「NPO法人働く文化ネット」が10年前から始めた「労働映画百選」という企画の集大成といえる冊子が発行されました。一つは労働映画の作品選であり、もうひとつは同NPOが発行している「通信」の合本です。簡単に内容を紹介します。
『労働映画目録海外編(1)1894~1989』
この冊子は(1)とあるように、続編が出ることが予定されています。
そもそも「労働映画百選」というプロジェクトクトの狙いはどこにあるのでしょう。
「日本では労働映画という言葉は社会告発的メッセージ映画という従来の狭い枠から抜けきれず、広く一般の人たちも含めた関心の高まりを呼び起こすまでには至っていないように思われ」たので、「「働く人たちの仕事と暮らしを描く映像作品」という広い意味で労働映画を捉え直し、その発掘・保存、定期鑑賞会などを通して、労働の過去・現在・未来について考えること」になったのです(「はじめに」より)。
そこで映像制作・研究者の清水浩之さんが依頼を受けて作成されたのが、この膨大なリストなのです。海外の労働映画データベースに登録されている作品などの中から、日本で公開されたものを中心に1037本が選ばれました。このリストはタイトル、上映時間、製作国、監督、日本公開年以外にも1行程度の簡単な内容紹介文がついています。
そしてもう一冊は月刊ミニコミ誌「労働映画百選通信」(2015年創刊)の60号までの合冊です。これを眺めているだけでも、なんだかたくさん映画を見たような気になれます。テーマごとに映画が厳選されていたり、新作の紹介やイベント紹介があったり、まったく飽きない楽しい通信です。しかも、「そういう視点でこの映画を見たら違うものが見えてくるに違いない」という気づきも与えられます。
なお、日本の労働映画目録については既に『日本労働映画の百年』が発行されており、当館も所蔵しています。
さあみなさん、このリストを手に、どんどん映画を楽しみましょう~! 死ぬまでに全部見ることを目標にこれから生きていきたい、館長谷合でした。(谷合佳代子)