エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

新着雑誌です(2022.6.16)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4036号 2022.6.10 (201421567)

ビジネスガイド No920 2011.7.10 (201421518)

労働経済判例速報 2479号 2022.6.10 (201421393)

労働法学研究会報 No2766 2022.6.1 (201421476)

労働法学研究会報 No2767 2022.6.15 (201421591)

賃金と社会保障 1802号 2022.5.25 (201421427)

賃金と社会保障 1803号 2022.6.10 (201421450)

月刊人事労務 No400 2022.5.25 (201421484)

 

詳細な目次はこちら

続きを読む

れいこちゃん記念文庫の活動

 今日6月6日は井上れいこちゃんのセカンドバースデー(お命日)です。れいこちゃんが1年間小児がんと闘い、ついに星になってしまってから10年が経ちました。

 エル・ライブラリーのサポーターであったれいこちゃんを悼み、れいこちゃんの闘病を支えたNPO活動を支援するために、当館内にささやかな記念文庫を設置しています。難病とともに生きる子ども達と家族を支えるNPOの情報収集も行っています。

 れいこちゃん記念文庫の詳細はこちら

 毎年この日と直近の日曜日は、れいこちゃんのお父さんであり空手家図書館員である井上昌彦さんがご自宅を開放して「れいこパーティ」を開催されます。れいこちゃんを知る人たちが三々五々集まり、れいこちゃんを想いながら楽しく過ごすという趣旨です。残念ながらこの2年間はコロナ禍のためにこのれいこちゃんパーティが中止となりました。今年は3年ぶりの開催となりましたが、当館スタッフは仕事のため参加することができませんでした。

 毎年この日を期して当館内に設置している募金箱を空けます。一年間にたまった金額にスタッフが私費を足してまとまった額(といっても些少)をチャイルド・ケモ・ハウスほかに送っています。 

www.kemohouse.jp

 れいこちゃんパーティには参加できませんでしたが、今年もささやかな寄付を送りました。エル・ライブラリーはお子様たちの闘病をささえるNPOなどの市民活動を、ほんの少しでも支えられることを願っています。

 井上れいこちゃんのお父様である井上昌彦さんは、「情報のチカラで、世界をもっと幸せにする!」というビジョンの実現を目指し「空手家図書館員の奮戦記」というブログを公開されています。 

れいこの闘病中、皆さんの応援に支えられ、頑張ることができました。
それは言ってみれば、自分が情報を発信した結果であり、そして皆さんが発信してくれた情報を受け取ったからです。

れいこの闘病に加え、図書館員という立場とあいまって、私は「情報」の持つ意味やチカラを、さらに強く感じるようになりました。
この「情報」が持つチカラで、世界をもっと幸せにしたいと思います。(空手家図書館員の奮戦記 2013.5.22)

karatekalibrarian.blogspot.com

 井上さんのこのブログは、「わたしたちは情報の力で世界を幸せにできているのだろうか、人々が傷つけあわない平和な世界を情報の力で築けるのだろうか」と自らに問いかけることを思い出させてくれます。情報の力をわたしたちに教えてくれたれいこちゃん、お空の上で笑って見ていてくれるかな。(谷合佳代子)

◆エル・ライブラリー設立の趣旨(2008.10.21)

その3「NPOや草の根市民団体の機関紙などを収集・保存し、市民の社会的活動に利する情報を提供することを目的とする」

新着雑誌です(2022.6.3)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

人事実務 No1233 2022.6.1 (201421559)

労務事情 No1449 2022.6.1 (201421385)

賃金事情 No2849 2022.6.5 (201421419)

企業と人材 No1112 2022.6.5 (201421443)

労働判例 No1262 2022.6.1 (201421583)

労働法学研究会報 No2766 2022.6.1 (201421476)

地域と労働運動 261 2022.5.25 (201421534)

 

詳細な目次はこちら

続きを読む

『スクリーンに息づく愛しき人びと』

熊沢誠著『スクリーンに息づく愛しき人びと : 社会のみかたを映画に教えられて』耕文社  2022.4   19cm  207p

エル・ライブラリーにて割引販売中! 

税込み定価1980円→特価1600円!(送料1冊180円)

お申し込みは お問合せ - エル・ライブラリー からどうぞ。

 不肖私が帯に推薦文を寄稿した本書をご紹介します。言及される映画は90作近く、そのほとんどを自身も見ていることに我ながら感動したわたくしでございます。

 さて、本書の著者は労働研究の泰斗として名高い熊沢誠さん。大の映画ファンとしても知られ、その端麗な文体で織りなされる映画愛は読む人の心を安らげ、温かくしてくれます。心だけではありません。脳みそへの刺激もしっかり受けて、映画の様々な背景に思いが至り、勉強になる/勉強しようと思わせる本でもあります。そして何よりも、著者本人の言葉を借りれば、「映画へのどうしようもない愛執」を語る一作です。映画ファンにはたまらない言葉ですね、映画愛執。

 全28話に及ぶ映画語りは、「Kokko」誌(国公労連編集)での2015~21年の連載を元にしています。各話のタイトルに挙げられている作品はいずれも最近のものですが、その映画にインスパイアされた過去作や関連作品も数多く言及されます。アクションあり、メロドラマあり、戦争もの、歴史ドラマ、社会問題、事件・事故、とさまざまな素材を扱った作品群です。とはいえ、ホラーは皆無、アニメとSFはほんのわずかで、著者の好みの偏りがはっきりしています。当然にも著者はもっと多くの映画を観ているわけですが、その中からこれぞというものだけを厳選して語っています。そうなると選ばれた作品は自然といわゆる「社会派」に行きつくのでしょう。

 取り上げられた映画は称賛されているだけではなく、時に厳しい批判の眼も向けられています。その論点に首肯するのも違和感を持つのも読書の楽しみでしょう。映画を観て社会・労働問題を知る。映画を楽しみながら映画に学ぶ。一粒で何度でも美味しい映画鑑賞の方法と読書の楽しみを味わわせてくれる本書を読んで、映画を観て、ともに語り合いませんか?(谷合佳代子)

目次

序にかえて
第1話 階級連帯の内と外 『パレードへようこそ』『ブラス!』『リトル・ダンサー』
第2話 日本・一九四五年八月 『この国の空』『日本のいちばん長い日』
第3話 引き裂かれた妻と夫の再会 『妻への家路』『かくも長き不在』『心の旅路』
第4話 狂っているのはどちらか 『天空の蜂』『生きものの記録』
第5話 『明日へ』の『外泊』 韓国の非正規女性労働
第6話 山田洋次が見失ったもの 『母と暮せば』への軌跡
第7話 限られた生の証をいとおしむ 『わたしを離さないで』
第8話 『64─ロクヨン』の厚みと熱量
第9話 〈労働〉のリアルをみる憂鬱 『ティエリー・トグルドーの憂鬱』『ナビゲーター』
第10話 かけがえのない出会いに賭ける 『怒り』『悪人』
第11話 トランプ時代の『トランボ』観賞
第12話 日本の女性の半生・淡彩と油彩 『この世界の片隅に』『にっぽん昆虫記』
第13話 サフラジェット賛歌 『未来を花束にして』
第14話 アンジェイ・ワイダの遺したもの 『残像』『カティンの森
第15話 「頑張れ!」の届く地点はどこに 『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『川の底からこんにちは
第16話 二〇一七年の映画ノートから 『夜明けの祈り』と『黄色い星の子供たち』 『わたしは、ダニエル・ブレイク』と『リフ・ラフ』
第17話 報道の自由とベトナム戦争 『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』『ハーツ・アンド・マインズ』
第18話 仮構の家族の絆と危うさ 私の『万引き家族』鑑賞
第19話 八〇年代の韓国・民衆抵抗の息吹 『タクシー運転手 約束は海を越えて』『1987、ある闘いの真実
第20話 企業告発における「外部」と「内部」 『七つの会議』『空飛ぶタイヤ』
第21話 ふたつの「希望」 『僕たちは希望という名の列車に乗った』『希望の灯り
第22話 『長いお別れ』の不思議な明るさ
第23話 格差社会を抉る二つの秀作 『ジョーカー』『家族を想うとき』
第24話 『Fukushima 50』の光と陰
第25話 兵士の帰還 『ディア・ハンター』『我等の生涯の最良の年』『ハート・ロッカー
第26話 『真昼の暗黒』をめぐって
第27話 子どもたちの受難 『存在のない子供たち』『異端の鳥』
第28話 ホワイトカラーの従属と自立 『アパートの鍵貸します』『私が棄てた女』
あとがき
本書で語られる映画 タイトル・監督・そのほか

新着雑誌です(2022.5.26)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4035号 2022.5.13・27 (201421435)

企業実務 No855 2022.3.25 (201421526)

労働経済判例速報 2477号 2022.5.20 (201421401)

地域と労働運動 260 2022.4.25 (201421468)

POSSE VOL50 2022.4.8 (201421492)

 

詳細な目次はこちら

続きを読む

当館資料活用成果「産業別労働組合と演劇サークル」

 長島祐基「産業別労働組合と演劇サークル ―全損保大阪地協演劇部から劇団大阪へ―」『大原社会問題研究所雑誌』no.762(2022.4)

 当館の資料を利用して書かれた論文の抜き刷りを著者から寄贈していただきました。この論文については今年2022年4月に法政大学大原社会問題研究所の月例研究会で報告されています。そのとき使われたスライドのプリントも寄贈されました。

 本稿は1950年代から70年代初頭にかけての職場のサークル活動と作品のテーマを分析することによって、企業の枠を超える組合員の仲間意識や共同性の形成にサークル活動が果たした役割と高度成長の中でのサークルの変化を検討するものです。

 この研究は、当館の館長・谷合と特別研究員・黒川に加えて東邦大学鈴木貴宇准教授の3人で今年から3年かけて行う「林業労働者の文化運動」という科研費プロジェクトにとっても、大いなる参照となるものです。

 全損保(全日本損害保険労働組合)大阪地方協議会演劇部に注目して分析が行われています。その際、当館所蔵資料も活用していただきました。

 本稿では、労働組合から劇団が生まれたという瞠目すべき歴史的事実が掘り起こされていきます。文化サークル全盛期の1950年代、サークル運動衰退期の60年代、というこれまでの通説的な見方とは異なるサークル活動の実態を描いています。

 作品内容の深掘りなど、今後の一層の研究の深化が楽しみです。(谷合佳代子)

所蔵資料紹介~辻󠄀保治資料(近江絹糸紡績労働組合関係資料)

連載最終回です! この連載記事は、翻刻と解説をまとめて近々書籍として発刊いたします。

31. 波紋 

 『波紋』は、彦根工場で結成された最初のサークルで、会員45名(注1)を擁した若葉会の会誌である。辻󠄀資料には、1954年10月発行の創刊号から1956年4月発行の第6号までが収められている。

『波紋』創刊号(1954年10月)

 当時、若葉会にかかわった労働者からの聞取り調査によれば、設立の経過は以下のようである。

「‥‥「人生手帖」という雑誌が出ていました。月刊誌で。それをみんななるべく読もうよなんていう形でわっと集まったということですね。それを読むだけじゃなしに、自分たちで書いたものを自分たちで話し合ったらどうなのよということで「波紋」を作ろうよ、そうなったんですね。‥‥」『近江絹糸人権争議オーラル・ヒストリー(1)』(注2)より

 創刊号の発行者は「緑の会近江絹糸支部 若葉会」となっており、この会が、当時、勤労青年を中心に広く読まれていた『人生手帖』の読者グループ「緑の会」の支部であったことがわかる。(注3 )

 また、『波紋』3号の会計報告では、『波紋』作成費、送料の他に講師交通費や他サークルとの連絡費、行事参加費が計上されており、講師を呼んでの会合や工場外サークルとの交流が活発に行われていたことがわかる。

 『波紋』には随筆、日記、詩、短歌、俳句など会員の作品が多く掲載された。人権争議後、間をおかず創刊されたこともあり、創刊号、2号には争議中の様子を書いたと思われる記事も掲載されている。

「(前略)

  月  日

 今日も深く晴れ奥迄見えすく様だ 緊急事態の為ピケを強化す 外出は一応原則として禁示(ママ)に成って居るので男子寮のヘイを超えて琵わ湖に出て三人の友と水泳をやる

今年最初であったので面白く遊んだ 毎日の斗争で身も心も疲れて居る此の頃、何もかも忘れ水で身をひやし、はしやぐのも又楽しく心の休養にも成る 夜はボイラーの所の非常問(ママ)にピケをはる。」(『波紋』2号「争議中の日記」より)

 

 その後も平和祭や全繊青婦の集い(注4)への参加記などの記事が見られ、組合活動との関連が深かったことがうかがわれる。

『波紋』6号(1956年4月)より

 辻󠄀資料所収の若葉会参加者の「日記(書き抜き)」によれば、1956年5月1日、「もう各職場が活発化される時期だし僕たちは職場に入って活動をやる必要がある。したがって若葉はつぶれるのではなく、自主的な話し合いのもとに職場に根をおろす事になりました」という趣旨の声明文を出し、解散したとある。これは、サークル全体が職場単位の活動に収斂しつつあった、当時の近江絹糸彦根工場全体の状況と軌を一にするものと思われる。

(注1)「第一回支部年次大会報告並びに議案書」(1955.7.17)サークル報告による。

(注2)『近江絹糸人権争議オーラル・ヒストリー(1)』科研費報告書(2013)101~102頁

(注3)寺島徳治『サークル運動』(緑の会,1956)所収の「日本の文化運動における緑の会と   

「人生手帖」の意義について」によれば、緑の会は、「文理書院の読者を中心とした有志の会として昭和26年(1951年)に発足し、翌年雑誌「人生手帖」が若い人たちの雑誌として発行されて、それがひろく普及発展するにともなって、「人生手帖」の読者の会となり、新しい会員数も全国的にふえ、全国の市あるいは各地の町村に緑の会(支部)が組織されるにいたった。」とある。『人生手帖』については、福間良明『働く青年と教養の戦後史』(筑摩書房.2017)を参照。

(注4)全国繊維産業労働組合同盟の青年婦人活動の行事。同同盟は、一九四六年、結成された繊維労働組合の全国産業別組織。近江絹糸紡績労働組合の人権争議を支援・指導した(法政大学大原社会問題研究所『労働運動大事典』旬報社,二〇一一,「全繊同盟」の項参照)。

(下久保恵子 エル・ライブラリー特別研究員)

 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。