エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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第52回大阪社会運動物故者顕彰・追悼式を行いました

2021年10月17日(日)に第52回大阪社会運動物故者顕彰・追悼式を大阪城ホールコンベンションホールにて挙行しました。

 

新型コロナウイルス感染症対策として昨年に引き続き参加人数を制限し、式典委員・新顕彰者関係者50名が参列しての開催となりました。

 

本年の新たな顕彰者は9名、これまでの顕彰者と合わせて1800名を顕彰しています。

 

式典の後、大阪社会運動顕彰塔に移動し、顕彰碑に名簿をお納めしました。

 

今年の顕彰・追悼式の動画をyoutubeにアップしました。

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所蔵資料紹介~辻󠄀保治資料(近江絹糸紡績労働組合関係資料)

連載第19回 職場新聞(12)『ぼこぼこ』その1 

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『ぼこぼこ』創刊号1面

 『ぼこぼこ』は、綿・スフ紡績精紡職場の職場新聞で、1956年7月に創刊され、辻資料には、創刊号から10号までが収められている(9号欠号)。

 精紡は綿・スフ紡績で前工程で製造された粗紡糸を精紡機にかけ、完成品の糸にする工程で、仕上職場と並び、人数の多い職場であった。当時、彦根工場の設備は、精紡機148台、65,184錘となっている(注1)。

 使用されていたのはリング精紡機で、粗紡糸を巻いた篠巻を上部の心棒に差し、引き出した粗紡糸をいくつかのローラーを通して延展し、回転する錘(スピンドル)に撚りをかけて巻き取る構造となっている。

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精紡機(朝倉克己氏提供,近江絹糸彦根工場,1955~1957年頃)

 労働者の主力は、二交替勤務で機械を運転する女性労働者で、他に深夜番と保全等を行う日勤者があった。仕事の担当は、「台付」「玉揚」「運搬」「保全」に分かれていた。台付の主な仕事は、糸継と篠替(注2)で、その日の受持ち台が決められた。糸が絡んで毛羽がくっつき、木管に巻きつかずに糸切れする状態を「ぼこぼこ」と呼び、担当台を廻っては、カマで絡んでいる綿を取り去り、糸をつなぎ直した。粗紡糸の巻かれた篠巻が空になると、新しい篠巻と替え、糸を継いだ。「玉揚」はスピンドルに巻き取った完成品の管糸を抜き、新しい空木管を差す。さらに台付とともに、新しい管糸に糸が巻き取られるよう糸継ぎをした。運搬担当は完成品の管糸を次工程の仕上に運ぶ。

 1956年12月、台付の受持台数を3台から4台半~5台半にすることが会社から組合に申し入れられ、職場は騒然となった。

デタラメや 便所にもゆけへん

(私)たちは、今迄台数増加の件でとても、もめている。今まで三台でもやっとだのに、四台半から五台半にすると云う。それも糸つぎ5秒、篠替え25秒、ラベットふき30秒こんなデタラメなデータを会社は出してきた。たゞ糸をつなぐだけならよいけれど、カラミとらねばならないし、糸だって一回でサットつなげるわけではない。篠巻だって途中で切れたり、また木管が落ちてきれたりする。(後略)」

『みんなでよもう人繊精紡 第2号(1)特報!!』(1956.12.29)より

組合は、技術の向上、機械の改善後に話し合いに応ずるとして受け入れなかったが、現場では、職制から個別で実態化が図られた。

責任をもつ、と腕のばした係長!!

  台持ちをのばさないで私たちスフがとてもきれるのに三台の所を三台半持ってくれと云って来た。持てないと云ったら私が責任持つからと係長は云ったのでこの日は篠巻は、かわるし糸は切れるのに持った。この日は便所にも行けず台掃除一回やっとしただけであった、係長さん人のいない時で台を止めてほしいと思う。私たちは機械ではないから東レのまねなんかさせないでくれ、手はふしだらけで、ぶさいくの手であるから嫁のもらいてがない。」

『ぼこぼこ』6号1面(1957.2.1)より

 この申入れ以前にも、暑さによる欠勤で出勤者の持台数を増やされる等の記事が多く、製品として出来高を問われる工程であった精紡で労働強化が進められていたことが分かる。

 

(注1)『人よこせ斗争の討議のために』(1957年1月25日)による。

(注2)台付の担当する仕事及び篠替についての記述は、『綿紡績作業基準』精紡科運転保全作業基準 十~十一頁 第六章台持方担任仕事 による。なお、篠替については、『ぼこぼこ』中に篠替専門班があったという記事もある。

(下久保恵子 エル・ライブラリー特別研究員)

 

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新着雑誌です(2021.11.10)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4024号 2021.11.12 (201414489)

労務事情 No1436 2021.11.1 (201414562)

賃金事情 No2836 2021.11.5 (201412525)

人事実務 No1226 2021.11.1 (201414448)

企業と人材 No1105 2021.11.5 (201414471)

労働経済判例速報 2459号 2021.10.30 (201414505)

労働判例 No1249 2021.11.1 (201414414)

労働法学研究会報 No2751 2021.10.15 (201414620)

労働法学研究会報 No2751 2021.10.15 (201414422)

地域と労働運動 253 2021.9.25 (201412491)

労働基準広報 No2080 2021.11.1 (201414596)

月刊人事労務 393号 2021.10.25 (201414539)

賃金と社会保障 1786号 2021.9.25 (201414455)

 

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新大牟田市史 三池炭鉱近現代史編

 1997年に閉山した三池炭鉱の町として有名な福岡県大牟田市から写真のような立派な「市史」が届きました。現代史編だけで2分冊、大変な重量があります。なぜこれが当館に寄贈されたのかと言えば、この別冊である『三池炭鉱近現代史編』に当館館長・谷合佳代子がコラム「関西におけるCO闘争支援―小城羊羹のことなど」を寄稿しているからです。

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新大牟田市史


 当館は市民協働の力で2017年に「炭鉱の記憶と関西」という展示会を関西大学博物館と共に開催しました。その展示の準備段階から大牟田市史編さん室の山田元樹室長(2021年4月より世界遺産文化財室に異動)や、大牟田市石炭産業科学館、大牟田市立図書館、NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブなど、地元の皆様には大変お世話になりました。

 そして今般は大牟田市の市制100周年を記念してこのように立派な大牟田市史が上梓され、その執筆者の末席に谷合が名を連ねることができたのは大変な栄誉と、恐縮しています。現代史編の内容は概ね1964年以降の50年間が叙述されています。三池炭鉱近現代史編は明治時代以降、閉山に至るまでの120年以上の歴史が綴られています。戦前戦中までで850頁を超えてしまった本書は、戦後編はDVDに収録するという編成になっています。

 本書で使われた資料などを基に、大牟田市では2021年10月1日、「三池炭鉱歴史資料デジタルアーカイブ」を公開されました。これを記念する講座が10月31日に開かれ、当館のボランティア司書も大牟田現地に出かけて受講しました。そのときの講座の映像が公開されていますので、リンクを張って紹介します↓。

映像は3つに分かれています。地域資料構築への熱意が伝わるよい講座でした。ぜひご覧ください。

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専門図書館交流会の参加記

 10月18日(月)にオンラインにて専門図書館協議会主催の「公開専門図書協議会」に参加しましたので、概要を報告します。

 これまで、この種の交流会は東西(東京・大阪)で年に1~2回ほど定期的に対面形式で開催されていました。しかし、新型コロナの影響もあって休止状態でしたが、オンライン形式で12名が参加されました。

 話題の中心はコロナ感染対策や図書サービスの改善、所蔵図書・資料の検索方法の模索など、限られた時間に話題提供は多岐にわたりました。上部機関から図書館の運営について、縮小見直しの示唆をうけている図書館もあり、打開方法の意見もかわされました。当館の研究者との「協働」活動について、「研究者にいかにアプローチするか」という質問がありましたので、「researchmap」や「KAKEN」の研究者検索を活用すればよいのでは、と回答したり、終了後も情報交換を行いました。

 専門図書館のコロナの時代のそれぞれの対応が感じられた交流会でした。(ボランティア司書・森井雅人)

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交流会イベントのお知らせが掲載されている専門図書館協議会のWEBサイト

11/4 オンライン講演「減災のいま」

 2011年の東日本大震災発生以来、当館スタッフは図書館・博物館・文書館・公民館などの震災復興支援のネットワークボランティア「saveMLAK」のメンバーとして活動を続けてきました。

 saveMLAKでは、東日本大震災だけではなく、その後も続く水害・震災等で被災した文化施設の復興のための情報支援を続けています。また、主に図書館を対象とした実践的な訓練「saveMLAKメソッド」も開発しています。

 そのメソッドの訓練会場として、これまで当エル・ライブラリ―は2度、活用してもらっています。そのうちの1回については訓練の様子を録画し、広報動画をYouTubeで発信しています。

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エル・ライブラリ―内でsaveMLAKメソッドの訓練中(2013年)

 そのメソッド開発のアドバイザーが、「一般社団法人減災ラボ」代表理事の鈴木光氏です。saveMLAKでは今年の図書館総合展がオンライン開催となったため、鈴木光氏の講演をZoomで行います。
 「これまでのMLAKメソッドの経緯、歴史。くわえて、10年経ってのアップデート」をお話していただきます。
 当日はUDトークを使っての字幕表示や、イベント参加者有志によるリアルタイム字幕修正も行う予定です。図書館関係者もそうでない方も、ぜひご参加ください! ふつうの事務所の防災訓練にもきっとお役立ちの情報がいっぱいです。

◆2021年11月4日木曜日 19:00〜20:30
- 事前申し込み不要
- 参加費:無料
- UDトーク・リアルタイム字幕修正のやり方紹介(3分程度)
- 講演:「減災のいま」鈴木光(一般社団法人減災ラボ 代表理事)(60分)
- 質疑・トーク(25分程度)

Zoom情報など詳細:https://savemlak.jp/wiki/saveMLAK:Event/LibraryFair2021

新着雑誌です(2021.10.25)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4023号 2021.10.22 (201412368)

ビジネスガイド No910 2021.11.10 (201412384)

労働経済判例速報 2457号 2021.10.10 (201412350)

労働基準広報 No2079 2021.10.21 (201412426)

月刊人事労務 392号 2021.9.25 (201412418)

地域と労働運動 251 2021.7.25 (201412442)

賃金と社会保障 1788号 2021.10.25(201412392)

企業実務 No847 2021.9.25 (201412459)

企業実務 No848 2021.10.20 (201412483)

 

詳細な目次はこちら

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