エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

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スキルアップ!情報検索:基本と実践(新訂第2版)

中島玲子, 安形輝, 宮田洋輔著
日外アソシエーツ , 紀伊國屋書店 (発売) 2021.1 185頁

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 初版から3年を経て発行された、新訂版。情報検索を初めて学ぶ学生、スキルアップしたい現場の図書館員、体系的に学ぶ機会がなかった社会人のために書かれた入門書、という位置づけは変わらない。

 しかしたった3年でネット上ではさまざまなサービスが終了したり新たに始まったりと、変化が目まぐるしい。さらには検索の方法も多様化し、スマートフォンを使ったりSNSを活用することも増えた。こういった変化に対応した新訂版となっている。

 また、章立ても初版と異なり、コラムとして目次の中では小さく記載されていて目立たなかった項目も大きく配置され、よくわかるようになった。その分、目次が1ページ増えている。やや難解に思えるかもしれない専門用語が目次の中で目立つようになり、しかし全体の読みやすさは変わらないというすぐれものである。

 全体は初版の3章立てから4章立てに変った。応用編と裏ワザが特にお薦めと思うので、目次も少し詳しく紹介する。

<目次概要>

第Ⅰ章 情報検索 基本編
第Ⅱ章 情報検索 実践編
第Ⅲ章 情報検索 応用編(1. 転置索引ファイル、2. 形態素解析とNグラム、3. 忘れられる権利……10. 情報収集にSNSを活用しよう)

第Ⅳ章 検索裏ワザ お役立ち情報編(2. 検索語の数はひかえめに 検索漏れを減らす、3. より広く適したものを探す 論理和や上位概念の活用、5. ソレじゃないのを探したい 論理差で検索ノイズを減らす、7. フィードバックの活用 検索に使える言葉を見つけよう、8. オリジナル情報は早い!正確! Web情報で原典にあたる、9. 失われたWebページを求めて Webアーカイブを使ってみる、11. 機械翻訳を使いこなす 日本語を各言語へコツ、14. 検索は何をもって成功なのか? 検索評価の観点)

 基本編できっちり全体像をつかんだ上で第2章に進むのが常道だが、基礎編は飛ばしてもいいと思える人は第2章から読んでほしい。あるいは、普段から慣れている図書館員や研究者なら、第3章からでもいいだろう。しかしそういう人たちも油断なく、時に1章や2章に戻ってほしい。

 第3章と第4章で紹介されている事例は初版と大きく変わらないが、「SNSを活用しよう」という項目が追加されており、その使い方の注意点が述べられている。

 以上、概ね初版との違いに着目して本書を紹介したわけだが、最後に最も目を引くことに言及したい。それはフォント(文字)である。ユニバーサルデザイン(文化や年齢にかかわらず誰にでも使いやすいデザイン)が注目される昨今、フォントも一層見やすく変更されている。

初版の紹介文はここ。 (谷合佳代子)