エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

企画展:「1968年」無数の問いの噴出の時代

 エル・ライブラリーが特別協力している、国立歴史民俗博物館歴博)の企画展をご紹介します。

 以下、歴博のWebサイトより転載します。

 

大学闘争、三里塚、べ平連・・・1960年代を語る資料を約500点展示
約50年後の今、「1968年」の多様な社会運動の意味を改めて問う

本展は、1960年代後半に日本で起こった、ベトナム反戦運動三里塚闘争水俣病闘争などの市民運動住民運動、全国的な大学闘争などの多様な社会運動に総合的に光を当てたものです。これらの運動は、戦後の平和と民主主義、そして高度経済成長や公共性を押し立てた開発計画のあり方、広くは戦後日本の政治的・経済的枠組みを「問う」ものでした。この時代に噴出した「問い」はいまなお「現役」としての意味を持ち続けています。また、1960年代後半は、日本の社会運動が、それまでの組織的な問題設定・問題解決の方式から、「個」の主体性を重視する特徴を強く顕し始める転換期でもありました。人々は様々な問題に対し異議を唱え、あるいは改革を要求する声を、各自の居場所で、多様な形態であげていったのです。こうした新しい社会運動のスタイルは後の時代にまで大きな影響を与えました。

「1968年」は、この時代の象徴的な出来事である東大闘争や日大闘争といった学生運動が活発に行われた年でした。本展は、当時を象徴する資料約500点を展示し、「1968年」を中心としたこの時代の多様な運動をより総合的に紹介することで、この時代の運動の意味を探ります。

開催期間 2017年10月11日(水)~ 12月10日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
料金

一般:830(560)円 / 高校生・大学生:450(250)円 /
小・中学生:無料 /( )内は20名以上の団体 

※総合展示もあわせてご覧になれます。 
※毎週土曜日は高校生は入館無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。 
 (専門学校生など高校生及び大学生に相当する生徒、学生も同様です)
障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介護者と共に入館が無料です。

開館時間 9時30分~16時30分(入館は16時00分まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。
休館日 月曜日(休日の場合は翌日が休館日となります)
主催 大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
特別協力 立教大学共生社会研究センター、法政大学大原社会問題研究所、エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)、「技術と社会」資料館、成田空港 空と大地の歴史館

 

詳しくは、下記をご覧ください。

企画展示|展示のご案内|国立歴史民俗博物館

漱石の個人主義 ~ 自我、女、朝鮮

関口すみ子海鳴社/2017/四六判310頁)

 

 著者は、元法政大学法学部教授で、思想史、ジェンダー史が専門。

 著書も、『御一新とジェンダー』(東京大学出版会/2005年)、『管野スガ再考』(白澤社/2014年)、『近代日本 公娼制の政治過程』(白澤社/2016年)をはじめ、ユニークな実証的研究が多いが、本書は、夏目漱石の作品群を詳細に読み解き、漱石のヒストリーをも追う、興味深いものである。

― 漱石の「個人主義」は、「個性」の尊重という思想、すなわち、人間それぞれの独自性・独創性を発現させるべきだという信念である。そうした漱石は、貧富の問題も、各自の個性、もって生まれた可能性のこの世での実現という観点からとらえ、それを「権力」「金力」批判の足場とするのである。―(「まえがき」より)

 構成は、二部十章からなり、漱石フアンにもそうでない人にも、どれだけ多くの作品群が丁寧に分析されているかを知ってもらうために、長くなるが、目次を紹介する。

  • 私の個人主義― 私は私自身を代表している
  • 文鳥」「夢十夜」「心」から探る“意中の人”―「それから」の前夜
  • 楠緒・保治・錦之助― テキスト外のこと
  • 愛せない男―市蔵(『彼岸過迄』)の燃えない愛と燃え上がる嫉妬「嫉妬心」
  • 「行人」― 猜疑の拡散と、震源地・愛嬌のない女
  • 「現代の青年に告ぐ」から「先生の遺言」へ―「野分」と「心」の間

  付 「心」と親鸞

  • 「道草」等に見る、子どもに対する精神的虐待の諸形態

  付 漱石と禅、女

― 漱石が1909から1911年にかけて経験したこと

  • 進化する「細君」― 「野分」「門」「道草」から「明暗」へ
  • 持たざる者と持てる者― 「明暗」の人々

「あとがき」にかえて― 小説に遺された“美しい女”たち

 著者によれば、第一部では、体面的な、身近な人間関係での「自我」の探求、第二部では、社会的な規模での「自我」の探求という観点での構成となっている。

 漱石作品には、独特の女性の内面への観察が叙述されているが、「女なんかに何がわかるものか」「黙っていろ」「どうせ女ですわ」とにらみ合っていた「吾輩は猫である」から、「明暗」までの長い間に良人と細君の関係は長足の進歩を遂げた―と述べられている。江戸文芸の世界にどっぷり浸っていた漱石が夫婦の対等に向けた改革を志向するようになると、その進化を分析している。だが、漱石作品には、着物や帯を質に入れるのは別にして、自分で働いて収入を得るという女性が、ヒロインどころか、「下女」(家、食堂、宿)と看護婦の他はほとんど登場しないのである。遊廓の影はときに見え、芸者も姿をのぞかせることがあるが、「職業婦人」や「女教師」「女工」の姿はほぼないー と。

 本書の帯の紹介では、― 「韓国併合」前後の漱石の動きについても、新たな見方を提示― とうたわれている。だが、― 国家と軍事力を背景にした植民者とそれに伴う諸問題という視覚が、「満韓」を語る際に微塵もなく、それどころか、日本人が意気軒昂としていてよかったという態度をとっているのである―と厳しく指摘している。ただ、「満韓ところ〴」を経て「門」に至る過程では、社会など、より大きな規模での自我の探求という課題に入っていくとされている。

 文学作品としての漱石評価は、多くの研究があると思うが、本書の視点は非常に興味深く、漱石を理解する上での示唆に富んでいる。(伍賀偕子:元「関西女の労働問題研究会」代表)

新着雑誌です(2017.9.19)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。

労政時報 3936号 2017.9.8 (201298163)

ビジネスガイド No844 2017.10.10 (201298171)

人事実務 No1176 2017.9.1 (201298023)

労働経済判例速報 2317号 2017.8.30 (201298056)

労働法学研究会報 No2651 2017.8.15 (201298114)

労働法学研究会報 No2652 2017.9.1 (201298080)

労働基準広報 No1935 2017.9.11 (201298148)

労働法律旬報 No1347 2017.9.15 (201298239)

 

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新着雑誌です(2017.9.7)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新号は貸出できません。

企業と人材 No1055 2017.9.5 (201298130)

労務事情 No1346 2017.9.1 (201297850)

賃金事情 No2746 2017.9.5 (201298221)

月刊人事マネジメント 321号 2017.9.5 (201298197)

労働基準広報 2017.9.1 (201298072)

労働判例 No1159 2017.9.1 (201298007)

労働法律旬報 No1894 2017.8.25 (201298015)

旬刊福利厚生 No2230 2017.8.22 (201297918)

地域と労働運動 198 2017.2.25 (20127884)

地域と労働運動 203 2017.7.25 (201297942)

地域と労働運動 204 2017.9.25 (201297975)

賃金と社会保障 1687・1688号 2017.8.25 (201298106)

 

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『岐路から未来へ』

共同通信社 編/2015年8月31日 柘植書房新社 発行/四六判270頁)

 本書は、2014年の1年間、週1回で計50回配信された同名の連載を1冊の本にまとめたものだ。「まえがき」では以下のように記されている。東日本大震災について「もし、人知を超える自然の力を率直に認め、自然と調和した生き方を選んでいれば、これほどひどい被害に、長期にわたって苦しむことはなかったのではないか。
 考えてみれば、それは核や環境問題に限らない。戦後の焼け跡から立ち上がり、復興を目指して七〇年。私たちはいくつもの岐路を経て、いまこの地平に立っている。ここまで歩んできて、顕在化しつつある問題は何か。私たちはどこで間違えたのか、あるいはこの道は不可避だったのか。
 岐路において差し出された課題をあらためて見つめたい。そして、その課題に正面から取り組み、克服しようとしてきた人たちを探し出し、その営みに耳を傾けたい。そこにこそ、未来を切り開く鍵が隠されているはずだ。そう願って取材を始めた。」

 取り上げられた分野は多岐にわたる。
 核や自然とのかかわりから人々の生き方を見直した「第1章 問う 核と暮らし」「第2章 共に生きる 自然と命」。
 地域で生活者として自立することの意味を考えた「第3章 根を持つ 地域と自立」。
 事実を記録し表現することを語った「第4章 刻む 生と死」。この章には、当館の谷合と三池展のメンバー前川俊行さんとが、それぞれ登場する。また「映像記録作家と移民」の記事中、岡村淳監督の写真はエル・ライブラリーで撮られた。うち、谷合の記事の詳細は、2014年2月13日の当館ブログに載せています。
http://l-library.hatenablog.com/entry/20140213/1392341164

 心身の病や老いと立ち向かう人々を描いた「第5章 治す 心と体」。
 国境や民族によって分断されることなく、人間がつながる可能性を示した「第6章 越える 国境と民族」。
 科学や技術を人が生きることにつなげようとする試みを追った「第7章 研(みが)く 技術と科学」。

 「まえがき」では、「一見、それぞれが独立しているようだが、結果として一つの問題意識に収斂した。それは、『人が人として豊かに生きるとはどういうことなのか』という問いだった。換言すれば、現代の危機とは『人間性の危機』なのだ」と述べられている。
 岐路における課題を見つめ未来への鍵を探すことを願って取材を始め、「人として豊かに生きる」という問題意識に収斂する。
この構図は本書の随所にあらわれている。たとえば、第1章は、資源獲得戦争としての太平洋戦争の体験をふまえ、戦後、核燃料サイクルによるエネルギー資源問題の解決を夢み、結局、核燃サイクルの無惨な現実に直面した元科学技術事務次官への取材から始まる。次いで、野生ハチミツ生産の夢を福島原発事故によって破壊された人、組織的な嫌がらせと闘いつつ反原発を進める市民運動家たち…と、続いていく。
 第2章では、里山風景そのものでどこまでが動物園でどこからが自然丘陵なのかもわからない動物園の取材から始まって、イリオモテヤマネコの保護、コウノトリ野生復帰、捕鯨論議における「食文化論」のねつ造の暴露、市民出資を中心にした風力発電、エコタウンなどの課題にかかわる人々を取材していく。
 第3章は、鉄道産業労働組合の地域に密着した取組みに始まり、地域の風土との調和を目指す建築家、国策や口蹄疫に振り回されながらも仲間たちと連携し土地改良を続ける酪農家諫早湾干拓事業めぐるさまざまな立場の人々、吉野川住民投票の体験を踏まえ「移動スーパー」の事業に取り組む人…などなどが描かれ、琉球独立論で終わる。
 本書は、新聞記事として読むのと書籍として読むのとでは、印象が違うかもしれない。書籍化してはじめて、あるいは書籍化していっそう、あたかも群像劇のような側面が立ち現れ、「人として豊かに生きるとはどういうことか」というテーマが「結果として」浮き彫りになっていく。

 なお、本書について一度、発行直後の時期に当館ブログに載せています。(ボランティアN)
http://l-library.hatenablog.com/entry/20150911/1441971726

新着雑誌です(2017.8.24)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新号は貸出できません。

賃金事情 No2745 2017.8.5・20 (201297876)

ビジネスガイド No843 2017.9.10 (201297843)

労働経済判例速報 2316号 2017.8.20 (201297819)

労働判例 No1158 2017.8.1・15 (201297900)

労働基準広報 No1933 2017.8.21 (201297934)

労働法令通信 No2459 2017.7.28 (201297967)

労働法令通信 No2460 2017.8.8 (201297991)

労働法令通信 No2461 2017.8.18・28 (201297793)

労働法律旬報 1893号 2017.8.10 (201297827)

 

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「炭鉱の記憶と関西」展の収支と寄付者一覧

 5月5日から始まり、6月30日に終わった巡回展「炭鉱の記憶と関西 三池炭鉱閉山20年展」については、たびたびこのブログで取り上げてきました。

 今回は、エル・おおさか会場で開催した展示会とそのプレイベントについて、収支報告を行います。合わせて、寄付者のお名前を掲載いたします。

 エル・おおさかで開催した5日間の展示とその2年前から行ってきたプレイベントについては、寄付によって費用を賄いました。寄付してださった方のうち、氏名公開を承諾された方だけ掲載します。この他大勢の匿名の皆様も含め、ご厚志に改めて感謝申し上げます。

 

氏名(敬称略)
青木 恵理子
浅川 肇
東 恵子
荒木 伝
杏 さだ子
飯塚 健二
池内 靖子
池口 忠史
池田 知隆
石田 勉
伊藤 悦子
伊藤 武志
伊藤 ツヤ子
稲垣 房子
犬養 光博
井上 泰行
今村 栄一
岩下 好夫
岩本 京子
石川 孝織
上田 茂
上田 孝子
鵜飼 雅則
内田 太治
宇仁 宏幸
宇野 京子
宇野田 尚哉
Eric Seki
江口 祐二
江嵜 文寿
衛藤 社司
江頭 充子
一般社団法人大阪労働者福祉協議会
大阪の社会労働運動を伝承する同志会のメーデーを語る会参加者ご一同
大坪 正敏
大庭 伸介
織田 喬企
大島 玲子
柿山 朗
片岡 喜彦
片山 聡子
勝山 吉章
加藤 学
鎌田 慧
神代 弘子
笠原 良太
北村 千代子
木村 至聖
菊池 美幸
楠元 辰雄・貞枝
久保 在久
熊谷 博子
栗田 正雄
栗村 英昭
黒川 伊織
小園 廣美
株式会社工房レストア
古賀 崇
伍賀 偕子
小坂和子
後藤 厚
小浜 正子
古玉 浩子
佐伯 知美
坂本 聡男
佐々木 央
佐々木 勝
佐藤 和義
佐藤 忠則
酒本 美千江
嶋崎 尚子
下村 勉
新藤 慶
清水 拓
嶋崎 尚子
末田 一秀
杉本 一男
鈴木 不二一
積 勝昭
関島 秀樹
瀬戸 宏
想思社
高井良 健一
高田 和人
高田 光良
瀧口 憲一
竹中 恵美子
立石 武博
立石 俊博
立山 生一
田中 信幸
谷合 佳代子
炭鉱映画上映会会場カンパ
炭鉱の記憶と関西展来場者
玉野 和志
千本 沢子
千本 英史
千葉 武
張 龍龍
塚本 泰史
津畑 順子
津崎 さおり
寺本 和哉
殿村 元一
鳥羽 耕史
刀根 正行
中島 玲子
中谷 文美
長谷 みどり
なかまユニオン
永吉 守
中澤 秀雄
二階堂 達郎
西川 直治
西日本旅客鉄道労働組合中央本部
西牟田 真希
西村 一郎
西本 英幸
西矢 恵子
西城戸 誠
野田 仁
野中 尊立
橋本 清澄
蜂谷 紀代美
羽野 実子
濱﨑 忠勝
浜田 祥子
濱本 哲
早川 鉦二
林 啓恵
林 信男
林 啓恵
林田 吉智
原 秀志
原口 節子
畑山 直子
東川 絹子
平川 道治
平嶋 康正
平野泉・平野恵嗣
平畑 金一
広瀬 哲裕
福井 漻子
藤田 敏雄
藤田 美代子
古川 英児
古澤 博
藤田 清香
福田 珠己
法政大学大原社会問題研究所有志
本郷 隆夫
本田 逸夫
前川 武志
前川 俊行
前川 誠
増田 和生
松浦 雄介
三上 章道
三上 弘志
みつや交流亭のイベント参加者有志
港 健二郎
南 輝夫
三宅 美千子
宮本 隆史
宮脇 好光
向井 美香
宗 邦洋
森崎 東
森久 聡
安田 孝
山川 文子
山﨑 勝司
山﨑 弦一
山田 均
山口 秀樹
横川 輝雄
李 相才
龍 健三郎
若島 敏夫
脇本 ちよみ
渡辺 百合子

 その他46名の匿名の方を含め、総計2,449,494円を頂戴しました。

 

<収支報告>

エル・ライブラリーの収支のみ(関西大学での開催費は含めない)。プレ企画も含めて2015年4月~2017年7月までの集計。

収 入    税込価格
  寄附金 2,449,494
  入場料(幻灯会) 27,000
  委託料(関大シンポジウム) 40,000
     
収入計   2,516,494
     
支 出    
プレイベント企画 会場使用料(映画上映会)4回分 54,700
  DVD(上映会用) 30,000
  印刷代(ちらし) 6,780
  コピー代 400
  小計 91,880
     
図録 印刷製本費 700部 604,476
  撮影費 317,520
  原稿料 152,274
  記事利用料 7,560
  写真使用料 5,400
  小計 1,087,230
     
展示会 会場使用料 193,320
  展示製作費(人形、模型) 199,600
  展示製作費(幟、パネル等) 150,660
  展示用品(ガラスケース) 199,800
  展示用品(パネル、工具、文具等) 75,638
  イベント代(紙芝居、落語、サロン) 66,745
  画像使用料 22,274
  印刷代(ちらし、ポスター) 41,640
  資料代 5,830
  コピー代 35,000
  雑費 38,396
  小計 1,028,903
     
交通費 交通費(資料収集、展示会往復等) 216,510
     
手数料 振込手数料(寄附金など) 18,360
     
送料 送料(展示品、図録) 110,233
     
支出計   2,553,116