エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

ドキュメンタリー映画「陸軍前橋飛行場 私たちの村も戦場だった」

「公文書管理の大切さを問いかける渾身のドキュメンタリー」をご紹介します。

 エル・ライブラリーも記録を保存・公開するアーカイブとして、記録の大切さを知らせてくれるこの映画に無関心ではおられません。

 8月18日(土)のシネ・ヌーヴォーでの公開初日には、天理大学の古賀崇先生による解説トークもあります。

www.youtube.com

ドキュメンタリー映画『陸軍前橋飛行場』公式サイト

 以下、配給会社((株)パンドラ)の宣伝文より転載いたします。

太平洋戦争末期群馬県中央部(旧群馬町)に急造された陸軍前橋飛行場

強制買収された田畑、訓練され沖縄に向かった若者たち

当時を知る人々の証言から浮かび上がることは・・・

 

本作品は、太平洋戦争中に群馬県国府村の住谷 修さんが、村人の苦痛や耐久生活を克明に記録した「村日記」を軸に、当時を知る人々の証言を丹念に収録。当時の資料を求めてワシントンの公文書館や、公文書管理法制定に尽力された福田康夫元首相にも取材協力をいただいた渾身の作品です。

監督の飯塚俊男は、知られざる地元の歴史を後世に伝えようと本作の製作を決意。飯塚の意図に賛同して、ベテランカメラマン重枝昭典、構成編集は腕利きの鍋島惇と、一流の技術陣が脇を固めて完成に漕ぎつけました。

 

記憶を記録に~平和への願いを込めて   監督 飯塚俊男

太平洋戦争のさなか、群馬県の中央部に建設された<陸軍前橋飛行場>が利用されたのは、敗戦で廃止されるまでの僅か1年間。建設に駆り出された地域の人々、特攻隊員と地域の人々との交流など、さまざまなドラマが生まれています。

当時を知る多くの人々へのインタビューを重ねて、ようやく1本の映画になりました。いずれの証言にも目を啓かせられる思いがしています。話を聴けば聴くほど、21世紀に生きる自分と当時の人々とが地続きで、彼らのすぐ隣にいるような錯覚を覚える事もあり、もし、あの時代に生きていたら自分も特攻に志願していたかもしれない、と思うことすらありました。怖さを実感しています。その怖さを知り、この事実を伝えることがとても大切です。それが歴史を知り伝えることではないでしょうか。

 

8/18~(土)大阪シネ・ヌーヴォにて公開予定

 初日11:30の回上映終了後に、古賀崇さん天理大学人間学部教授)トークを予定

  古賀崇さん

「政府内外での遡及的検証を可能にするための、公文書・刊行物ほか政府情報の管理・利用の制度と実務」を主な研究テーマとしている。米国国立公文書館ほか、米国における文書館制度と文書館専門職(アーキビスト)の動向に詳しい。その他、いかにして「人々の生きた証」を後世に残すか、国内外の動向や情報技術の進展を視野に入れつつ、研究を続けている。

 

2018年/カラー・モノクロ/69分

製作協力:「陸軍前橋(堤ケ丘)飛行場」製作協力委員会 企画・製作:アムール 配給:パンドラ

 

大阪空襲体験の記憶を引き継ぐために8月に「報告書」発行

 エル・ライブラリーに寄託していただいている大阪大空襲被災者運動資料の「報告書」が発行されました。発行団体代表の横山氏にこの「報告書」の意義について書いていただきましたので、ご紹介します。

 「毎日新聞」などでも大きく報道されて反響を呼んでいる、この報告書(総目次・索引)については、エル・ライブラリーでも10冊預かっています。1冊500円で販売中です。

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 以下、寄稿文です。

 

大阪空襲戦災被災者運動資料研究会(空資研)・横山 篤夫

 アジア太平洋戦争末期の大阪に対する無差別爆撃体験の記憶は、体験者の減少・高齢化の中で次第に失われようとしている。1970年代から始められた空襲の被災体験を語り継ぐ運動も、現在でも少数の関係者によって懸命に続けられている。しかし、戦争を全く知らない世代が多数を占め、平和教育を担う学校の教師もほとんどその実態を知らないというのが現状である。

 20余年にわたり、大阪で歴史の研究者と市民が共同して戦争と平和に関する研究活動を続けてきた15年戦争研究会には、大阪空襲の被災者運動を牽引してきた久保三也子さん(大阪大空襲の体験を語る会・以下「語る会」と略記)や伊賀孝子さん(大阪戦災傷害者・遺族の会)たちも参加しておられた。80歳代後半を迎えられたお二人ともに、次第に例会参加も困難になられ、運動の資料保管について不安を感じ始められた。相談を受け、15年戦争研究会のメンバーは、大阪の平和運動市民運動の歴史を語る貴重な資料を、保管・整理して調査し、公表することが必要と考え、実現のため有志で特別チームを作ろうということになった。こうして、2016年6月に大阪空襲被災者運動資料研究会(以下「空資研」)が立ち上げられた。

 先ずは資料を安全に保管できるスペースと、研究活動の会場が必要になる。この切実な課題に、趣旨を理解し会場の提供と大阪の社会運動の資料としての保管とをエル・ライブラリーが認めて下さり、空資研が活動できるようになった。

 はじめに久保さんと伊賀さんの聞き取りをして資料の寄託をお願いし、2016年冬までに主な資料をエル・ライブラリーに収納することが出来た。さらに関連資料も追加され、先ず「語る会」の資料調査・目録作りに取り掛かった。このリストを作る過程で、「語る会」が1971年から1997年にかけて編集・発行した『大阪大空襲体験記』(全9集)は、大阪市民が空襲の実態を報告した第一級の史料であり、今再び利用できるようにする取り組みの必要性が話し合われた。しかし、9冊の大部分は、1000部で自費出版されたものだったため、その時は大きく報道されてもその後所在が分からくなったものも多く現在の所在の確認も必要だった。

 昨年秋に全9集の総目次・索引を作ること、「語る会」が呼び掛けて集めピースおおさかに寄贈した空襲体験画のリストも掲載する事などを骨子に、空資研の「報告書」を作成することを決めた。全員が担当の体験記を決め、9冊の目次をまとめて一覧表にし、いつ、どこの、どんな体験が書いてあるかなどを書き出し、様式の統一をはかった。同時に「語る会」の歩みも要約してつける事、行政区別の体験記の索引を付ける事を決めた。また、体験画の作者別索引を作り、ピースおおさかの展示に使われているか、三省堂版の体験画集のどこに載っているか、その作者が体験記を書いている場合どの本に収録されているかなどの検索もできる表を付けた。さらに当時の交通機関・駅の図や、空襲被災地図、大空襲一覧表等を付けた。

 当時を知らない若い先生や、若い世代の人々が、この「報告書」を使って大阪を壊滅させた大阪空襲の実態を知る手掛かりにして欲しいという強い期待が密度の濃い作業を支えた。6月、7月には何度も臨時の研究会を開催し、8月1日に空資研報告書「大阪大空襲の体験を語る会編『大阪大空襲体験記』総目次・索引――付・大阪大空襲体験画一覧――」の刊行を実現することが出来た。この間、多くの空襲関係資料を持っているピースおおさか事務局に申し入れ、「語る会」編集の『大阪大空襲体験記』(全9集)を、ピースおおさか図書室に全巻揃えて常置することを要請し、その措置をするとの回答を得た。このことも『報告書』に紹介した。

 8月3日に府庁記者クラブで「報告書」の刊行を発表したが、その前日夕刊に「毎日新聞」が一面トップ記事で空資研の取組と「報告書」について大きく紹介した。連絡先として自宅の電話を紹介していたため、以後一週間に百件近い電話の申し込みがあった。その多くは80代、90代の空襲体験者からであった。「忘れられている大阪大空襲の体験記をよく復活させてくれた」という理解で激励し、この取り組みを称賛するものが多かった。そこでこれは検索のための手引きであり、体験記ではないと説明すると、それならいりませんと仰る方もあったが、それでも欲しいという場合も多かった。ご自分の体験を電話口で話してくださる方も多く、皆さん方の風化させてはいけないという熱い思いが伝わってきた。

先生たちの研修会で使いたいと20部の申し込みがあったこと、30代の堺の先生が記事を見て平和教育に使いたいと申し込みがあったことなど、空資研の期待した反応もあったが、残念ながら少数であるというのが現状である。

また、在日3世の方から、「祖母・母の空襲体験を聞いていたので。」という電話を頂き、以前から気がかりであった、「語る会」の空襲体験記には在日朝鮮人の体験記は無いこと、そして「語る会」以後大阪での空襲体験記が相当出ているがこれについても視野に入れた検討が必要なことなど課題も色々見えてきた。

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新着雑誌です(2018.8.7)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出禁止です。閲覧のみです。

企業と人材 No1066 2018.8.5 (201315751)

人事実務 No1187 2018.8.1 (201315645)

月刊人事マネジメント 332号 2018.8.5 (201315678)

労働基準広報 No1966 2018.8.1 (201315702)

労働経済判例速報 2347号 2018.7.20 (201315736)

労働法学研究会報 No2674 2018.8.1 (201315553)

労働法律旬報 1916号 2018.7.25 (201315611)

賃金と社会保障 1710号 2018.7.25 (201315587)

 

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ミニ展示:映画「菊とギロチン」コーナー

 現在全国上映中の映画「菊とギロチン」は、「ヘブンズストーリー」「64(ロクヨン)」や「8年越しの花嫁」など多くの話題作を手掛けた瀬々敬久(ぜぜ・たかひさ)監督による自主製作作品です。

kiku-guillo.com

 大正時代のアナキスト無政府主義者)と女相撲の一行が出会って行動を共にする、という虚実を織り交ぜた物語はエネルギーに溢れ、今こそ必見と言える映画です。

 エル・ライブラリーでは、タイアップ企画として、映画の主人公である中濱鐵の『黒パン』(復刻版)や古田大次郎の『死の懺悔』(1926年)などの関連資料を展示中です。「菊とギロチン」特製手ぬぐいやバッチ、劇場用パンフレットもご覧いただけます。

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 この映画の紹介と感想は館長・谷合佳代子の個人ブログでも取り上げています。

菊とギロチン - 吟遊旅人ピピのシネマな日々

 3時間の長尺ですが、飽くなきパワーにあふれた作品です。大正時代末期に自由を夢見た青年と女たちの映画をご覧になって、当館で関連資料を閲覧ください。サポート会員様は貸出も可能です。

 ミニミニ展示なので場所の都合でほんの少しの資料しか蔵出ししていません。アナキズム関係のレア資料を収集保存している当館の資料をご利用の際は、事前にご連絡ください。大部分の資料が書庫内にありますので、出庫に時間がかかる場合があります。お手数をおかけしますが、ご理解お願い申し上げます。

 お問い合わせはこちら:http://shaunkyo.jp/contact/

新着雑誌です(2018.7.30)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 3955号 2018.7.27 (201315660)

賃金事情 No2766 2018.7.20

労働基準広報 No1965 2018.7.21 (201315637)

労働法令通信 No2493 2018.7.28 (201315694)

 

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『炭都と文化-昭和30年代の三池・大牟田-』

(※今回は寄贈本紹介を編著者ご自身に書いていただきました)

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 「萩尾望都SF原画展」が現在、全国を巡回中です。 http://hagiomoto-sf.com/

 先日、東京中野で鴨川つばめの「マカロニほうれん荘」原画展が開催され、往年のファンで賑わいました。http://korukun9951.hatenablog.com/entry/2018/05/20/194043
 大牟田がその活動拠点のひとつだった前衛美術集団「九州派」の再評価の動きが進んでいます。
https://artne.jp/column/387
 そして、地元大牟田では、「九州派が残した大牟田の美術教育 西部美術学園が歩んだ60年」展が開催されました。
https://www.facebook.com/events/1685899944864568/

 これらのニュースの主人公たちの出発点はいずれも昭和30年代の三池・大牟田にあります。当時「炭都」と呼ばれていた三池・大牟田が生んだ文化に今、新たな光があてられていると言っていいでしょう。

 昨年の5月と6月に大阪で開催された「炭鉱の記憶と関西―三池炭鉱閉山20年展―」。『炭都と文化-昭和30年代の三池・大牟田-』は、この展示会の「図録」に「炭都と文化―昭和30年代の大牟田」として収録されている論考に、新たな論考やエッセイ、資料を追加して刊行されました。
(発行:炭都と文化研究会、発効日:5月31日、A4版、本文158頁(内カラー32頁)、発行部数350部、非売品)

本書では昭和30年代の三池・大牟田の文化が、八つの章に分けて論じられています。

序章   大牟田万華鏡
第1章  総論
第2章 個人史
第3章 美術
第4章 市民文化のシンボル 大牟田松屋
第5章 映画
第6章 漫画
第7章 文学者と三池炭鉱
附録

以下、収録されている論考、エッセイのいくつかをご紹介します。

■総論
「未来への記憶-流民たちのコミューン」 荒尾市出身で元毎日新聞論説委員の池田知隆さんによる感動的な論考。
■個人史
「三川鉱炭塵爆発/魂の作曲家 荒木栄」 坑内電気工として戦後最大の炭鉱災害に遭遇した宮脇好光さんによる貴重なドキュメント。荒木栄との出会いの記録も。
■美術 
「三池と美術―激動に触発された表現者たち」 大牟田在住の若手美術史家、國盛麻衣佳さんが三池炭鉱を磁場とする画家たちの作品とその背景を丹念に分析した論考。
■映画
・「大牟田市と映画館―映画が生活の一部だった頃の話―」 大牟田には映画館が18館あった。大牟田在住の建築家、堤洋之さんによる当時の大牟田の映画館の詳細な解説。18の映画館の分布地図も。
・「森﨑東における炭坑と原発」 気鋭の映画評論家、上野昂志さんが『街の灯』、『党宣言』、『女咲かせます』三作品の分析を通じて森﨑映画の魅力に迫ります。
■漫画
萩尾望都と「キーロックス」 高校時代、萩尾望都とともに「キーロックス」同人だった藤井法行さんによる青春回顧録。当時の萩尾望都の貴重なイラストも公開。
・「トーマの心臓」論~許すことで得られる愛と生~」 西日本新聞文化部次長の神屋由紀子さんによる萩尾望都の代表作「トーマの心臓」論。萩尾望都にとって故郷大牟田とは?
・「大牟田漫画家名鑑―大牟田が生んだ22人の漫画家たちー」 大牟田在住の漫画コレクター、原田誠一さん渾身の力作。漫画家のふるさと、大牟田
・「中河のりお―漫画と青春、そして父として」 なぜ父は筆を絶ったのか?『見知らぬわが町 1995真夏の廃坑』の著者、中川雅子さんによる感動的なエッセイ。
■三井炭鉱と文学者
・「三池と文学者たち―1950-60年代の文化運動を中心に―」 若き文学研究者、茶園梨加さんが、戦後の三池炭鉱で炭鉱労働者たちが展開した文化運動を、炭鉱を訪れた作家たちの動向と合わせて丹念に分析した論考。

                   鵜飼雅則(炭都と文化研究会 )

  ※本書を入手ご希望の方は下記フォームからエル・ライブラリーにお問い合わせください。

   残念ながら在庫がなくなりました(2019.7)

エル・ライブラリー - お問合せ

 

新着雑誌です(2018.7.20)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労務事情 No1366 2018.7.15 (201314010)

月刊人事労務 353号 2018.6.25 (201314085)

労働経済判例速報 2344号 2018.6.20 (201313921)

労働経済判例速報 2346号 2018.7.10 (201313954)

労働判例 No1178 2018.7.1 (201314051)

労働判例 No1179 2018.7.15 (201313988)

労働法学研究会報 No2673 2018.7.15 (201314077)

労働法律旬報 1915号 2018.7.10 (201314044)

賃金と社会保障 1708号 2018.6.25 (201313871)

賃金と社会保障 1709号 2018.7.10 (201313905)

旬刊福利厚生 No2251 2018.7.10 (201313939)

旬刊福利厚生 No2250 2018.6.26 (201314028)

労働法令通信 No2491 2018.7.8 (201313962)

労働法令通信 No2492 2018.7.18 (201313996)

地域と労働運動 214号 2018.6.25 (201315538)

労働情報 No971 2018.7.1 (201315561)

 

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