エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

大阪府総合労働事務所南大阪センターへ行ってきました

 エル・ライブラリーの突撃インタビュー(いつのまにシリーズ化?(笑))、第2回は堺にある「大阪府総合労働事務所南大阪センター」のご紹介です。

 解雇や賃金未払いなど、職場のトラブルの相談に応じる「労働相談」を受け付けている大阪府総合事務所は府内3ヵ所にあります。今回は、そのうち、南大阪全体を管轄する「南大阪センター」にお邪魔してきました。
 ここは堺市泉州泉南地域と南河内地域という広い地域を担当されているので、なかなか大変です。職場の問題で切羽詰まって岬町から駆けつけてくる人もいるとか。

 さて、その南大阪センターですが、堺東駅から西へ数分のところにある、民間のオフィスビルの一室を借りています。このビルがわかりにくくて、谷合はすっかり迷ってしまいました。携帯電話を取りだしてGPS情報をゲットし、位置確認、Yahoo電話帳から地図情報へとリンクさせて…とやってみたけれど、「地図が読めない女」なので結局は住居表示を頼りにやっとこさ、たどり着きました。画像情報じゃなく文字情報でないと理解できないわたくし…(涙)。普通に歩けばきっと迷わず到着できると思うので、みなさん、安心してくださいね。

 さて、写真↓のようなドアを開けると…。

 予想より広々としたきれいな事務所です。エル・ライブラリーが超狭くていつも雑然としているので、よそ様はたいへん美しく見えます。


 
 大阪府総合労働事務所の報告書によると、労働相談件数は平成9(1997)年の8,080件から毎年増え続け、平成20年度は14,088件と、過去最高の件数となりました(毎年の報告書はエル・ライブラリーに所蔵しています)。
 そこで、岩崎センター長に、大不況下の労働相談の実態についてインタビューしました。
相談内容は、解雇・退職勧奨に関するものが一番多いということです。
解雇と退職勧奨は異なるのですが、相談者本人はそのどちらなのか自分でわかっていないケースも多いそうです。解雇ではなく、契約社員の「雇い止め」という場合もあります。南大阪センターの職員は7人で、それ以外に府職員OBの相談員2名が週4日勤務しています。毎月第4木曜は夜間相談にも応じていて(午後8時まで)、遠くから相談に来られる人も後を絶たないとか。相談者の大半が労働組合のない会社の従業員で、中小零細企業が多いそうです。
大阪府内では、主に下記の機関で労働相談に応じています。

  1. 各自治体(市町・大阪府総合労働事務所)
  2. 国の機関(大阪労働局・労働基準監督署ハローワーク
  3. 労働組合、労働者福祉団体、社会保険労務士会 等

  岩崎センター長に総合労働事務所の相談の特徴についてお尋ねしました。

  • 例えば、賃金未払、労働災害等については労働基準監督署雇用保険ハローワークが窓口で指導等の権限を持っています。基本的に権限のある案件について相談にのってくれます。
  • 大阪府総合労働事務所は、法的な指導権限は持っていません。しかし、法的な権限は持ってないので、逆に幅広く相談を受けることができます。
  • 相談される事案は複数の問題がからんでいることが多いので、それらの全体について相談を受けています。労働組合についての説明も行い、「組合を作るという方法もあり、一人でも加盟できるユニオンというものもあります」と回答することも。


 上の写真は労働相談の風景です。右が職員さん、左が相談者。個室でじっくり話を聞きます。毎月第二水曜日には、弁護士相談の時間帯もあります。
「相談内容に南大阪の地域性というものはありますか?」
「いやあ、特にそれは感じません。ただ、最近、メンタルヘルス関係の相談が増えました」
 
 さて、気になる相談の結果ですが…。センターでは相談に応じるだけではなく、労使双方から事情を聴取して調整する、「個別労使紛争処理」も行っています。
大阪府総合労働事務所全体で取り扱った個別労使紛争処理申請は平成20年度は48事案あり、前年度からの繰越9事案を含め、計57件にのぼります。処理を開始した37事案のうち35事案が年度内に終結し、そのうち23事案で労使双方の合意が成立し、解決したとのこと。

 当事者だけでは解決しない職場の問題に、労働事務所の皆さんが懸命に取り組んでおられます。職員の方が、「府民の目線で」「府民のために」という言葉を何度も口にされたのが印象的でした。

 センターの関係する事業の宣伝は、堺市をはじめとする自治体の広報に載せてもらうこともあります。府庁のホームページにも掲載していますが、このホームページが最近リニューアルされてかえって見づらくなっています。そのあたりのことも尋ねてみました。
「これではなんのためのリニューアルかわかりません。庁内でもそういう意見が出ていませんか?」
「わかりにくくなったというご意見はいただいていますので、現在、改善に向けて検討を重ねています」
これは是非期待したいと思います。
「労働関係情報メール配信サービス」というメールマガジンも発行していて、登録アドレス数は1000ほど。これもなかなかの発行数です。当館でもこのメールマガジンを受信していて、貴重な情報源として重宝しています。
大阪府の労働関係情報メール配信サービスの申し込みはこちら。http://sogorodo.ou.e-osaka.ne.jp/rodo-nw/entry.html



 事務所にはたくさんのチラシや冊子が置いてあります。セミナー案内もたくさんあるので、ここで多くの情報を入手することができます。ちなみに、エル・ライブラリーのリーフレットも置いていただいていました(ありがとうございます!)。

 また、南大阪センターでは、堺地域産業保健センターに協力して、働く人のメンタルヘルス相談を毎月第3火曜日午後2時〜4時まで受け付けています。
http://sogorodo.ou.e-osaka.ne.jp/rodo-nw/info.html にも案内文が掲載されています。

 労働相談には、労働組合、国、地方自治体、それぞれが役目に応じた丁寧な対応をしてくれます。職場のトラブルで困っている方はぜひ、これらの機関にご相談ください。(た)

大阪府総合労働事務所南大阪センター
電話:072-233-6821
FAX:072-233-6885
住所:590-0076 堺市堺区北瓦町1-3-17 NBF堺東ビル5階
南海高野線「堺東」駅下車西に徒歩3分。
通常相談:月〜-金曜日9時-17時45分
夜間相談:第4木曜日18時〜20時