関西国際交流団体協議会の2冊

NPO・NGOのキャパシティ ディベロップメント』
『持続可能な社会のつくり方〜若者のためのESD実践資料集』
特定非営利活動法人 関西国際交流団体協議会(2015年3月)

 本書を編集発行した「特定非営利活動法人 関西国際交流団体協議会」は、昨年2014年12月に創立30年を迎えた(発足時は「大阪国際交流団体協議会」)。1984年12月に、国際交流・国際協力に関わる団体のネットワーク、民間主導のネットワークとしては国内初めての誕生で、全国から注目された。
 この30年、日本の国際交流・国際協力は大きく発展・変遷したが、地球的規模の課題や日本社会の課題が多様化、深刻化するなか、様々な社会的課題を解決し、持続可能な社会を構築するために、NPONGOが果たす役割がますます大きくなっている。
 これらの2冊は、この間の優れた活動の蓄積を、若い世代に継承することを使命として、編集発行された。

<1> 『NPO・NGOのキャパシティ ディベロップメント』
 第1章では、「NPONGOのキャパシティ ディベロップメント」(CD)の概念が理論化されている。CDの定義は、UNDP(国連開発計画)をはじめいくつかが表に集約されているが、共通の視点は、「援助国自身の自立的な問題解決能力の獲得・向上・維持に焦点をあて、個人、組織、制度・社会の様々なレベルにおける能力向上の重視」である。

 第2節以降のテーマだけ列挙すると― 第2節/NPOの協働〜若者へ向けて〜、 第3節/権利としての子どもの参加〜子ども・若者の人材育成において大切なこと〜、第4節/ファンドレイジングの現状と課題、第5節/「社会変革ツール」としてのCSRの可能性、
第6節/米国大学院におけるNPO人材育成プログラム― である。各節ともそれぞれ豊かな実践例の典型化がなされている。NPOのファンドレイジング(資金の獲得)の手法と意義についても興味深い。

 第2章は、関西国際交流団体協議会のあゆみと多様な実践の典型化と継承すべき教訓が編まれている。
 2002年9月、大阪市港区築港に、大規模なNPO拠点施設「pia NPO」が誕生した。大阪市港湾局の旧庁舎をNPOビルに転用し、各NPOの事務所入居などの組織基盤を強め、互いの連携を深める役割を果たして、注目された。この運営には、NPOの中間支援団体の役割を当協議会が担った。大阪市内には、「大阪NPOプラザ」もあり、二つの相乗効果もあって、大きな役割を果たしたが、耐震診断や財政難を理由に、2012年に二つとも閉館された。

― NPO、行政、企業がイコールパートナーとして連携し、協働して「公益」にあたることが重要性を増している今日、「協働のプラットフォーム」のありようを再考することが求められる― と結んでいる。

 拠点施設のあり方以外に加えて、ワン・ワールド・フェスティバルの果たした役割、外国人母子支援事業がめざす新しい多文化共生のプラット「Minami子ども教室」の試み、アジア協会アジア友の会、ヒューライツ大阪の活動事例が紹介されている。また、事例として、海外インターンシップ事前研修プログラムや、国際協力イベント「Presentation for Peace」を通して、関西NPONGOの組織診断もなされている。

<2> 『持続可能な社会のつくり方〜若者のためのESD実践資料集』
 これは、2014年度、当協議会が実施した「NPOによるESD実践と若者人材育成イニシアティブ」のなかで作成された資料である(一般財団法人地球産業文化研究所の愛・地球博成果継承発展助成事業の助成金による)。

 ESD(持続可能な開発のための教育)の定義は諸説あるが、要は「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」のことである。国連では2005〜2014年を「ESDの10年」とし、世界中で多くの市民や団体が参加して、持続可能社会にむけての仕組みづくりの構築が追求された。
 この10年の締めくくり年である2014年、その提唱国である日本で「ESDに関するユネスコ世界会議」が開催され、そこで当協議会が提供したプログラムである。

 1)「活動事例グッドプラクティスからの学び」では、西淀川高校の「菜の花プロジェクト」、柴島高校の「学校開き『生徒の自己開示の取組み』」、こどもの里の「越冬期における野宿者支援・子どもの夜まわり活動」、RAFIQ(=在日難民との共生ネットワーク)の「『難民と一緒に暮らせる街』を目指して!」が報告されている。
 3)では西成協働プロジェクトから「釜ヶ崎芸術大学(ココルーム)」「反貧困学習(西成高校)の実践が「出会いと学び合い」のグッドプラクティスとして登場している。
 さらに、「海外での若者の取組み」も2で紹介されている。

 現在日本ユネスコ協会連盟が行っている「ユネスコ協会ESDパスポート」は、児童生徒のボランティア活動の結果を特定のパスポートに記録し推奨するシステムで、当協議会と協働して、ESDを実践している高校10校で取組みが展開されている。
 いずれの実践例も、豊富な写真と息吹が伝わる報告である。(伍賀偕子)