エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

当館の紹介記事や資料活用の成果

 この1年間ほどの間に、いくつかの図書・論文で当館所蔵資料を活用していただいていますので、ご紹介します。また、当館スタッフが執筆したエル・ライブラリー紹介記事についてもご報告を。

(1)資料活用の成果:論文と図書

・ 長島 祐基「戦後大阪の演劇運動と労働者の主体形成 : 大阪府職演劇研究会を中心として」 同時代史学会『同時代史研究』13号所収、2020.9

・長島 祐基「総評高野時代と平和経済国民会議 : 1950年代前半期労働運動における討論の場」立命館大学『社会システム研究』41号, 2020.9 本文を読む

・沢井実著『技能形成の戦後史 : 工場と学校をむすぶもの』名古屋大学出版会 2021.9

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 上記いずれも当館のみが所蔵する貴重な一次資料(原資料)を活用して書かれた学術書(学術論文)です。長島さんには関東から当館へ足を運んでいただき、さまざまな資料を渉猟されました。

 沢井実『技能形成の戦後史』については、その初出となった論文の一つである「高度成長期の職業訓練政策:新職業訓練法(1969年)の成立をめぐって」(2020.6)のことを2020年9月のブログで簡単にご紹介しました。労作『現代大阪経済史』(2019.9)から2年でまたしてもこのような単著を上梓された沢井実先生のご努力に畏怖の念を抱きます。

(2)当館が紹介されている図書・論文

・梅崎修, 池田心豪, 藤本真編著『労働・職場調査ガイドブック : 多様な手法で探索する働く人たちの世界』中央経済社 , 中央経済グループパブリッシング (発売) 2020.1

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 本書は文字通り、「労働調査のための手法とツール」を紹介するガイドブックです。働くことをテーマに学習・研究したい読者のために、インタビュー、アクションリサーチ、心理統計、パネル調査など質的・量的両方の多様な手法を紹介しています。その中の、どうやって資料を集めるのかという第3部「調査の道具を身につける」で労働専門図書館として3館紹介されている中に当館の名前もあります。

・廣田義人「特許情報から見た技術者の「国際的」移動 : 日本企業からサムスンへ」『大阪市立大学経済学会經濟學雜誌 = Journal of economics』121巻2号, 2021.3 (坂上茂樹教授・福原宏幸教授・森誠教授退任記念号)  本文を読む

 廣田論文の冒頭に、当法人が編纂を続けている『大阪社会労働運動史』に言及していただいております。廣田義人先生は『大阪社会労働運動史』10巻の編集委員であり、執筆者のおひとりでもあります。本論文がその執筆にもかかわる研究として上梓されたことがとても嬉しく、ありがたいことです。

(3)館長・谷合佳代子が執筆した当館の紹介

・「市民とともに支えあう図書館、エル・ライブラリーの炭鉱展 私のいちばん長い日第39回」大阪ボランティア協会『ウォロ』534号, 2020.12

・「歴史の眼 社会運動史料の宝庫 : 市民が支えるエル・ライブラリー」『歴史評論』849号, 2021.1

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 大阪ボランティア協会の機関誌に書いた「私のいちばん長い日」はリレー連載のコラムです。39回目にお鉢が回ってまいりました。ありがたく書かせていただきました。エル・ライブラリーを運営してきた10年以上でいつがいちばん印象に残っているか、という編集者からの質問に答える形で執筆いたしました。

 二つ目の『歴史評論』は研究者向けの学術誌なので、当館が所蔵する一次資料群のリストをつけて、どんな資料を利用してもらえるかを紹介することに心を砕きました。

 

 以上、寄贈していただいてから1年以上経ってしまったりして、掲載が遅れたものがありますことをお詫びいたします。(谷合)