尹誠國著『韓国における地方分権改革の分析―弱い大統領と地域主義の政治経済学』(公人の友社、2012年)
今日の寄贈本紹介は、いつもと違って著者ご本人から紹介文をいただきました。目次は出版社のサイトから引用しました。
本書は、エル・ライブラリーで特価販売中です(定価2520円の2割引)。
◆以下、著者による自著紹介◆
本書では、1987年の民主化以降の韓国の歴代政権において、軍事政権に対する反省から、地方自治を民主主義に不可欠の手続きと捉え、地方分権改革や地方公共団体の行財政的自律性強化に向けた政策努力が大統領を中心としてなされたにもかかわらず、地方分権改革は必ずしも地方公共団体の行財政的自律性の抜本的な強化につながる形でなされていないのはなぜかを分析している。
著者は、今日の韓国は、5年単任制など制度的特徴により、大統領の力が大きく制約されており、対して国会議員の政策形成に占める影響力が強いと言う点に注目している。そして、国会議員は、韓国独特の政治状況、つまり地域主義の下、地域間対立と言う構図を巧妙に利用しつつ、利益誘導のため、法定でない国庫補助金の配分決定を握り続けようと、権限移譲と税源移譲にはあまり関心がなく、補助金の確保に熱心であると分析している。
本書は、必ずしも地方分権改革だけではなく、民主化以降の韓国政治を理解する上で、非常に示唆に富む著作である。
(尹誠國(ユン ソンクック) 大阪地方自治研究センター研究員・同志社大学嘱託講師 )
★目 次★
はしがき
第1部 本書の分析枠組み
第1節 本書の位置づけ
第2節 制度
第3節 先行研究の検討
補 論 先行研究を踏まえて第2部 地方分権改革過程の検討
第1節 民主化以前の地方自治
第2節 民主化以降の地方自治への期待
第3節 総論としての地方自治・地方分権改革
第4節 韓国の地方自治制度
第5節 地方分権改革をめぐる議論と政策展開
第6節 分析
第7節 韓国の民主主義と地域主義
第8節 相互依存モデルと地域主義結語
参考文献
索引
初出一覧
あとがき
※公人の友社サイトより http://www.koujinnotomo.com/newfile/kankoku/kankoku.html