エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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当館資料活用成果「産業別労働組合と演劇サークル」

 長島祐基「産業別労働組合と演劇サークル ―全損保大阪地協演劇部から劇団大阪へ―」『大原社会問題研究所雑誌』no.762(2022.4)

 当館の資料を利用して書かれた論文の抜き刷りを著者から寄贈していただきました。この論文については今年2022年4月に法政大学大原社会問題研究所の月例研究会で報告されています。そのとき使われたスライドのプリントも寄贈されました。

 本稿は1950年代から70年代初頭にかけての職場のサークル活動と作品のテーマを分析することによって、企業の枠を超える組合員の仲間意識や共同性の形成にサークル活動が果たした役割と高度成長の中でのサークルの変化を検討するものです。

 この研究は、当館の館長・谷合と特別研究員・黒川に加えて東邦大学鈴木貴宇准教授の3人で今年から3年かけて行う「林業労働者の文化運動」という科研費プロジェクトにとっても、大いなる参照となるものです。

 全損保(全日本損害保険労働組合)大阪地方協議会演劇部に注目して分析が行われています。その際、当館所蔵資料も活用していただきました。

 本稿では、労働組合から劇団が生まれたという瞠目すべき歴史的事実が掘り起こされていきます。文化サークル全盛期の1950年代、サークル運動衰退期の60年代、というこれまでの通説的な見方とは異なるサークル活動の実態を描いています。

 作品内容の深掘りなど、今後の一層の研究の深化が楽しみです。(谷合佳代子)