エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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寄贈本紹介

人としての途を行く:回想細迫兼光

“細迫兼光(ほそさこ かねみつ)”。ぼくはこのお名前を知らなかった。読みすすんで、この人物が労農党の指導者として、戦後は社会党の領袖の一人であったことを識る。 勝手に章立てなどして失礼だが、第一章「清く烈しく」は文字どおり、“人としての途を行っ…

『新時代の「日本的経営」』オーラルヒストリー〜雇用多様化論の起源

八代充史・牛島利明・南雲智映・梅崎修・島西智輝編(慶應義塾大学出版会/2015年1月)370頁 本書は、1995年5月に発表された日経連の『新時代の「日本的経営」―挑戦すべき方向とその具体策―』作成に実際に携わった人たち5名と労働分野1名へのオーラルヒ…

『私の労働研究』

熊沢 誠(堀之内出版/2015年1月)A5判284頁 エル・ライブラリーで定価2376円を2100円(税込)で割引販売中。近々読書会も開催予定です。 労働研究の第一人者として根強いファン・読者をもつ「熊沢誠」(甲南大学名誉教授)の、半世紀にわたる研究軌跡を、…

【寄贈本紹介】『未来の図書館、はじめませんか?』

岡本 真、森 旭彦著 2014年11月 青弓社発行 B6版 194頁 今回より、また新たに寄贈本紹介コーナーを執筆してくださる方が増えました。大阪府内の公共図書館で長らく勤められた谷垣笑子さんです。早速、図書館員にもそうでない人にもお薦めの新刊書を紹介して…

『東日本大震災後の公益学と労働組合』(公益叢書第二輯)

現代公益学会編 (2014年9月/文眞堂)A6判220頁 2014年7月に創設された「現代公益学会」が編纂した第2輯である。 世紀の転換を前後する2つの大震災を機に、公益法人改革が進められ、「官による公益」から「民による公益の増進」に流れが大きく変わった…

馬場新一遺稿集&追悼集

『群雀 馬場新一遺稿集』(編集協力=竹の花文芸/2014.12.10/私家版) 『馬場新一さん追悼集』(馬場新一さんを偲ぶ会=情報労連近畿ブロック協議会・NTT労働組合関西総支部・同西本社総支部/2014.10.26/私家版) 馬場新一氏は、旧全電通労組(現NTT労組)…

『帝国に抗する社会運動 第一次日本共産党の思想と運動』

黒川 伊織(2014年11月/有志舎)A判324頁 著者は、神戸大学国際文化学研究推進センター協力研究員、桃山学院大学兼任講師で、本書は、2010年6月に神戸大学に提出された博士論文に、大幅な加筆修正がなされたものである。 まず本書の研究対象である「第一次…

『困ったときには図書館へ 〜図書館海援隊の挑戦〜』

神代 浩 著 (悠光堂2014年10月) B判207頁 図書館と言えば、“無料貸本屋”、それ以上何をするところ?というようにイメージが広がらない人が多いと思う。全国に図書館の数は、3,274館ある(2011年10月文科省調べ)。他の社会教育・文化・文化・体育施設には…

『南国港町おばちゃん信金 「支援」って何?“おまけ組”共生コミュニティの創り方』

抱腹絶倒でそのうえ勉強になる本書は、エル・ライブラリーにて定価1944円を特価1700円で販売中! 著者は、国際協力コンサルタント、コミュニティ開発専門家という肩書だが、そんないま流行りの“わかったようでわからないような”解説ではなく、まずは著者の実…

「在日」と50年代文化運動 幻の詩誌『ヂンダレ』『カリオン』を読む

『ヂンダレ』『カリオン』というのは、1950年代、大阪で詩人・金時鐘を中心に発行されていた、在日朝鮮人の詩誌である。 本書は、2009年5月24日開催のシンポジウム「いま『ヂンダレ』『カリオン』をどう読むか」(ジンダレ研究会主催 於大阪文学学校)の…

『沖縄闘争の時代 1960/70 分断を乗り越える思想と実践』

大野光明(2014年9月/人文書院)340頁 著者は1979年生まれで、現在大阪大学グローバルコラボレーションセンター特任助教。 本書は、立命館大学大学院・先端総合学術研究科に提出した博士論文『沖縄の日本「復帰」をめぐる社会運動の越境的展開―沖縄闘争と国…

『小企業・自営業がつくる未来社会―「いのち」と「くらし」のネットワーク』

編者の「一般社団法人 関西中小企業研究所」は2010年6月に設立されている。(理事長=庄谷邦幸、本書では最終章=10章執筆)。 日本の企業数の8割強を占める小規模企業の大半は、従業者が10人未満の小企業であり、その約6割が個人営業から従業者4人まで…

『徳さんの美学 関西労働運動の気風』

※本書は現在、書店で入手できません。エル・ライブラリー内で販売中。1冊2500円を特価1500円(税込送料込)にて。お申し込みはお問合せ - エル・ライブラリーからどうぞ。 まずは、徳さんとは、故山本徳二氏のことで、1927(昭和2)年12月に大阪市西淀川区に…

小栗啓豊オーラル・ヒストリー

『小栗啓豊オーラル・ヒストリー<元日本鉄鋼産業労働組合連合会中央執行副委員長>』青木浩之・高知短期大学准教授 平成25年度日本学術振興会科学研究日補助金研究成果報告書 本報告書は、日本鉄鋼産業労働組合連合会(=鉄鋼労連 現在は基幹労連の一部門)…

『時代に抗する―ある「活動者」の戦後期』 

本書は、著者=杉本昭典のインタビュー(構成=市田良彦)と解題「尼崎における日本共産党 『五〇年分裂』の展開」(黒川伊織)の2部構成になっている。 杉本昭典は、1928(昭和3)年生まれで、本年86歳。敗戦の1945年兵庫県尼崎工業学校卒業後、4月に住友…

『みつや交流亭物語』

『おもろい商店街のなかのメチャオモロイみつや交流亭物語』片寄俊秀編著(2014年6月/特定非営利活動法人みつや交流亭発行)90p,21cm とにかくおもしろい。案内人(編著者)の軽妙な筆運びで一気に読みすすみ、「行ってみたい」と誘われる本である。 <商…

『きり拓く 大賀重太郎追悼記念誌』

『きり拓く ひとびととゆめをつないだオトコのものがたり 大賀重太郎追悼記念誌』大賀重太郎追悼記念誌編集委員会(2014年1月17日 B5判219頁) 2012年7月8日に逝去された大賀重太郎氏を偲ぶ記念誌である。<障害者運動の「裏方」に徹して> 第一部には、「障…

『地下水、その噴き出ずるを願って』

『地下水、その噴き出ずるを願って ―熊本の治安維持法犠牲者、その名簿と足跡』梶原定義編 治安維持法国賠要求同盟熊本県本部, 2005 本書は、政府に治安維持法の犠牲者への謝罪と賠償を求めるための基礎資料作成の調査が、治安維持法国賠要求同盟熊本県本部…

「歴史に灯りを」

『歴史に灯りを 言ってきたこと、やってきたこと、できなかったこと』小田康徳著、阿吽社 2014 本書は、著者が2014年3月に大阪電気通信大学を定年退職された機会に、副題にあるように、「言ってきたこと、やってきたこと、できなかったこと」をまとめて上梓…

『賃金・人事制度改革の軌跡』

本書は、岩崎馨・田口和雄の2人の編者に加えて、5名の執筆者(青木宏之、鈴木誠、鬼丸朋子、木村琢磨、前浦穂高)による研究会での討議を踏まえての共著である。主要産業における詳細な事例検証を重ねて、日本の賃金・人事制度がその再編の過程で、どのよう…

『ナチスのキッチン 「食べること」の環境史』

四六判450頁の大部な大作だが、目次を紹介すれば、決してとっつきにくい専門書ではないことが、わかっていただけると思う。 本書は、第1回「河合隼雄学芸賞」の栄誉を得たのだが、その理由が「研究としての緻密さと、そこに包摂された物語性が評価され」たと…

『21世紀のグローバル・ファシズム ―侵略戦争と暗黒社会を許さないために―』

紹介するのにはやっかいな、しかし興味をそそられる本である。 まず第一に『21世紀のグローバル・ファシズム』というタイトルと−侵略戦争と暗黒社会を許さないために−との副題。出版意図や目的を何となく把えることができるし、読んでみようとの気にさせられ…

『仕事マンガ! 52作品から学ぶキャリアデザイン』

梅崎修著、ナカニシヤ出版 2011年7月 現代はキャリアデザインの時代と呼ばれている。著者によれば、それは人生の道をデザインすることである。未来が不透明であるから、未来をデザインしたいという願望が競りあがってくる。このような願望が顕在化してきたの…

『透徹した人道主義者 岡崎精郎』

吉田 文茂 著 (和田書房/2008年10月) 高知県高知市春野町秋山にある「種間寺」(四国88ヵ所第34番札所)の境内入り口にひっそりと佇んでいる「岡崎精郎先生の碑」には以下のように記されている。「1898年 秋山村に生る 1938年 高知市に没す あなたは りっ…

『日本の賃金を歴史から考える』

<2013.12.26追記:下記紹介文に対して、著者の金子さんの応答がご自身のブログに掲載されています。 「社会政策・労働問題研究の歴史分析、メモ帳横断賃率論は熊沢先生の論稿で!」> 本書の企画は、連合総研の2氏から、労働組合の若手が賃金への知識をも…

『西淀川公害の40年―維持可能な環境都市をめざして』

★地域再生学の第一級のケースブック 本書は、2012年に「西淀川公害患者と家族の会」が結成40周年を迎えて、大気汚染公害被害者運動が、「環境再生−環境の回復・保全を軸とした都市再生―のまちづくり」を提起・実践し先駆的な役割を果たした背景条件を明らか…

『塩花の木』

塩花の木 / 金鎮淑(キムジンスク) 著;襄姈( ペ・ヨンミ)美・野木(のぎ)香(かおり)・友岡(ともおか)有(ゆ)希(き)訳. 耕文社 2013年11月 309日間のクレーン籠城と「希望のバス」が切り拓いた勝利の書 エル・ライブラリー内でも絶賛割引販売中! 定価1995円→17…

『水平社宣言の熱と光』

今なお輝く格調高き「水平社宣言」。発表当時、英訳もされた「宣言」の影響を語る 水平社宣言の熱と光 / 朝治武, 守安敏司編(解放出版社)2012年 本書は、編者の朝治武(あさじ・たけし、大阪人権博物館学芸員)、守安敏司(もりやす・としじ、水平社博物館…

『大阪の近代 大都市の息づかい』

大阪の近代 : 大都市の息づかい / 大谷渡(おおや・わたる)編著(東方出版)237p 本書は、大谷渡を研究リーダーとする「関西大学大阪都市遺産研究センター」の7名による研究成果の集約であり、『大阪都市遺産研究叢書3』にあたる。 冒頭このように紹介す…

韓国における地方分権改革の分析

尹誠國著『韓国における地方分権改革の分析―弱い大統領と地域主義の政治経済学』(公人の友社、2012年) 今日の寄贈本紹介は、いつもと違って著者ご本人から紹介文をいただきました。目次は出版社のサイトから引用しました。 本書は、エル・ライブラリーで特…