをの著作を紹介するこのエッセイは、著者阪上さんの感嘆や怒り・称賛・共感といった感情も吐露され、ご自身の人生とも合わせて読み応えのある記述が展開されています。

 また、戦後、兵庫県伊丹市で自由労働者の労組委員長も経験したとしをを知る古老へのインタビューも行われていて、その短い紹介も書かれています。このインタビューについては研究が進められることを期待します。(谷合佳代子)

<書誌情報>

  • 阪上史子「ひびきあう二つの「女工哀史」」『広島同人誌あいだ』6号、高雄きくえ編・発行、2023年12月

新着雑誌です(2024.2.27)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

ビジネスガイド No943 2024.3.10 (201458528)

月刊人事マネジメント 398号 2024.2.5 (201458460)

労働法学研究会報 No2806 2024.2.1 (201458494)

労働基準広報 No2158 2024.2.1 (201458387)

労働基準広報 No2159 2024.2.11 (201458353)

労働基準広報 No2160 2024.2.21 (201458551)

月刊人事労務 No420 2024.1.25 (201458437)

 

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新着雑誌です(2024.2.20)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4071号 2024.2.9 (201458379)

賃金事情 No2885 2024.2.5 (201458510)

労務事情 No1486 2024.2.15 (201458544)

労働法学研究会報 No2807 2024.2.15 (201458403)

労働判例 No1299 2024.2.15 (201458346)

 

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当館資料を活用した卒業論文が寄贈されました

 研究者の論文や博士論文などに当館の資料を活用いただくことは多いのですが、卒業論文ではなかなか使いきれない学生さんもおられるので、これまであまり活用事例はありませんでした。また、たとえ卒論に当館資料を使ったとしても、その結果を報告に来てくださり、さらにその卒論を寄贈してくれるというケースはありませんでした。

 このたび、恵贈第一号の卒論寄贈者、西原伊織さんと西原さんの卒業論文を紹介いたします。

「大阪交通労働組合婦人部におけるバス女子車掌の待遇改善運動」
近畿大学文芸学部文化歴史学科2023年度卒業論文(77,544文字)

西原伊織さん(左)と伍賀偕子さん

 西原さんは卒業論文を書くための資料を探して当館に来られました。そして、女性労働運動史ならこの人に聞け!と言える、生き字引の伍賀偕子(ごか ともこ)さんを私たちが紹介しました。伍賀さんは大阪総評オルグ、連合大阪スタッフ、そして当法人(大阪社会運動協会)専務理事を歴任しました。今ではエル・ライブラリーのボランティアスタッフとしてこのブログに「寄贈本紹介」を書いていただくなど、活躍されています。

 西原さんは伍賀さんから大阪の女性労働運動の歴史について聞き取りし、さらに大阪交通労働組合(大阪市交通局時代の市バスや地下鉄の従業員から成る労働組合。2018年以降は民営化されたOsaka Metroの従業員組合)の退職者たちに連絡をつけてもらって、資料提供などさまざまな協力を得ることができました。西原さんは無事に卒業論文を書き上げ、昨年末に伍賀さんにお礼をと、卒業論文を寄贈されました。さらにこの度は当館にも1部提供していただきました。

 卒業論文が図書館に寄贈されることは稀(まれ)と思われます。当館資料や人脈を駆使して書かれた卒論が、今後は当館資料として一般公開されていくという研究情報のサイクルが実現しました。西原さんは4月から鉄道員として働かれることが決まっているとのこと、この研究がこれからの職業人生の糧となることを期待します。

 なお、西原さんの論文の目次の概要は以下の通りです。大部な論文なので私はまだ拝読できていませんが(汗)、このように世代を継いで労働運動の歴史が語り継がれ、引き継がれていくこと、その仲介を当館が果たせたことに深い感慨を覚えます。(谷合佳代子)

目次
はじめに
第1章 バス車掌の基本的事項
 第1節 日本におけるバスの起源と女性の車掌への登用
 第2節 バス車掌の業務と実態
第2章 大阪市交通局と大阪交通労働組合のあゆみ
 第1節 大阪市交通局のあゆみ
 第2節 大阪交通労働組合のあゆみ
第3章 母体保護の権利を求めて―生理休暇、産前産後休暇、妊娠車掌軽業転換獲得―
 第1節 戦前と大阪交通労働組合結成当初の生理休暇獲得運動
 第2節 活用できない権利―提案される無給化案―
 第3節 始まる「母体保護月間」とモデル車庫での検証
 第4節 成し遂げた母体保護―生理休暇完全消化と妊娠車掌軽業転換の獲得―
第4章 女子定年制、退職処遇
 第1節 女子定年制、議論に上がる
 第2節 行われたアンケート―定年制か結婚等での退職処遇か―
 第3節 始まる団体交渉―女子にも55歳の定年制を―
 第4節 長引く交渉の中で―大交本部によって打ち出される女子車掌35歳定年―
 第5節 妥結される「33歳」定年制―退職処遇があればよい?―
第5章 服装検査、不足金弁納の全廃に向けて
 第1節 服装検査と不足金弁納問題への初期の運動
 第2節 明らかになる服装検査の実態―服装検査「全廃」闘争へ―
 第3節 服装検査実施要綱と服装検査「全廃」案の敗北
 第4節 服装検査は「全廃」から「条件闘争」へ
 第5節 神戸市交通局で発生した服装検査事件を受けて―服装検査全廃闘争へ―
おわりに
参考文献