エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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労働資料協総会・研修会参加記

 社会・労働関係資料センター連絡協議会(略称:労働資料協)の総会が10月24日(月)に東京都目黒区の日本鉄道福祉事業協会・労働資料館で開催されました。

 24日の総会では提案議事の質疑・採決のあと、各会員の近況報告がフリートークで行われましたが、ここ3年の新型コロナ感染による行動自粛の影響で費用面、人員面で運営に苦心している状況が報告されました。

アンジェイ・ワイダ監督の絵コンテ

 総会の終了後、労働資料館内の資料見学を行いましたが、その中でひときわ光るのは、ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダが寄贈した絵コンテです。ワイダ監督がポーランド国内に眠っている日本美術品を展示するための美術館・併設の日本語学校の建設にJR総連JR東労組が資金協力し、そのお礼に絵コンテが贈られたものです。「地下水道」「灰とダイヤモンド」で映画ファンを感動させたワイダに、改めて日本との「接点」を再認識することなりました。

日本鉄道福祉事業協会労働資料館の見学

 翌日は国立国会図書館国会分館と旅の図書館の見学にいきました。

 国立国会図書館国会分館は本館より国会議員の業務の調査・情報収集に即応できるように国会内に開設されたものです。立法府の図書館の第一義的役割がそこにあらわれていますが、併せて国会議員の出身府県の新聞(地方紙)、また都心部では全国紙の支社別に収集されていて地方の細かい情報も読み取れるような配慮がされていることに感心しました。全国紙は公共図書館ではマイクロフィルム保管がなければ、東京本社の最終版の縮刷版しかなく、調べ物がとどこおることがあります。そのあと、参議院の内部を見学案内いただきましたが、通路がまっすぐ過ぎて方向感覚がなくなり、係の人がいなければ迷ってしまうかもしれないと感じました。おもわず、見学参観していただいた係官に「院内の動線はすべて頭に入っていますか」と尋ねましたが、「たしかに、頭にはいるのは、2.3年かかると思います、新入りの係官は初めは迷っていますよ」と笑いながら答えていただきました。見学者を誘導しながら的確に議事堂内を案内説明される姿にある種の「職人がたぎ」がみえました。

参議院、本会議場

 午後からは青山1丁目の旅の図書館の見学にいきました。旅の図書館は日本交通公社が運営する旅行・観光をテーマにした専門図書館です。単なる旅行対象地のパンフレットの収集ではなく、研究部門を設けて、専門性の高い資料の収集や大学の観光学部系への情報サービスの提供などで、観光に関わる人との情報ネットワーク構築の一助になる図書館を標榜していると感じました。おそらく旅行だけではなく、街づくり提案構築の基礎資料になるものも備えており、街を調べるための図書館のひとつになる可能性をもっていると思います。

旅の図書館を見学

 筆者は初めて総会に参加いたしましたが、収穫の多いイベントだと感じました。(文・写真ともエル・ライブラリーボランティア司書・森井雅人)