エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

新着雑誌です(2024.2.20)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4071号 2024.2.9 (201458379)

賃金事情 No2885 2024.2.5 (201458510)

労務事情 No1486 2024.2.15 (201458544)

労働法学研究会報 No2807 2024.2.15 (201458403)

労働判例 No1299 2024.2.15 (201458346)

 

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当館資料を活用した卒業論文が寄贈されました

 研究者の論文や博士論文などに当館の資料を活用いただくことは多いのですが、卒業論文ではなかなか使いきれない学生さんもおられるので、これまであまり活用事例はありませんでした。また、たとえ卒論に当館資料を使ったとしても、その結果を報告に来てくださり、さらにその卒論を寄贈してくれるというケースはありませんでした。

 このたび、恵贈第一号の卒論寄贈者、西原伊織さんと西原さんの卒業論文を紹介いたします。

「大阪交通労働組合婦人部におけるバス女子車掌の待遇改善運動」
近畿大学文芸学部文化歴史学科2023年度卒業論文(77,544文字)

西原伊織さん(左)と伍賀偕子さん

 西原さんは卒業論文を書くための資料を探して当館に来られました。そして、女性労働運動史ならこの人に聞け!と言える、生き字引の伍賀偕子(ごか ともこ)さんを私たちが紹介しました。伍賀さんは大阪総評オルグ、連合大阪スタッフ、そして当法人(大阪社会運動協会)専務理事を歴任しました。今ではエル・ライブラリーのボランティアスタッフとしてこのブログに「寄贈本紹介」を書いていただくなど、活躍されています。

 西原さんは伍賀さんから大阪の女性労働運動の歴史について聞き取りし、さらに大阪交通労働組合(大阪市交通局時代の市バスや地下鉄の従業員から成る労働組合。2018年以降は民営化されたOsaka Metroの従業員組合)の退職者たちに連絡をつけてもらって、資料提供などさまざまな協力を得ることができました。西原さんは無事に卒業論文を書き上げ、昨年末に伍賀さんにお礼をと、卒業論文を寄贈されました。さらにこの度は当館にも1部提供していただきました。

 卒業論文が図書館に寄贈されることは稀(まれ)と思われます。当館資料や人脈を駆使して書かれた卒論が、今後は当館資料として一般公開されていくという研究情報のサイクルが実現しました。西原さんは4月から鉄道員として働かれることが決まっているとのこと、この研究がこれからの職業人生の糧となることを期待します。

 なお、西原さんの論文の目次の概要は以下の通りです。大部な論文なので私はまだ拝読できていませんが(汗)、このように世代を継いで労働運動の歴史が語り継がれ、引き継がれていくこと、その仲介を当館が果たせたことに深い感慨を覚えます。(谷合佳代子)

目次
はじめに
第1章 バス車掌の基本的事項
 第1節 日本におけるバスの起源と女性の車掌への登用
 第2節 バス車掌の業務と実態
第2章 大阪市交通局と大阪交通労働組合のあゆみ
 第1節 大阪市交通局のあゆみ
 第2節 大阪交通労働組合のあゆみ
第3章 母体保護の権利を求めて―生理休暇、産前産後休暇、妊娠車掌軽業転換獲得―
 第1節 戦前と大阪交通労働組合結成当初の生理休暇獲得運動
 第2節 活用できない権利―提案される無給化案―
 第3節 始まる「母体保護月間」とモデル車庫での検証
 第4節 成し遂げた母体保護―生理休暇完全消化と妊娠車掌軽業転換の獲得―
第4章 女子定年制、退職処遇
 第1節 女子定年制、議論に上がる
 第2節 行われたアンケート―定年制か結婚等での退職処遇か―
 第3節 始まる団体交渉―女子にも55歳の定年制を―
 第4節 長引く交渉の中で―大交本部によって打ち出される女子車掌35歳定年―
 第5節 妥結される「33歳」定年制―退職処遇があればよい?―
第5章 服装検査、不足金弁納の全廃に向けて
 第1節 服装検査と不足金弁納問題への初期の運動
 第2節 明らかになる服装検査の実態―服装検査「全廃」闘争へ―
 第3節 服装検査実施要綱と服装検査「全廃」案の敗北
 第4節 服装検査は「全廃」から「条件闘争」へ
 第5節 神戸市交通局で発生した服装検査事件を受けて―服装検査全廃闘争へ―
おわりに
参考文献

新着雑誌です(2024.2.9)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4070号 2024.1.12・26 (201458429)

労務事情 No1485 2024.2.1 (201458395)

企業と人材 1132号 2024.2.5 (201457363)

人事の地図 No1253 2024.2.1 (201458338)

ビジネスガイド No942 2024.2.10 (201458486)

労働経済判例速報 2535号 2024.1.30 (201457330)

労働判例 No1298 2024.2.1 (201458361)

月刊人事労務 No419 2023.12.25 (201458452)

 

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熊沢誠『イギリス炭鉱ストライキの群像』割引販売中

 労働経済・労働運動史の泰斗、熊沢誠さんの最新刊『イギリス炭鉱ストライキの群像 新自由主義と闘う労働運動のレジェンド』を、当館内で割引販売中です。

<書誌情報>
イギリス炭鉱ストライキの群像 : 新自由主義と闘う労働運動のレジェンド
熊沢誠著 旬報社 2023.9
207p 20cm

 税込み定価1870円を1700円にて。

 本書は、なぜ今1984年のイギリス炭鉱ストを扱うのか、その理由を巻頭で述べています。これは現代日本の労働組合、そして困難な職場で苦闘苦悶するすべての労働者に向けて送られたメッセージです。

 しかも専門書としての堅苦しさがなく、胸をつかまれるように読ませられる物語です。読み始めたら止まらない、群像劇としての面白さがあります。私も久しぶりに血沸き肉躍る読書体験に感動しつつ本書を読み終えました。

 以下、発行者の労働旬報社のサイトより転載します。

1980年代以降、イギリスでは保守党サッチャー政権による改革が行われ、世界的な新自由主義拡大の嚆矢となった。
その一方で、改革に抵抗し、自らの誇りとコミュニティを護るために闘い抜いた炭鉱労働者とその家族の姿がある。
本書はストライキをはじめ、みずから望ましい労働環境を獲得しようという意識の失われた現代の日本に、イギリス炭鉱ストライキのもつパワーと、連帯の意義を伝える。

◎おもな目次

序章 今なぜ、イギリスの炭鉱ストライキ(一九八四.八五年)の物語を描くのか
第1章 イギリス炭鉱ストライキ(一九八四~八五年)の史的検証
第2章 第Ⅰ期:八四年春 ストライキの拡大と強権の始動
第3章 炭坑夫とはどのような人びとなのか
第4章 第Ⅱ期の苦闘:八四年夏~秋
第5章 ストライキを持続させるムラ・コミュニティ
第6章 第Ⅲ期の軌跡:八四年一一月~八五年三月
第7章 その後の憂鬱な経過
第8章 思想的・体制論的な総括
むすびにかえて
英略語一覧
主要参考文献一覧

 研究会「職場の人権」が主催する、本書の合評会が1月20日に開かれ、私も登壇しました。その動画が来月末ごろには公開予定ですので、公開されましたらお知らせします。(谷合佳代子)

新着雑誌です(2024.1.30)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新号は貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4069号 2023.12.22 (あ201456936)

ビジネスガイド No941 2024.1.10 (201456993)

労働法学研究会報 No2804 2024.1.1 (201457074)

労働法学研究会報 No2803 2023.12.15 (201457025)

労働経済判例速報 2530号 2023.11.30 (2014457116)

労働経済判例速報 2533号 2024.110 (201456902)

労働判例 No1296 2023.12.15 (201456969)

労働基準広報 No2152 2023.11.27 (201457058)

労働基準広報 No2153 2023.12.1 (201457082)

 

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新着雑誌です(2024.1.18)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち、最新のものは閲覧のみです。貸出はできません。

賃金事情 No2884 2024.1.5・20 (201456951)

労務事情 No1484 2024.1.1・15 (201456894)

月刊人事マネジメント 397号 2024.1.5 (201456985)

企業と人材 1131号 2024.1.5 (201457017)

人事の地図 No1252 2024.1.1 (201457041)

労働判例 No1297 2024.1.1・15 (201456928)

 

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『技術史研究 会誌創刊70周年記念号』

『技術史研究』No91(会誌創刊70周年記念号)
現代技術史研究会(2023年12月/B5判210頁)

<70周年記念号の目次>

「現代技術史研究会」の会誌創刊70周年記念号の構成は、以下の通りである。

○巻頭言  後藤政志 
○巻頭論文

老朽化した原発を運転することは大規模事故のリスクを上げる
―鹿児島県川内原発の特別点検に係る元分科会委の員証言― 後藤政志
○70周年特集
 ・昭和電工の主張の虚構性と不合理性の基盤
  ―新潟水俣病第一次訴訟補佐人の意見― 宇井純
 ・現代技術史研究会における技術思想はどのようなものだったか 井野博満
 ・会誌70周年に寄せて  泉 茂行 / 猪平 進
 ・大阪の現代技術史研究会      吉田哲夫
 ・現技史研と私と水俣病   矢作 正 
 ・現代技術史研究会会員アンケート
 ・技術史研究目次 1~29号
○一般
 ・戦後技術の歩みを振り返って見た時  天笠啓祐
 ・日本窒素労働者の歴史Ⅲ ―1920年代から1946年(2) 矢作 正
○編集後記

<現技史研の歩みと果たした役割>

 会誌『技術史研究』は、1953年*16月に創刊されたが、星野芳郎の記述(2005年)によれば、1951年以来の前段の研究蓄積を踏まえて、「現代技術史研究会」の名称で131人の会員を擁して正式に発足したのは、1957年10月19日とされている。研究会の歩みを概括して、「政府や企業に対する正面切っての批判などは公開できるものではない。現代技術史研究会のような、ささやかではあるが自由討論の場があって、はじめて、日本や世界の技術の真実と技術と社会の関係を語ることが可能なのである。その流儀を48年間にわたって押し通したというのは、見事な一本道であると言うべきであろう」と記している。会員数は61年273名が最大で、71年4月228名と、編集後記に記述されている。

 後藤政志(現技史研議長)は巻頭言で、研究会の歴史と今後の役割を以下のように概括している。

 技術の歴史としてみた時に、太平洋戦争までのめり込んでしまった負の遺産と水俣病に代表される公害の歴史と、そして福島事故の先の見えない人工放射性物質との闘いの三つが重要事項としてあげられる。水俣病に関する長い公害に対する闘いは、現技史研にとっても大きな課題であり、正に技術を問う形で、水俣病に直接、間接に関係する“公害”という意味を問う作業も含めて多くの会員が取組んできた。(中略)また、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震とそれに伴い発生した福島原発事故は、改めて私たちにとって環境とは何かということ、技術のありようと放射物質拡散事故の厳しさを突きつけられた。

(中略)2021年1月にウクライナで発生したロシアの軍事侵攻に至って、もはや原発は、紛争当事国にとっては、自国に仕掛けられた核兵器になり得ることを知らされ、そして意図しない威嚇攻撃や偶発的な事故も考慮すると、福島事故の次の大規模な原発事故が現実の脅威となって迫ってきた。(中略)こうした、エネルギー問題、環境問題、安全保障と戦争の問題、AIを含む科学技術の先端の問題、ジェンダーの問題等、あらゆる面で重要な局面を迎えている今日、現代技術史研究会会員として会誌70周年記念号が出せることを素直に喜びたい。

 字数の関係で、個々の論述に言及は出来ないが、現技史研における技術思想がどのようなものであり、葛藤も含めて、実践と運動に活かされ貫かれたのかが、科学分野に疎い筆者にも伝わる、学びの多い書である。

 また、大阪で活動してきた筆者にとっては、「大阪の現代技術史研究会」(吉田哲夫)の歩みはとても関心があっても、能力的にも要約できないが、わが『大阪社会労働運動史』の監修者であった故中岡哲郎氏を囲んでの会の記録などから、氏が当然の役割を果たされたことが推察できて嬉しかったことだけ、付言しておきたい。

 また、平野恵嗣著『もの言う技術者たち―現代技術史研究会の70年』について、こちらに紹介文を掲載しているので参照されたい。(伍賀 偕子 ごか ともこ)

*1:会誌『技術史研究』の創刊=1953年6月について、『もの言う技術者たち―現代技術史研究会の70年』(平野恵嗣)で、創刊を1952年と誤って記載しているが、それは、著者平野の責任ではなく、創刊号の奥付が1952年と誤っていたことによると、編集後記に記述されている