エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

著者に会おう! 竹中恵美子さん(88歳)と語る

2018.5.15追記:満員盛況裡にイベントを終えました。豪雨の中をご来場くださったみなさま、ありがとうございました。詳細は後日掲載します。

 

 残席わずかとなりました! お申込みはお急ぎください。

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 恒例となりました、「まちライブラリー ブックフェスタ」2018に今年もエントリーしています。
 今年はドーンセンター情報ライブラリーと共同企画を展開します。

 4月28日から5月27日の期間中、当館内において「ドーンセンター所蔵 竹中恵美子文庫」を紹介し、「同一労働同一賃金」をテーマにした資料展示を行います。

 いっぽう、当館の女性労働団体のミニコミをドーンセンターで展示していただきます。

 5月13日(日)午後には、米寿を迎えた竹中恵美子氏をお招きするイベントも
予定しています。著作の紹介や研究の思い出話を語っていただき、竹中恵美子氏に学んだ人びとの歓談を行う、気軽な会です。お茶とお菓子も用意します。差し入れ歓迎!
 奮ってご参加ください。

<竹中恵美子>
1929年岐阜県生まれ。大阪市立大学名誉教授。専門は労働経済学。
『戦後女子労働史論』(有斐閣、1989年)ほか著書多数。
『竹中恵美子著作集』(全7巻 明石書店)あり。


<開催情報>
開催日時:5月13日(日)14:00〜16:00(予定)
開催場所:エル・ライブラリー

地図:https://shaunkyo.jp/access/

参加費:無料(カンパ歓迎)
主催者:エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)
申込先:
定員:15名(5月10日、残席3)

新着雑誌です(2017.5.10)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌は閲覧のみです。貸出はできません。

労政時報 3950号 2018.4.27 (201312832)

賃金事情 No2761 2018.5.5 (201311651)

労務事情 No1361 2018.5.1 (201311685)

人事実務 No1184 2018.5.1 (201311628)

月刊人事マネジメント 329号 2018.5.5 (201099074)

企業と人材 1063号 218.5.5 (201312717)

労働経済判例速報 2339号 2018.4.30 (201312865)

労働法学研究会報 No2668 2018.5.1 (201318741)

労働法律旬報 1910号 2018.4.25 (201099082)

賃金と社会保障 1704号 2018.4.25 (201312774)

旬刊福利厚生 No2246 2018.4.24 (201312808)

地域と労働運動 2012 2018.4.25 (201312667)

 

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「同一労働同一賃金」をテーマにブックフェスタ開催中!

 4月28日から一か月間開催される、「まちライブラリーブックフェスタ2018」に当館も参加しています。

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 当館では「同一労働同一賃金」をテーマに、大阪市立大学名誉教授の竹中恵美子氏の著作を展示しています(上の写真)。また、5月13日(日)には、「著者に会おう」と題して、ナマ竹中恵美子先生にお会いできる、お気軽お気楽な茶話会も予定しています。

l-library.hatenablog.com

 それでなくても狭いエル・ライブラリーの閲覧室にところ狭しを展示した竹中著作は、著者ご本人の蔵書と当館蔵書に加えて、ドーンセンター情報ライブラリーの「竹中恵美子文庫」からもお借りしました。 

 ドーンセンターとのコラボ企画によって互いの資料を貸借し、ドーンセンターでは「女性たちのミニコミ展」が開催されているので、当館からも出品しています。

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 ドーンセンターとエル・ライブラリーとは徒歩7分ほどの距離です。ぜひ両館とも人お立ち寄りいただき、ブックフェスタのスタンプラリーにご参加くださいねー。当館でもスタンプラリー用のカードを配布しています。 

machi-library.org

 展示している著作リストは下記の通りです。

  タイトル 所収誌または出版者 所蔵者
1 男女賃金格差と男女同一労働同一賃金原則についての一考察 経済学雑誌 29巻3・4号 1953 著者
2 わが国労働市場における婦人の地位と賃金構造 経済学年報 15集(『戦後女子労働史論』に再録) 1962 エル
3 女のしごと女の職場 三一書房 1962 エル
4 職務給反対闘争の現状と問題点 月刊労働問題 67号 1963 エル
5 婦人賃金の問題点と課題 月刊労働問題 73号 1963 エル
6 初任給上昇と賃金体系 月刊労働問題83号 1965 エル
7 婦人のしごとと賃金 月刊総評 臨時号 1965 エル
8 年功賃金成立の内的論理について 経済学雑誌 60巻5号(『現代労働市場の理論』日本評論社に再録) 1969 エル
9 婦人労働者の賃金問題 婦人労働(現代婦人問題講座 第2巻) 亜紀書房 1969 エル
10 婦人の低賃金と今日の問題:ウーマン・パワー政策及び所得政策に関連して 月刊総評 臨時号 1971 エル
11 現代婦人労働の諸問題:雇用・賃金・母性保護を中心に 現代の婦人問題. 創元社 1972 エル
12 春闘と女の賃金 月刊総評 臨時号 1973 エル
13 個別賃金要求と賃金闘争 月刊労働問題185号 1973 エル
14 イギリス1970年男女「同等賃金法」について 経営研究 128・129・130(『婦人問題懇話会会報』21号に再録) 1974 エル
15 わが国企業内賃金構造の特質:いわゆる年功制の分析視覚をめぐって 経済学雑誌 73巻3号 1975 ドーン
16 家事労働の経済的評価 ジュリスト増刊総合特集 3(『戦後女子労働史論』に再録) 1976 エル
17 女子労働者と賃金問題 講座現代の賃金 4. 社会思想社 1977 エル
18 婦人の賃金と福祉:婦人解放の今日的課題 創元社 1977 エル
19 ILO看護婦条約の背景と意義 婦人労働とILO看護婦条約. 労働教育センター 1978 著者
20 労働力再生産の資本主義的性格と家事労働:家事労働をめぐる最近の論争によせて 経済学雑誌 81巻1号(『戦後女子労働史論』に再録) 1980 エル
21 家事労働の価値観 かんぽ資金 1987.7月号(『戦後女子労働史論』に再録) 1987 エル
22 戦後女子労働史論 有斐閣 1989 エル
23 差別の仕組み:その根源に迫る ゼミナール・女の労働. ドメス出版. 1章 1991 エル
24 働く女たちの歩み(戦前編):戦前労働運動における「婦人の特殊要求」をめぐって ゼミナール・女の労働. ドメス出版. 2章 1991 エル
25 これからの女の労働 ゼミナール・女の労働. ドメス出版. 6章 1991 エル
26 21世紀を支える女性と税:パート就労「100万円の壁」を考える 35周年記念シンポジウム報告書:21世紀を支える女性と税. 全国婦人税理士連盟(『女性論のフロンティア:平等から衡平へ』に再録) 1992 エル
27 現代家族と家事労働:歴史の流れの中で考える 平成5年度第5回三田市民大学報告書〈現代家族〉を読む. 湊川女子短期大学(『女性論のフロンティア:平等から衡平へ』に再録) 1994 エル
28 女性論のフロンティア:平等から衡平へ 創元社 1995 エル
29 男女賃金格差とコンパラブル・ワース 戦争・戦後責任と差別(花園大学人権論集;3). 法政出版 1996 著者
30 ゼミナール男女共生社会の社会保障ビジョン  ドメス出版. 第1章 1996 エル
31 賃金差別とコンパラブル・ワース ゼミナール共生・衡平・自律:21世紀の女の労働と社会システム. ドメス出版 1998 エル
32 アンペイド・ワーク(無償労働)と社会政策:新しい社会システムに向けて ゼミナール共生・衡平・自律:21世紀の女の労働と社会システム. ドメス出版 1998 エル
33 政策としてのアンペイド・ワーク(UW)論:男女で担うとはどういうことか 報告書連続講座2000年会議へ向けて:北京からニューヨークへ 2000 ドーン
34 新しい労働分析概念と社会システムの再構築:労働におけるジェンダー・アプローチの現段階 労働とジェンダー 第1章. 明石書店 2001 エル
35 家事労働論の現段階:日本における争点とその特質 経済学とジェンダー 第4章. 明石書店 2002 ドーン
36 竹中恵美子が語る労働とジェンダー ドメス出版 2004 エル
37 竹中恵美子の女性労働研究50年 ドメス出版 2009 エル

スキルアップ!情報検索:基本と実践

中島玲子, 安形輝, 宮田洋輔著

日外アソシエーツ , 紀伊國屋書店 (発売) 2017.9 192頁

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 情報検索を初めて学ぶ学生、スキルアップしたい現場の図書館員、体系的に学ぶ機会がなかった社会人のために書かれた入門書。情報検索の入門書としてだけではなく、資料論としても使える本である。

 全体は下記の3章に分かれている。

  • 第1章 情報検索 基本編(情報を検索するとは;データベースと検索の仕組み;データベースには得意分野がある ほか)
  • 第2章 情報検索 実践編(図書を探す;雑誌記事を探す;新聞記事を探す ほか)
  • 第3章 検索裏ワザ お役立ち情報編(フィールド別の検索のすすめ—より的確に調べる;やり過ぎは機会損失—検索漏れを減らす;より広く適したものを探す—論理和や上位概念の活用 ほか) 

 Amazonのカスタマーレビューでは、いずれも初心者と思しき人々から高い評価を得ている。しかし本書は「初級は卒業した」と思っている人にも読んでほしい。

 あなたは我流の検索で事足れりと思っていますか。Google検索で上位5件ぐらいを読んで満足していますか。Googleのオプション検索を使いこなしていますか。統計情報の探し方を知っていますか。

 こんな質問に、順に「はい、はい、いいえ、いいえ」と答えた人なら、絶対に読んで役立つ本だ。知っているようで知らないことや、部分を知っていても全体を知らないことはいくらでもあって、検索の世界でもそれは当てはまる。だから、第1章の基礎編が大事である。

 基礎編をざっと眺めてここは飛ばし読みでも大丈夫と判断した読者なら、第2章から読んでもいい。本書が司書課程の「情報サービス演習」のテキストやサブテキストにぴったりなのは当然だが、第2章の実践編は「図書館情報資源概論」や「特論」のサブテキストにも使える。実際、いまや図書館情報資源といえば、図書館の蔵書として所蔵されている図書や雑誌だけでは不足しており、たとえば行政情報を調べたい利用者にとっては、WEBからの情報入手は欠かせない。そんな場合には、第2章の「統計情報を探す」「公的な資料、法律、判例を探す」が大いに参考になる。

 第3章になると、検索の裏技が披露されている。検索結果から適切な検索語を見つけて再検索する(これを「フィードバック」という)とか、検索語が多すぎると機会損失になるとか、英語以外の外国語をどうやってうまくGoogle翻訳にかけるのかとか、既に実践している人もいそうだが、さまざまな技が論理的に示されているので説得力がある。

 以上、褒めるところばかりであった本書の最大の長所はその読みやすさにある。そしてもう一つ、例題がよく練られているという点。さらに、200頁に満たない本なのに巻末に索引がついているのも嬉しい。

 わたし自身がもっとも目からうろこが落ちたのは、「代行検索のポイント」と「検索評価の視点」の部分だ。これらは3章の末節に置かれていて、これは図書館でいう「レファレンスサービス」の過程で生まれる事柄である。レファレンスとは、「調べ物依頼とその回答」という意味で、利用者からの調査依頼と、図書館員による調査結果の回答の両方を指す。本書では図書館におけるレファレンスサービスだけではなく、日常生活での「代行検索」にこれを当てはめて説明しており、とてもわかりやすい。検索結果の評価については不断におこなう必要があり、その評価軸がきちんと示されているところが役に立つ。

 あとは、本書を読んでさらに深い知識を得たいと思った読者に参考図書の案内があれば、なお良かった(欲張りですみません)。(谷合佳代子)

新着雑誌です(2018.4.27)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労働判例 No1173 2018.4.15 (201311602)

労働判例 No1174 2018.5.1 (201311578)

労働経済判例速報 2338号 2018.4.20 (201311636)

労働法学研究会報 No2667 2018.4.15 (201311669)

労働基準広報 No1956 2018.4.21 (201311461)

労働法令通信 No2483 2018.4.18 (201311495)

労働法令通信 No2482 2018.4.8 (201311529)

地域と労働運動 211号 2018.3.25 (201311610)

 

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新着雑誌です(2018.4.19)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 3949号 2018.4.13 (201311297)

賃金事情 No2760 2018.4.20 (201311263)

労務事情 No1360 2018.4.15 (201311230)

ビジネスガイド No854 2018.5.10 (201311354)

労働経済判例速報 2337号 2018.4.10 (201311487)

労働法律旬報 No1909 2018.4.10 (201311545)

労働基準広報 No1955 2018.4.11 (201311321)

月刊人事マネジメント 328号 2018.4.5 (201311388)

月刊人事労務 350号 2018.3.25 (201311412)

賃金と社会保障 1703号 2018.4.10 (201311446)

労働情報 No968 2018.4.1 (201311453)

旬刊福利厚生 No2245 2018.4.10 (201311511)

 別冊中央労働時報 1497号 2018.6.10 (201310596)

 

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『オルグ!オルグ!オルグ! 労働組合はいかにしてつくられたか』

 本田一成著(新評論/2018年3月/四六並製384頁)

※定価3024円が送料・税込2500円になるチラシをエル・ライブラリー内で配布中!

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 本書は、チェーンストアの労使関係を専門的に研究している本田一成(國學院大学経済学部教授)が、業界最大の産業別組合である「UAゼンセン」のオルグ(オルガナイザー)たちがチェーンストアの労働者を組織化する過程を、オルグたちへの徹底的なインタビューにもとづいて構成されたものである。

 著者は、「オーラルヒストリーよりインタビュー」にした理由に、「断片性や網羅性という基準から逃れて」「自らの研究目的や仮設に必要な情報の厚さを優先すべきだと考え」、「記憶から作られた記録の域を出て、読み手を寄せる」作品を目ざしたと述べている。

 カバー帯は― 労組仕掛け人のストーリを追うと、「ロマン」が見えてきた!まるで忍者のごとく各地を飛び回った男達(オルグ)が、日本社会に残したものとは・・となっている。

 1950年代に「流通革命」と呼ばれる、大量出店、大量仕入れ、大量販売を目的としたチェーンストアの続出で、大量採用により、夥しい数のチェーンストア労働者が生まれた。旧来の主従関係(小僧、丁稚、手代、番頭)ではなく、経営者と対等な関係の民主的な労働組合を結成し、その労組の新たな産別組合をつくろうという「ロマン」の実現過程を追うのが本書のテーマだ。前段では、小売業界の労働運動の歴史=“過激な「全百連」の後遺症”、商業労連、一般同盟、全国チェーン労協が語られているが、本書の主題は、「ゼンセンのオルグ」活動だから、それぞれの検証はここでは省略する。

 1946年に結成された「全繊同盟」(全国繊維産業労働組合同盟)は、50年代に繊維大手のほぼ100%を組織化し、中小の組織化、「組織拡大」に全力投入する産別組織として、その「大産別主義と内部統制」を特徴とする「産別組合の王者」を誇ってきた。繊維産業の衰退を背景に、次々と他業種の組織化を手がけ、流通業界にも加盟組織を拡大していく過程で、“アンチゼンセン”勢力も台頭するが、それをまとめて統合していく手腕も本書の「オルグ能力」なのだろう。組織名称も変わっていく。つまり、全繊同盟→ゼンセン同盟→UIゼンセン同盟全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟2002年1989労組約784,000人)→UAゼンセン(2017年9月時点2428組合1,726,356人)に。どの時期も「組織拡大」が最優先である。

 ゼンセン専従の職業的オルグの「三大オルグ」と称される、二宮誠、三ツ木宣武、佐藤文男の三氏を中心に、全国を飛び回る多くのオルグの組織化手法に迫るインタビューノートは、労働運動史上、貴重な史料となるであろう。現場オルグだけでなく、労働戦線再編の旗振り役の一人である山田精吾も「伝説のオルグ」として登場するが、「ゼンセン史上もっとも多くの組合をつくった」とされる佐藤文男への密着インタビューにもとづいて、本書の展開がなされている(本書脱稿後の2017年12月に佐藤文男逝去、享年92歳)。

 佐藤の組合づくりの原点は、静岡西部の遠州地区、繊維産業の中小企業が密集する地域で、夫婦でガリ版刷りのビラを朝夕2回配り、労働組合が必要であることを訴え続けていて、400人規模の工場で17歳の女性2人が訪ねてきたところから1か月後に組合結成となった。「どんな要求でものむから、組合だけはやめてほしい。ほかの経営者たちに顔向けできなくなる」と言った社長の言は時代を反映していた。もちろん蹴ったが、経営者の抵抗に手痛い目にあった経験は何度もある。労働組合結成の寸前で壊されたり、暴力団まで雇われたり、担い手の切り崩し等々。「オルグ手法の大転換」と記述されている「佐藤方式」とは、経営者団体との懇談会で「組合の役割、左翼労組との違い、全繊同盟の活動、組合づくりの態度や姿勢、生産性の重視など」を説明し、「組合を避けるのではなく、協力関係の形成を」説得して、発想自体が認知されたとみるや、少数労働者をつかむのでなく、経営者との接触の場を求めつつ、集団方式で結成準備にかかって、1961年5月遠州織物労組結成大会(46労組約4,000人)にこぎ着けたというのが、「佐藤方式第1号」。

 全繊同盟組織部がチェーンストア組織化に舵を切ってからも、この「佐藤方式」「集団組織化」方式が全体化されていく。いろんな組合結成やゼンセン加盟へのケースが固有名詞で語られている。それらのケースの中には、総評全国一般の少数組合がすでに出来ている企業にゼンセンの「第二組合」を結成して圧倒した例も語られている。オルグ仲間では「墓場まで持っていく」として、記録しないものだが、著者は、― 組織拡大は、確かに個人プレーではなく集団の成果なのですが、プロフェッショナルによる組合づくりが労働組合運動の背骨になっていることを忘れるべきではありません。また、チェーンストア労組のリーダーたちは、心血を注いで優れたオルグ能力を発揮してきました。これらは、日本の国民にまったく認識されることのない大きな功績と言えます。歴戦のオルグたちに感謝し、拍手を送りたい気持ちでいっぱいです。 オルグの話から学べることがたくさんあります。働く者にとって労働組合がいかに大切なのかを理解して、これからしっかりと労働運動に取り組む気持ちになってもらえるのなら、とてもうれしく思います ― と結んでいる。

 この結語に全く異論はない。本書では「左傾組合」として危険視されている「総評」でも、組合員3円のカンパで中小企業対策を中心に「オルグ制度」が1956年3月に発足して、「野武士のごとくたくましく」をモットーに生涯をかけたオルグ活動がされてきて、『オルグ』(日本労働組合総評議会編/1976年/労働教育センター)にまとめられているが、労働運動史的にはその検証も期待したいところである(敬称略)。(伍賀偕子《ごか・ともこ》元「関西女の労働問題研究会」代表)