エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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所蔵資料紹介~辻󠄀保治資料(近江絹糸紡績労働組合関係資料)

連載第3回 『熔岩』19号近江絹糸特集号ほか(彦根の詩サークル『熔岩詩人集団』)

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写真は、『熔岩』19(熔岩詩人集団,1954.6.30)の表紙絵及び挿入版画

題字:江口 峻 表紙絵:中川壽一 

『溶岩』19号(1954年6月30日)は,近江絹糸特集号である。『熔岩』同人から近江絹糸労働者に呼びかける詩のほか,「近江絹糸新組合員」の記述のある者3名5篇の詩が掲載されている。

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 また,本号には「近江絹糸の争議によせて」「熔岩詩人集団斗争日記」の記事が掲載され,「熔岩詩人集団」として近江絹糸の労働争議を支援していく態度が打ち出されている。 

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 一方で、同年10月発行の『熔岩』23号には,編集部による「近江絹糸争の批判と反省」が8頁にわたり掲載されている。本号発行前に,近江絹糸労組の大会で配布しようとした『熔岩』19号が焼却されるという事件がおこっており,関与を疑われた全繊同盟への批判が前面に出た内容となっている。

 さらに,本号には「ふんえんぐるーぷ特集」として,近江絹糸彦根工場で辻氏を中心に結 成された「噴煙」という詩グループによる『噴煙』の創刊を伝える記事とともに,10名13篇の詩 と2名2篇の手記が掲載されている。

 

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 (エル・ライブラリー特別研究員 下久保 恵子

 

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