エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

大阪社会運動物故者顕彰・追悼式と大阪社会運動顕彰碑除幕式

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第51回大阪社会運動物故者顕彰・追悼式

2020年10月18日(日)、第51回大阪社会運動物故者顕彰・追悼式を挙行しました。今年の新顕彰者は19名、これまでの顕彰者と合わせて2020年10月現在1791名が顕彰されています。

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第51回大阪社会運動物故者顕彰・追悼式

新型コロナウイルス感染症対策で今年の式典は式典委員の一部と新顕彰者の関係者のみが参列しました。

 

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顕彰碑除幕式


続けて、大阪社会運動顕彰塔において顕彰碑除幕式を行いました。老朽化した顕彰塔の上屋を撤去し、新たに顕彰碑を設置しました。

 

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顕彰碑


「自由」「解放」「平和」を表す3本の柱が輝く未来を示す球体を掲げています。

 
顕彰塔改修、顕彰碑建立にあたって多くの団体と個人のご協力を賜りました。心より感謝申し上げます。

 

追記:「大阪日日新聞」2020年10月19日付に記事が掲載されました。

www.nnn.co.jp

当館研究員編著「社会運動史研究のメタヒストリー」

 法政大学大原社会問題研究所の歴史ある学術誌『大原社会問題研究所雑誌』の2020年7月号に当館特別研究員・黒川伊織の責任編集による特集記事が掲載されています。

 全文pdfで読めます。

大原社会問題研究所雑誌 詳細ページ |

 当法人が40年にわたって編纂を続けている『大阪社会労働運動史』の監修者であった渡部徹先生を始め、多くの歴史家がその研究にどんな政治的バイアスをかけていたのかを鋭く問う特集です。本号の表紙書影と特集記事の目次は以下の通りです。

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大原社会問題研究所雑誌 741号 2020年7月号
【特集】社会運動史研究のメタヒストリー
特集にあたって――社会運動/社会運動史研究の120年  黒川伊織
社会主義運動史研究会から運動史研究会へ――伊藤晃氏インタビュー
渡部徹の歴史学――関西・社会運動史研究史序説  黒川伊織
転向に生きる苦悩――小林杜人の転向論に焦点をあてて  福家崇洋

  「特集にあたって」で、そのねらいを黒川は次のように述べています。

ある社会運動の正史が書かれたら,そのなかで周縁化された人びとによって対抗的な歴史が書かれるのは,自然なことである。この場合,問題なのは,どちらが客観的に正しいかでは必ずしもない。運動史叙述の言説空間の力学も,運動の空間の力学の一部をなしているのであり,その力の働き方を微視的に分析するとともに,その総体を巨視的に捉えることが必要なのである。「社会運動史研究のメタヒストリー」とは,運動史を書くという営みを当該期の運動の空間のうちに差し戻しつつ,その営みを含む運動の歴史を叙述しようとする試みである。当然のことながら,そのような叙述をしようとする書き手自身の立場性も,厳しく問われてくることになるはずである。

  今までありそうでなかった、歴史研究者の立場性について問うという「研究の研究」は書誌学やレビュー論文とはまた異なり、歴史学社会学に特有の「政治力学」に焦点が当てられています。また、本特集が歴史学者から社会科学者への問いかけであるという位置づけはスリリングなものです。ぜひ特集をご覧ください。(谷合佳代子)

新着雑誌です(2020.10.20)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

ビジネスガイド No894 2020.11.10 (201384450)

月刊人事マネジメント 358号 2020.10.5 (201384526)

労働経済判例速報 2423号 2020.10.10 (201384591)

労働経済判例速報 2421号 2020.9.20 (201384542)

労働基準広報 No2042 2020.10.1 (201384609)

労働基準広報 No2043 2020.10.11 (201384633)

労働基準広報 No2044 2020.10.21 (201384435)

月刊人事労務 378号 2020.7.25 (201384427)

月刊人事労務 380号 2020.9.25 (201384484)

賃金と社会保障 1762 2020.9.25 (201384575)

賃金と社会保障 1763 2020.10.10 (201384492)

地域と労働運動 241 2020.9.25 (201384518)

労働情報 No997・8 2020.9.1 (201384468)

 

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新着雑誌です(2020.10.13)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4000号 2020.9.25 (201384625)

労政時報 4001号 2020.10.9 (201384567)

労務事情 No1412 2020.10.1 (201384401)

企業と人材 No1092 2020.10.5 (201384419)

人事実務 No1213 2020.10.1 (201384443)

労働判例 No1225 2020.10.1 (201384476)

労働法学研究会報 No2726 2020.10.1 (201384500)

労働経済判例速報 2422号 2020.9.30 (201384534)

 

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『戦中・戦後の経験と戦後思想 1930-1960年代』

北河賢三・黒川みどり編著(現代史料出版/2020/A5判286頁)

書影は現代史料出版のWEBサイトより。
http://business3.plala.or.jp/gendaisi/xml_files/4-sengosiso.xml
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  本書は、「日本現代思想史研究会」のメンバーが、戦後知識人の思想を中心とする戦後思想史および戦争体験論を共通テーマに、北河賢三と黒川みどりの編者をはじめ8名が執筆している。

 目次は以下の通りである。

 Ⅰ 知識人の戦争責任論             上田美和

 Ⅱ 『婦人民主新聞』に見る戦争観と戦争体験記  井上裕子

 Ⅲ 市民の哲学者・久野収の成り立ち       北河賢三

 Ⅳ 松田道雄における市民主義の成立       和田 悠

 Ⅴ 日高六郎の学校教育をめぐる思想と運動    宮下祥子

 Ⅵ 「部落共同体」との対峙           黒川みどり

 Ⅶ 「構造改革」論の成立に関する覚書      高岡裕之

 Ⅷ 山形県における国民教育運動の展開      高木重治

 

 安倍能成松田道雄久野収丸山眞男日高六郎ら「リベラル派知識人」の戦時・戦後の経験と思想との関係を究明し、時代と社会に向き合った知識人の学問と思想の意義を明らかにしている。「戦後史、戦後思想史において、これらリベラル派知識人の果たした役割は大きかった」と評している。とくに、冷戦が激化するなかで多くの知識人が参加した「平和問題談話会」において彼らは「知識人の独立性」を重視していた。

 いま菅首相が、学者の国会と言われる「日本学術会議」の新会員任命から6名(安保法制や共謀罪などに反対表明した)を除外して、学問の自由や政権からの独立性が大きく揺らいでいる事態のなかで、本書の意義は極めて大きいと言える。

 本書のタイトルにおける「戦中の経験」は、戦争とファシズム下の抑圧の時代を生きた人びとの諸々の経験をも視野に入れて、とくに日中全面戦争以降の戦時下の経験を指している。Ⅰ>の論考では、その時代を生き抜いた知識人が「戦争責任」をどのように論じたのか、より正確に言うと、「知識人たちはそれぞれどのように戦争責任を引き受けたのか」を追跡し、戦後当初は「当事者として引き受けたとはいい難かった」、しかし1950年代後半から60年代、安保闘争ベトナム戦争への関わりを通して、「当事者意識」は生成されたと分析しているのは興味深い。

 これらのリベラル派知識人は、マルクス主義の影響を深く受けているが、戦後の一時期までの松田を除くと、マルクス主義者との自己意識はない。

 一方マルクス主義的知識人については、Ⅶ>の論考で、「構造改革派」の代表的論客として佐藤昇を中心に、「構造改革」論の思想史的意義を論じている。「ブルジョア民主主義や議会制度のもつ積極的側面に対する過小評価」のスターリン主義を克服し、日本の革新運動を発達した「現代資本主義」社会に対する運動へと「現代化」することを課題としたと。

 本書は、知識人の役割の追跡に終始しているのではなく、Ⅳ>の論考において、松田道雄が、知識人にとっての「他者」である「市民」と「市民運動」の発見によって自己を問い直すことになった過程を、彼の「ベ平連」論や「小田実」論の展開を通して論じている。

― 高度成長による社会の大衆化・平準化のなかで社会を変革しようとする「知識人」に求められるのは、「人民」を指導し、マルクス主義の革命理論によって民衆を組織化することではない ― 「人民」と目線を合わせつつ、目を凝らせば浮かび上がってくる「知識人」と「人民」の間にある社会的文化的断層を無視せずに、しかしあくまでも社会を変革していくための「連帯」=「市民運動」を構築していくことにある ― と。

 ここに列挙した知識人だけでなく、数多くの「進歩的知識人」の研究と思想が、丁寧な<注>のもとに論述されていて、非常に学びの多い書である。

 <注>の丁寧さで言えば、いささか手前味噌になるが、Ⅲの論考において、久野収が戦後すぐに、大阪の労働・市民講座で頻繁に講演したことの記録が、エル・ライブラリーの谷合館長らの教示によることと、その出典である「松本員枝の聞き書き」が注記されていることは、それを編纂した者として嬉しく、特筆しておきたい。(伍賀 偕子<ごか・ともこ> 元「関西女の労働問題研究会」代表)

当館の紹介記事や資料活用の成果

 この1年間ほど、当館について紹介・言及していただける機会が増えています。大きくは下記2種類です。さらに(2)は2つに分類できます。

(1)当館スタッフが執筆したもの
(2)外部の方が執筆したもの
  ・見学記
 ・資料活用の成果

 

 では、それぞれについて簡単に紹介します。

(1)館長・谷合佳代子が執筆

「エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)  働く人々を支え,記録と記憶を未来へつなぐ」(特集 専門図書館を利用する : 図書館のちから(2))

『労働の科学』74(8), p.478-483, 2019-08 労働科学研究所

 こちらは一年前の記事ではありますが、労働科学研究の歴史と伝統を誇る労働科学研究所の機関誌の「図書館のちから」という特集記事の中に館長谷合が書いた記事を掲載していただきました。

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 (2)外部の方が執筆したもの:見学記

 日本労働ペンクラブ関西支部支部通信』第27号 2019.8.30

 森田定和さんが書かれた、エル・ライブラリーと中之島史跡めぐりの報告が写真満載で掲載されています。 会員向けのニュースレターなのでなかなか一般の方の目に触れることは少ないのですが、当館内で閲覧していただけますし、記事の複写郵送も可能です。

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支部通信の表紙写真は大阪市中央公会堂中之島公会堂

(2)外部の方が執筆したもの:資料活用の成果など

 さらに今年になって、当館の機能や資料の活用成果として雑誌記事・論文が2本発表されています。 
  一つ目は『空襲通信』第22号(2020/08/12 空襲・戦災を記録する会全国連絡会議) に掲載された、横山 篤夫「「大阪大空襲の体験を語る会」の49年」(特集:空襲・戦災を記録する活動の50年)  です。本稿では戦争被害者たちの語り部運動の歴史と、残された体験記などの資料の行方について書かれています。市民運動団体の担い手が高齢化して資料を保存しきれなくなったり廃棄されてしまう状況が述べられており、貴重な資料がどれだけ失われたのかと思うと言葉を失います。

 そんな状況でも、民間団体「15年戦争研究会」の有志が新たに「空襲資料研究会」を立ち上げ、残された資料を当館に寄託されて書誌解題を作成する研究を続けておられることが綴られています。研究の場としても当館を活用してもらえるのは、図書館員としてありがたくうれしいことです。

 二つ目は、沢井実「高度成長期の職業訓練政策:新職業訓練法(1969年)の成立をめぐって」(南山大学紀要『アカデミア; 社会学編』第19号(2020.6)です。1969年に成立した職業訓練法の制定にあたっては経営者団体労働組合が積極的に関与したことが資料から裏付けられています。特に労組側の一次資料の多くが当館所蔵資料から引用されています。本稿は日本近代教育史の一側面としても大変興味深く読むことができる論文で、このような研究に当館資料が活用されたことはアーキビストの喜びとするところです。(谷合佳代子)

新着雑誌です(2020.9.29)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労働法学研究会報 No2725 2020.9.15 (201384229)

賃金と社会保障 1759・1760号 2020.8.25 (201384252)

賃金と社会保障 1761号 2020.9.10 (201384286)

労働基準広報 No2040 2020.9.11 (201384310)

労働基準広報 No2041 2020.9.21 (201384344)

月刊人事労務 379号 2020.8.25 (201384377)

 

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