神戸映画資料館の「収蔵フィルムで辿る組合映画史」上映会にいきました

 ボランティアの森井です。

 労働組合が制作した映画によって労働運動・社会運動の歴史を振り返る上映会が5月18日・19日・25日・26日の土・日にJR新長田駅南の神戸映画資料館で開催され、筆者は4日間すべて見てきました。組織統合などの変遷のせいで組合自身が処分した可能性のあるフィルムを安井喜雄館長がこつこつと収集し、うち18本を16ミリフィルムで上映するという企画でした。

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 期間前半の18・19日で特徴のある作品は、「ドキュメント輪禍 むちうたれる者」(1969)でした。今でこそ「認知」されているむち打ち症を、タクシー運転手の労働実態から追及していく作品ですが、従来の組合の運動大会を主体とせず、現場でインタービューする手法をとったため、ある意味前衛的な映画でした。(上の写真は本作のポスター。製作公開当時のもの。安井喜雄氏提供)

 後半の25・26日では「前線 封建制100年との闘い」(1977)が圧巻でした。全逓の郵便局の特定局(田舎の地主が局長になり特権かざす、世襲などが蔓延る)の撤廃に向けての運動を丹念に描いていました。特定局を巡回して局の都合のいいよう変動的に働かされる女子局員への聞き取り証言。特定局で組合に入った女子職員へのパワハラ。立ちっぱなしの作業で流産しかかったというケースも。組合に加入した途端に一年間局長や局員が口をきいてくれなかったという場合もあり、運動の厳しい局面が描かれていました。

ラストの安東民兒(あんどう・たみじ)監督の「自由への伝言 この辿る道」(1984)は、様々な冤罪事件や弾圧事件をそれぞれ当事者の証言をていねいに取材構成する形式で、1時間弱でも全く飽きさせない作品でした。安東監督のトークもあり(下の写真)、就職への影響を案じた家族の要請により取材した人名のクレジット表示を外した裏話など、当事者への配慮も興味深いものがありました。

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 釜ヶ崎でのあいりん地区総合センターの閉鎖など労働者を取り巻く環境が悪化する中で、国鉄、三池、大映闘争ほか労働組合が制作や支援して作られた記録映画が18作一挙上映されたのは、メーデーの5月に開催された画期的な特集上映だったと思います。(森井雅人、エル・ライブラリーボランティア司書) 

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.(上の写真)神戸映画資料館所蔵資料の表紙。映演総連大映労働組合『第38回定期全国大会議案書』と『大映闘争の記録』。

 <作品名一覧>

「号笛なりやまず」
「白い機関車」
「失業 —炭鉱合理化との斗い—」
「日本の政治」
「三池のたたかい」
「炭鉱(やま)」
全逓青年婦人全国大交流集会」
「ドキュメント輪禍 むちうたれる者」(1969/67分)
「東京’69 ── 青いクレヨンのいつかは…」(1969/28分)
「鬼ッ子 —闘う青年労働者の記録—」(1969/78分)
「映画の灯は消さない ─大映斗争の記録─」(1972/17分)
「黄色いゼッケン 闘争1000日の記録」(1974/32分)
「説得 ─かわち.1974.春─」(1974/56分)
「反合理化闘争の記録」

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