エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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新着雑誌です(2022.1.20)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

賃金事情 No2840 2022.1.5・20 (201415494)

労務事情 No1440 2022.1.15 (201415528)

ビジネスガイド No914 2022.2.10 (201415585)

労働経済判例速報 2453号 2021.8.30 (201415437)

労働経済判例速報 2465号 2022.1.10 (201415460)

労働判例 No1253 2022.1.1・5 (201415551)

 

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『津村明子さんとのお別れ会』

『津村明子さんとのお別れ会』~ 女性の力を示す先駆的役割

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 津村明子さんが、コロナ危機のために、2021年4月17日に逝去された。享年86歳。敬愛する先輩をコロナによる大阪の医療崩壊のなかで失ったことは痛苦の念に堪えない。

やっと入院出来て5日後の逝去。ご家族もお骨になってからの対面だった。

 ようやく2021年12月19日に、ご縁を結んだ人たち50余名による「お別れ会」が催されて、ご行跡をたたえる栞が発行された。

 また、その2カ月ほど前の「第52回大阪社会運動物故者顕彰・追悼式」において、9名の方々とともに、津村明子さんが顕彰された。(第1回~第52回顕彰者1800名)

 以下、「お別れ会」の栞と顕彰追悼式の冊子をもとに、その先駆的なご行跡をたどる。

☆1935(S10)年1月1日に大阪市で誕生。1959(S34)年京都大学文学部卒業後、大阪放送局NHKに入局。

NHKで、ディレクターとして教育番組を制作しつつ、日放労関西支部婦人部長を経て、大阪総評婦人協議長を1977年より11年間務めた。「国連婦人の十年」の大阪における幅広い女性運動の共同行動の場で中心的な役割を果たした。とりわけ、1985年の均等法制定時までの、「労基法改悪阻止、男女雇用平等法制定」をめざす特色ある大阪総評女性運動において指導性を発揮した。

NHKを退職して、大阪府庁に入局し、婦人会館館長や生活文化部長、府立女性総合センター(ドーンセンター)初代館長を務めて、女性幹部の草分けとなった。

☆府庁定年退職後は、大阪府生活協同組合において、初の女性会長を13年務めて、生協活動の幅と影響力を大きく広げた。

☆1993年には、「高齢社会をよくする女性の会・大阪」を立ち上げ、初代代表に。

また2005年には、「おおさか女性9条の会」などの共同戦線でも、呼びかけ人としての存在感を示した。

☆「働く女性の人権センター いこ☆る」の2004年の発足時から、2015年まで12年間

代表を務め、既存の労働組合運動でフォロー出来ない未組織の女性たちの人権を守る運動を、物心両面から担った。

 その生涯は、広く社会労働運動において、女性の力を示す先駆的役割を果たした。そして、津村さんの情熱と行動力と独特の笑顔に魅かれて、多くの仲間が繋がった。12月19日の「お別れ会」は、その広く豊かなネットワークに包まれた集いだった。

 数々のご行跡は、枚挙しきれないが、私の記憶に残っている、津村語録を少しだけ。

「お酒は誰にも負けたことがない」/「しんどい」と聞いたことがなく、「どうしてそんなにお元気なの?」「生理休暇をきちんととったから」とさらりと答えられたこと。                         (伍賀 偕子 ごか ともこ)

<津村明子の主な著書・論文>   

 ☆大阪総評婦人協の各年議案書作成

 ☆1978年 女子保護廃止の「労基研報告」に対する反論 

朝日新聞」の「論壇」(78.12. 2)西日本版に続いて全国版に

⇒津村さん率いる大阪総評女性運動が注目されていたことを示す。

 ☆1985年 『女性ディレクターの現場』(講談社)共著

 ☆1991年 『ゼミナール女の労働』(竹中恵美子監修/ドメス出版)第4章

 ☆1994年 『労働力の女性化』(竹中恵美子・久場嬉子編/有斐閣)第6章

 ☆1999年 『大阪 おんなの酒場―女性に人気の酒処 100選』(津村明子編/風媒社)

 ☆『いこ☆る』誌 巻頭言10年間執筆                           

新着雑誌です(2022.1.11)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

人事実務 No1228 2022.1.1 (201415213)

企業と人材 No1107 2022.1.5 (201415189)

労働経済判例速報 2464号 2021.12.20・30 (201415155)

労働基準広報 No2083 2021.12.1 (201415358)

労働基準広報 No2085 2021.12.21 (201415361)

労働基準広報 No2086 2022.1.1・11 (201415379)

労働法学研究会報 No2755 2021.12.15 (201415270)

労働法学研究会報 No2756 2022.1.1 (201415304)

季刊労働法 275号 2021.12.15 (201415403)

地域と労働運動 256 2021.12.25 (201415353)

月刊人事労務 No395 2021.12.25 (201415247)

 

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『技能形成の戦後史 工場と学校をむすぶもの』

沢井 実著(名古屋大学出版会/2021年9月/A5判 258頁)

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 本書は、高度成長期における職業教育・職業訓練の変遷、およびそれを支えた教育・訓練思想の検討を通じて、技能形成の戦後史をたどったものである。

 高度成長期の高校進学率の急速な上昇により、従来の中卒者=現業員、高卒者=職員・技術者候補といった学歴にもとづく伝統的な従業員区分は存続できなくなり、高卒現業員が大量に出現することになった。この大きな社会変動のなかで、多能工およびそれを支える「教養」はどのような帰趨をたどったのか、本書は、職業教育、職業訓練を支えた「教養」の役割とその変容に注目しつつ、高度成長期の技能形成の特質を考察している。

 構成は以下の通りである。

序 章 技能形成の両輪―職業訓練と職業教育

第1章 中教審による職業教育再編の模索―高校進学率上昇の衝撃

第2章 職業訓練政策をめぐる力学―新職業訓練法の成立まで

第3章 高度成長と企業内養成教育の変容―富士製鉄の事例を中心に

第4章 中小零細企業での技能形成―事業内共同職業訓練と「職人」たち

第5章 高卒技能者時代の到来―学歴・職業関係の変容とその影響

第6章 変わりゆく工業高等学校―卒業生の軌跡と直面する諸問題

第7章 公共職業訓練の変遷と苦闘―高校進学率上昇への対応

第8章 各種学校の量的拡大と発展―もうひとつの学校における実務能力・技能の養成

終 章 高校進学率の上昇と技能形成の変貌

 本書の帯でアピールしているキャッチフレーズは、~「役に立つ」「即戦力」への歴史的問い直し~となっている。本編での「技能形成」過程の分析と考察は、企業内養成施設、公共職業訓練所、工業高校、各種学校などの変遷を貴重な史料の発掘とともに、極めて具体的にたどっている。企業内事例では、富士製鉄をはじめとする大手企業にとどまらず、中小企業や零細工場での変遷が展開され、職業訓練と職業教育を受ける主体である卒業生の軌跡についても、興味深い調査や統計事例の分析と検証がなされている。

 教育・訓練の現場である「学校」と「工場」をむすぶ拠り所となる法制度のしくみ構築についての経済界・労働界の働きかけが第2章で検証されていて、労働側、当時のナショナルセンターである「総評」「大阪総評」の取組みが、わがエル・ライブラリーにしか保存されてない史料にもとづいて考察されていることを特記しておきたい。

 第2章では、1958年に制定された職業訓練法(=職業安定法に規定された職業補導と労基法に規定された技能者養成を一本化した職業訓練行政上画期的な法)から1969年に全面改正された新職業訓練法成立までの過程で、経済界、労働界双方の要請や公聴会での陳述が紹介されている。1967年10月の中央職業訓練審議会の公聴会への対応として、総評が「職業訓練問題について」という文書を傘下組織内に送付している。その内容は、従来からの「権利としての職業訓練」という基本的態度を踏まえて、1)すべての青少年は高校教育をうけられるようにすること、2)働く青年の教育機関定時制課程を主体とし、すべての働く青年の定時制就職を可能にする保障を行うこと、3)事業内の職業訓練社員教育を高校の単位として認定する産学協同(連携教育)は反対である、4)職業訓練所、各種学校はそれぞれ充実してよりよく社会の要求にこたえ得るよう改善をはかること―との具体的要求であった。大阪市で開催された「公聴会」では、当時の大阪総評の中江平次郎事務局次長(社会運動協会初代理事長)が、~ 各府県及び雇用促進事業団の所管する総合訓練所を一元化しトレーニングデパートとして訓練綜合センターとすべきである~ と口述している。この史料も「公聴会口述要旨」として手書き原稿が、エル・ライブラリーに所蔵されており、正真正銘ここにしかない史料であり、労働組合の具体的取り組み史料が注目されていることは特記しておきたいと思う。

 この時期の政・労・使の対応をここで深く追うことは省略するが、結論としては、~1969年の職業訓練法の全面改正も、明治以来の教育システムにおける正系(全体)と傍系(部分)の強固な位階制を打ち崩すものではなかった~ としている。

 終章において、著者は以下のように締めくくっている。~ 本書が明らかにした高度成長期の職業教育、職業訓練における教養へのこだわりは、戦前以来の熟練観を継承するものであると同時に、逆説的ながら眼前の現実からは距離をおいた教育や訓練という行為が内包する「役にたたないこと」に対する信頼であったように思われる。「即戦力」の強調からはこうした信頼は生まれようがない。半世紀以上前の「工場と学校をむすぶもの」に関するわれわれの経験は、現在における教育と職業のあり方を厳しく問うているのである。(伍賀 偕子 ごか・ともこ)

DVD割引販売中「三池 終わらない炭鉱(やま)の物語」「作兵衛さんと日本を掘る」

 11月に映像ジャーナリストの熊谷博子監督が当館を訪問してくだいました。その折に、自作ドキュメンタリー「作兵衛さんと日本を掘る」のDVDなどを寄贈していただきました。

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熊谷博子監督 エル・ライブラリーの入り口にて

 熊谷監督は「三池 終わらない炭鉱(やま)の物語」(2005年)でJCJ日本ジャーナリスト会議)特別賞と日本映画復興奨励賞を受賞されました。この映画はわたしも大好きで、何度も見てそのたびに泣いているという作品です。三池争議とその後に起きた炭じん爆発事故の被害者たちの闘いを追ったドキュメンタリーです。

 そして最新作は「作兵衛さんと日本を掘る」(2019年)で、今度はユネスコ世界記憶遺産に登録された山本作兵衛の絵を手掛かりに、炭鉱の記憶を探ると同時に現在日本の社会問題を抉っていく作品です。100歳を超えた元炭鉱婦のインタビューが撮れたことが何よりも驚きであり、昔は女性も坑内労働に携わっていたということを身振り手振りで証言するその姿に感動します。「労働史オーラルヒストリー」と命名してもよさそうなその映像も必見であり、この映画にはいくつもの必見の場面が登場します。

 このたび、この不滅の2作品のDVDを熊谷監督のご厚意により、当館で割引販売いたします。定価との差額は、エル・ライブラリー運営費のカンパになります。寄付とボランティアで運営している当館への支援としてもぜひご購入を検討ください。

①DVD「三池 終わらない炭鉱の物語」(特典映像あり)

  税込み定価4950円→特価4200円 (※2022.1.30追記:こちらは完売しました!)

②DVD「作兵衛さんと日本を掘る」(音声ガイド・字幕付きのバリアフリー版あり。特典映像あり。ブックレット付)

  税込み定価4950円→特価4200円 (残部僅少⇒2022.3完売しました)

郵送をご希望の場合は別途送料(1本あたり180円)がかかります。また、代金は銀行振り込みでお願いしていますが、振込手数料をご負担くださいますようお願いします。

お申し込みは お問合せ - エル・ライブラリー からどうぞ。(谷合佳代子)

www.sakubeisan.com

www.cine.co.jp

 

所蔵資料紹介~辻󠄀保治資料(近江絹糸紡績労働組合関係資料)

23.職場新聞(16)男と女 その3

 お互いに意識して、男性と女性がフランクに付き合えない職場もあった。特に男性の「からかい」や性的な目線に、多数派の女性は厳重に抗議している。

ヒューと云うのはひやかしではない

俺達深夜番(注1)は君達先番(注2)の人が、出勤されるのが待遠しい、別に好きな人が来るからっていうわけでもないのだが君達が出勤される時間に成ると本当にほつとする。一晩中眼をこすつて機械とにらめっこ、誠につらいものだ。それで君達が工場に入って来ると俺達深夜番は実に騒がしく成る。それは君達もしつているとおりです。げれつ声でよんだり。ヒューと鳴らしたりする。これは決して、ひやかしているのではな(ママ)。実際そうゆう気持に成って来る。勤務時間から開放された時の気持はそれは、それは実にこころよいものです。」(綿・スフ紡仕上『じんし』2号3面)

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綿・スフ紡仕上『じんし』3号3面

女性から男性え

抗議文

一、もう少し男らしく勇気を出す事

一、あまり私達を、ジロリジロリ見ないこと。

一、変な声であまりさけぶと女子は赤面しますから今後そのようなことのないように。

一、台え入って故障を直す時は男子の方から話しかけて下さい。そしたら女子も話しますから

一、作業中にはゾウリでバタバタするのはみっともないですのでズック靴を着用のこと」

(綿・スフ紡仕上『じんし』3号3面)

 

「朝先番で工場に入る

深夜番で仂いた人達はあちこちにかたまって何か話をしている。五時五分頃前先番と交替で帰って行く、その帰ったあと今日一日元気で一生懸命頑張ろうと思って台につこうとする、するとあちこちの戸板に、チョウクで落書がされて居る、「〇〇さんの色馬鹿だの、〇〇さんのパーだの又読むにもよめないような人を馬鹿したようなそれこそイヤラシイことをかいている。

深夜番の人たちはどんな気持でかいたものかしら、男の心理って私には解らないわ。C番で仂いている時は真面(ママ)くさって仂いてすましているくせに、かげではどんなことするか解からないわ。そのすまして仂いている時横顔を思いっきりなぐってみたくなります。それで深夜番からの話合いで男女仲良くするために、合同ソフト大会やろうなんて、これじゃなっちよらんよ、まったく‥‥‥‥職場を仲良く楽しくして行こうと思うだけでなくもう少し真けんに物事を考えてほしい。

組合活動も精紡から進んでやれる様に。」(綿・スフ紡精紡『ぼこぼこ』4号3面)

 

多人数職場だと、男性と女性が分かれてしまい、交流が難しい現実もあったようである。

「仲良くしよう!

みんなであいさつを

C番や深夜番は一般AB番とかけはなれている様になんだか冷たい感じがします。又行き合った時ぐらい朝なら「おはよう」とでもあいさつして下さったら皆んながこれから働くのもほがらかで楽しく働けるのではないでしょうか。他の職場の男子は皆話やあいさつをゆかいにかわしているのに精紡の男子はただ下を向いて通るだけでなさけないと思う。男子は男子なりにあっさりした方が良いではありませんか。これから深夜番C番あいさつからして行きましよう。私達運転番女性も実行して行きますからね。

女性代表して Aより」(綿・スフ紡精紡『ぼこぼこ』2号3面)

 

 他方、個人的に男性と話をしただけで噂になる職場もあった。

「男子と話したらいけないの?

  皆さん、男子の人と話したら、何故いけないでしょうか?私達の工場では男の人と話したら、つめたい眼で見る人が夛いようです、何ででしようか?どんな話をしているかもわからないで、いろいろな、うわさがすぐにひろがります、職場のことなどで話していても、つめたい眼でみていたら、良い気持はしません、そんな冷たい眼でみるのは一日も早くやめたいものです。同じ職場で仂く人が何故?話し合ったらいけないのでしよう、こんなことも、いろいろいろ話し合って見たら良いと思います。」(絹紡製綿『蛹粉の中で』3号3面)

 

かと思えばこんな大胆カップルも。

ヤケルナア

♡私達排綿の職場でもたまには勤務中に男とネチャリンコをやっている人がありますが、私はぜんぜん異性ににが手な方ですから、勤務中にあんなたいどをみせつけるのもどうかと思うよ。ほんまに‼」(絹紡製綿『蛹粉の中で』1号2面)

 

(注1)深夜勤務は1952年から始まり、翌年には深夜専業の男子労働者の採用が開始された。、争議後は日勤との週交替制へと変更になった。1956年9月20日実施の彦根工場就業規則によれば、就業時間は、午後10時30分~午前6時となっている。文中の深夜番はC番(日勤)と深夜番の交替制で働いていた男子労働者のことだと思われる。

(注2)先番は二交替勤務の早い方の勤務で、勤務時間は午前5時~午後1時45分。

(下久保恵子 エル・ライブラリー特別研究員)

 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

新着雑誌です(2021.12.24)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4026号 2021.12.10 (201415148)

労政時報 4027号 2021.12.24 (201415171)

労務事情 No1439 2021.12.15 (201415197)

賃金事情 No2838 2021.12.5 (201414885)

賃金事情 No2839 2021.12.20 (201415130)

企業と人材 No1106 2021.12.5 (201415163)

月刊人事マネジメント 372号 2021.12.5 (201415346)

ビジネスガイド No912 2021.1.10 (201415296)

労働経済判例速報 2462号 2021.11.30 (201415205)

労働経済判例速報 2463号 2021.12.10 (201415288)

労働判例 No1252 2021.12.15 (201415221)

労働法学研究会報 2021.12.1 (201415254)

賃金と社会保障 1791号 2021.12.10 (201415312)

労働基準広報 No2084 2021.12.11 (201415262)

月刊人事労務 394号 2021.11.25 (201415239)

地域と労働運動 255 2021.11.25 (201415320)

 

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