エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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大牟田市立図書館と三池カルタ館の見学記

 6月3日(土)から開催中の福岡県大牟田市石炭産業科学館の展示「社宅のくらしと紙芝居」については、すでにお知らせしました。当館の谷合がオープニング・イベントに参加するため、6月3日に大牟田に参りまして、午後からの紙芝居の上演や講演などを見学してきました。遅くなりましたが、その報告を。

 大入り満員の会場では、懐かしい紙芝居に触れて、炭鉱まちの社宅文化の一端を垣間見ることができました。これも貴重な地域資料であることを実感した次第です。紙芝居についても研究が進んでいることを知り、門外漢ながら資料の世界の奥深さに感嘆したものです。

大牟田市石炭産業科学館での紙芝居上演

 それに先立ち、6月3日午前中は大牟田市立図書館に表敬訪問しました。乾達(いぬい たつし)館長、山田元樹館長補佐、芝田尚哉郷土資料ご担当に図書館を案内していただき、その後は同じ建物内に隣接する三池カルタ・歴史資料館に伺いました。

大牟田市立図書館の閲覧室

 図書館では、デジタルアーカイブの話題についていろいろとご苦労談をお聞きし、デジタルアーカイブの課題と言われる「金と人」がここでもやはり大きな課題となっていることを痛感させられました。維持するだけでも予算がかかる上に、コンテンツを追加しようとするとさらにその金額並びにサーバー維持代金が増加するという悩ましい問題が。

 大牟田市立図書館では、2021年10月に「大牟田市三池炭鉱歴史資料デジタルアーカイブ」を公開されています(既報)。このデジタルアーカイブは、アーカイブズ学の最新の知見に基づく研究成果の賜物であり、これまで利用が難しかった貴重な資料群が大量に電子化されています。今後はこの利用が進み、いっそう活用されることをわたしも願っています。

大牟田市石炭産業科学館で開催中の「社宅のくらしと紙芝居」関連資料を展示

 館内では至るところにさまざまな図書館展示が行われていて、とても情報が多いです。郷土資料のコーナーには貴重な資料も配架されていますが、より貴重な資料については書庫内にあるということです。

「図書館 de ボードゲーム」という楽しい特集展示

 学校連携にも腐心されている様子がわかります。市内の小中高校に配布する「学校セット」もすでに何組か事務室内に常備されていました。セット内容についてはwebサイトで公開されています。

 また、館内展示と案内で知ったのですが、最近、大牟田市動物園の中に絵本美術館が開設されたとのこと。いってみたいミュージアムが一つ増えました。

 大牟田市立図書館ではたっぷりお話を伺い、館内も案内していただきましたが、たくさん撮影してきた写真をすべて紹介することができないのは残念です。

 続いては、図書館に隣接する通称「カルタ館」へ。アポなしだったにもかかわらず、梶原伸介館長が快く迎えてくださいました。企画展示は「戦国武将歌留多展」でした(6月25日で終了)。これほど多くの武将カルタが古今東西で作られていたとは! 驚きの展示でした。そしてミニ展示されていた「震災・防災カルタ特集」に心惹かれたので、許可を得て遠景撮影しました。個別のカルタは撮影していませんが、全体像をチラ見してください。カルタを使って子どもたちに防災の心得を教えるという知恵に感心しました。

大牟田市立三池カルタ・歴史資料館の「関東大震災から100年 震災・防災カルタ特集」

 このカルタ館はカルタだけではなく、考古学資料もたくさん収蔵されています。常設展示されている土器や武具やさまざまな資料も見どころのひとつです。また、カルタだけではなく、最近のカードゲームも多数取り揃えられています。こういう遊びはデジタル時代でもすたれることがないのだなあと感慨深いものがありました。

 あわただしい大牟田行でしたが、午後からの石炭館でのイベントに参加し、「三川坑炭塵爆発事故慰霊碑」にもお参りして、大牟田の人々に温かく歓迎していただいたことが心に残るひと時でした。

 石炭館での展示は7月9日(日)まで開催。(谷合佳代子)