クミジョを考える / 本田一成著 信山社 2025.11
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クミジョという耳慣れない造語を生み出したのは本書の著者である本田一成さんです。クミジョプロデューサーを自任される本田さんは、現在武庫川女子大学経営学部教授です。日本でただ一人のクミジョプロデューサーとして、郵便局の労働組合であるJP労働組合から「JP労組クミジョ応援係長」に任命されたとのこと。
ここまで読むと、クミジョのクミは「労働組合」の「組」、ジョは「女」のことだとピンときますね。クミジョは労働界で活躍する女性のことです。クミジョが居るなら、クミダンも。というわけで、本田さんはクミジョ・クミダン活動に取り組んでおられるのです。
本田さんはサービス産業の労働問題を専門とする研究者ですが、クミジョ問題に取り組むようになった直接のきっかけについて本書でも触れられています。それは2018年の財務省事務次官のセクハラ問題について世間話をしていたとき、労組男性役員たちの反応を見てがっかりしたことだそうです。詳細は本書を読んでいただくとして、以来本田さんはクミジョへのインタビューを重ね、彼女たちの思いを把握することから始めます。
本書は労働者の幸せのために労働組合が役に立つことを述べ、とりわけクミジョを増やすことによって女性にも男性にも働きやすい職場になると力説しています。
特に第3章に注目。クミジョについての調査結果がふんだんに掲載されています。そもそもクミジョは全国に何人いるのか。クミジョたちは女性労働者の危機(家事や介護の負担増、ハラスメント被害、短時間労働でしか働けないなど)の増減をどのようにとらえているのか、女性執行委員がいる単組の女性組合員・女性役員の組織現勢(割合)は? この数値を見ると惨憺たるありさまが見えてきます。
労組だってクミジョを増やしたいと思っているのに、なぜ増えないのか? 女性国会議員の割合よりもはるかに女性の労組役員のほうが割合が多いのに、その活躍がなかなか見えないのはなぜ? その要因の一つに、「善意的性差別」がある、と著者は言います。女性は家庭責任があるから会議の途中で帰宅してもいいよ、負担が重いから三役には就かなくていい、といった男性役員たちの考えがそれです。
ではクミジョ活動の増強が労組にとって不可欠な理由はなんでしょう。第5章で著者は、第1に組織の持続性にかかわる、第2に組合にとって大きな財産になる、第3に労働力人口の急激な減少に対処するために女性労働力への期待が高まる今、ジェンダー平等政策推進の担い手となる労組活動が必須、ということを挙げています。
最後に、失敗しないクミジョ増強活動とはなにか? それは第6章で述べられているので、本書をお読みいただきましょう。いくつかのヒントが掲載されているので、実践を担うクミジョ・クミダンに読んでいただきたいです。とりわけクミダンに。クミジョとクミダンは対立するものではないはずなのに、すれ違いが生まれている。ではどうすればいいのか? 労働組合は低迷していると言われていますが、絶望するのは早い、と著者は最後に述べています。(谷合佳代子)
