エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

ブログ記事の引用転載を希望される方は、https://l-library.hatenablog.com/about をご確認ください

創設100周年記念誌「大阪の日本共産党物語」

 2022年に創立100年を迎えた日本共産党大阪府委員会から、記念誌を恵贈いただきました。今年の最後に書影とともに紹介いたします。

 日本共産党の創立は1922年7月15日(1921年4月説もあり)です。100周年おめでとうございます。100年を目指して機関紙『大阪民主新報』に100話から成る連載が始められたのが2020年7月のことでした。本書はその連載をまとめて補筆されたものです。

 連載に当たり、当法人が編纂発行している『大阪社会労働運動史』(既刊9巻)も参照・引用していただいています。今回の連載及びそのまとめとしての本書の編集方針は次のようなものでした(p.212)。

日本共産党の活動を追うだけでなく、大阪の政治・経済・社会の流れ、さまざまなたたかいの展開のなかで描く

②歴史を追いつつ、たたかいをになった「人」にも光をあて、エピソードを追う

③「今に生きる」もの、「今にぜひ伝えたいこと」を紡ぐ

 そして、8人による「100年史編集委員会」が立ち上げられ、資料収集・蓄積が進められたとのことです。それらは現在、新築なった府委員会の事務所に保存整理されているそうで、”日本共産党大阪府委員会アーカイブズ”が党員のみならず、広く一般の人々が活用できるようになれば何よりと感じました。

 本書では多くの人名が登場し、魅力的な人物が何人も描かれています。特に第9話に登場する小岩井浄(こいわい・きよし)は戦前大阪の著名な弁護士であり、人徳篤く、労働者に慕われました。しかし、獄中で転向し戦後も復党がならぬままに逝去しました。その小岩井への深い敬意が込められた第9話には胸が熱くなるものがあります。

 戦前・戦後の共産党の激動の歩みが記された本書はとても読みやすく、同党から見た大阪の社会運動史の流れがよくわかります。(谷合)

<書誌情報>

『時代(とき)をつないで 大阪の日本共産党物語』「時代(とき)をつないで 大阪の日本共産党物語」編集委員会
日本共産党大阪府委員会(発行) , せせらぎ出版(発売)
2022.9 ,   214p   21cm 

新着雑誌です(2022.12.22)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

賃金事情 No2861 2022.12.20 (201428356)

賃金事情 No2860 2022.12.5 (201428380)

労政時報 4046号 2022.11.25 (201428372)

労政時報 4047号 2022.12.9 (201428406)

労政時報 4048号 2022.12.23 (201428521)

月刊人事マネジメント 384号 2022.12.5 (201428505)

労働経済判例速報 2495号 2022.11.20 (201428430)

労働経済判例速報 2496号 2022.11.30 (201428463)

労働経済判例速報 2497号 2022.12.10 (201428497)

労働法学研究会報 No2775 2022.10.15 (201428414)

労働法学研究会報 No2776 2022.11.1 (201428448)

労働法学研究会報 No2777 2022.11.15 (201428471)

労働法学研究会報 No2778 2022.12.1 (201428554)

地域と労働運動 267号 2022.11.25 (2014285397)

 

詳細な目次はこちら

続きを読む

新着雑誌です(2022.12.7)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

賃金事情 No2859 2022.11.20 (201428422)

労務事情 No1459 2022.11.15 (201428398)

労務事情 No1460 2022.12.1 (201428513)

企業と人材 No1118 2022.12.5 (201428547)

労政時報 4045号 2022.11.11 (201428349)

労働判例 No1273 2022.12.1 (201428455)

労働判例 No1272 2022.11.15 (201428489)

 

詳細な目次はこちら

続きを読む

石炭研究の博士論文など

 早稲田大学の嶋崎尚子研究室の門下生が今春2人そろって博士号を授与され、めでたく当該論文を寄贈してくださいました。おめでとうございます!!

 嶋崎先生と研究室の方々とは、当館の2017年展示「炭鉱の記憶と関西」の準備段階からのおつきあいで、わたしはみなさんが羽ばたいていかれるご様子を眩しく嬉しく拝見していました。

 この度頂戴した博士論文の製本版書誌情報は以下の通りです。

・清水拓『日本石炭産業の技術的到達点における生産職場の研究 ―1990年代の太平洋炭砿の採炭現場を事例として―』2022年4月 189p 30cm

・笠原良太『石炭産業の漸次的撤退と閉山離職者の子どものライフコース ―雄別炭砿株式会社尺別炭砿の閉山と中学生に関する追跡研究―』2022年4月 137p 30㎝

 

 この2論文に対して同時期に学位が授与されました。どちらも石炭産業の研究を社会学のフィールドで行ったものであり、同じ研究室で切磋琢磨されてきたであろうと拝察します。清水論文は石炭の技術論であり、炭鉱の労働世界を描くものです。一方の笠原論文は閉山に伴う親の離職がどのように子ども達に影響を及ぼしたのか、移動する炭鉱家族の子世代に着目した研究です。石炭産業に着目する社会学の研究でもまったく異なる方向からの照射であり、ともにオリジナリティ溢れる素晴らしい研究です。

 著者は二人とも北海道の炭鉱をフィールドとしています。清水論文では日本に残った最後の炭鉱である太平洋炭砿の1990年代の採炭現場の労働のありようを明らかにすることを企図しています。先行研究では不十分であった、「石炭を採取する生産点に立ち返って炭鉱労働を考察する」ことを課題として設定しています。それは従来、「危険な地下労働」としてとらえられてきた一面的な炭鉱労働のイメージを払拭するものでもあります。多くの写真や図が掲載されていますが、技術的な説明は高度なのでわたしのような素人は読み解くのに苦労します。これが技術史ではなく社会学の博士論文であるところが異色といえるのではないでしょうか。

 笠原論文では尺別炭鉱閉山後に親の離職や移動が子どもたちにどのような影響を与えたのかを調査分析しています。従来、労働移動の問題として労働者自身の調査はありましたが、その二世たちの動向に着目した調査は存在しませんでした。閉山は地域の崩壊をもたらすような衝撃的な出来事であり、子どもたちは長期にわたる影響を受けたと考えられます。笠原論文では閉山前のコミュニティでの生活と、閉山に伴う家族の移動が子どもたちのライフコースに与えた影響を明らかにします。そのために、同郷会や同窓会を通じた追跡調査を行っています。その調査結果については、当時中学生だった子どもたちの、その後の高校・大学進学に明確な違いが見て取れることが浮き彫りにされています。

 なお、笠原論文の元となった論考も掲載されている『〈つながり〉の戦後史 尺別炭砿閉山とその後のドキュメント』(嶋﨑尚子、新藤慶、木村至聖、笠原良太、畑山直子著、青弓社、2020.11)もすでに当館に寄贈していただいています。こちらは写真がふんだんに掲載されていて、読みやすいものですので是非多くの人に読んでいただきたいです。(谷合佳代子)

市民実行委員と共催した3つのイベントの報告

 エル・ライブラリーでは、当館だけの主催で行うイベントもありますが、実は労組や市民団体、個人のみなさんと共に行うイベントもかなりあります。10月から11月にかけては、そのような市民実行委員との共催・協力で行ったイベントが3つありましたので、簡単に報告します。会場はいずれもエル・おおさかです。

(1)晴野まゆみさん講演会 日本初セクハラ裁判から30年

 10月25日(火)、平日夜の開催という出にくい時間帯でしたが、40名の参加者が熱心に晴野さんのお話に耳を傾けました。講演後の質疑応答では質問がどんどん出て、予定時刻をオーバーして活気あふれる会となりました。この企画を呼び掛けてくれた市民のみなさんと共に実行委員会を組んで開催できたことが喜びです。

◆実行委員の牧口誠司さんのFacebookコメントより

 会社で受けた数々のハラスメント、上司に相談したら、なんと被害者である晴野さんの方が即日解雇されてしまったというとんでもない話、その後苦労の末提訴できた裁判の推移など、当時大変な状況で闘っておられたのだなぁと胸が痛くなりました。現代でも様々な事件が起きていますが、晴野さんが提起され、そして裁判で勝利された意義の大きさは言うまでもないでしょう。

質問でも思いのこもった発言が続き、それにたいして晴野さんが一つ一つ丁寧に答えられ、それにもまた心を動かされました。

 今回のイベントでは縁の下の力持ちとして活躍してくださった実行委員や当日手伝ってくださった方など、多くの尽力協力を得ました。心から感謝いたします。

 また、「朝日新聞」大阪本社版地域面10月22日付朝刊に中塚久美子記者が紹介記事を書いてくださったのもありがたいことでした。

 なによりも、セクハラ訴訟という「ファーストペンギン」の勇気ある行動に出られた晴野さんの、想像を超えるご苦労の一端を知ることができて、感慨深かったです。

 晴野さん、ありがとうございました。

 晴野まゆみさん講演会 日本初セクハラ裁判から30年 - エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

 

(2)スクリーンに息づく愛しき人びと 熊沢誠さんと語る映画の会

日比野敏陽氏撮影

 10月29日(土)午後、ご自身が「愛執」と語るほどの大の映画ファンである、労働経済学の泰斗・熊沢誠さんの講演会を開催しました。京都新聞社の日比野敏陽さんの協力で行ったこの講演会では、熊沢さんの最新刊『スクリーンに息づく愛しき人びと』のサイン会も開催し、熱心なファンが25名集まりました。

 熊沢さんのお話は、まるで今見てきたばかりの映画を語るかのような素晴らしい臨場感で、聞く人をうっとりさせました。講演会全体を2部構成として前半で「兵士の帰還 戦場と市民社会」、後半で「ケン・ローチ 下積みの人々を掬うまなざし」としていくつもの映画を紹介していただきました。熊沢さんならではの切り口による映画解説は、愛執とともにまた辛口批評も大変面白く、第3部の「会場とのディスカッション」の時間を大幅に削って熊沢さんに大いに語っていただきました。そこでは山田洋次監督への称賛と批判がユーモアも交えて開陳され、会場のみなさんは大いに聞き入ったことでした。

 熊沢先生、ありがとうございました! また続きをぜひ!

スクリーンに息づく愛しき人びと 熊沢誠さんと語る映画の会 - エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

 

(3)「ウクライナ南部のいま 戦時下の子どもと女性たち」玉本英子現地取材報告会

 11月11日(金)夜、玉本さんを含めて26名が集い、熱心にお話を聞き、映像を見つめていました。玉本さんの報告会は2015年から2回、エル・ライブラリーに小ぢんまりと開催していましたが、今回はコロナ禍対策のために大きな部屋を借りて行うこととしました。その結果、これまでの2倍以上の方に集まっていただくことができました。「朝日新聞」10月20日付朝刊大阪市内版にも取材記事と報告会のお知らせを加戸靖史記者が書いてくださったこともあり、参加者が増えました。

 「情報はタダではない」と静かに語り、「ジャーナリズムを支える一人になりたい」としてこの会合をずっと主催している社納葉子さんの言葉も胸にしみました。真実を知るために、真実を手に入れるために何ができるのか、何が真実なのか、「わたしもわかりません」と述べる社納さんの言葉は、情報専門職である図書館司書、情報を収集発信する図書館にとっても繰り返し問いかけるべきことだと思いました。

 玉本さんの現地取材の映像や写真はどれもわたしたちに問いかけるものであり、とりわけわたしにとっては図書館司書の女性が銃を持って市民防衛隊の訓練に参加している映像が衝撃でした。

 講演いただいた玉本英子さん、主催者の社納葉子さん、ありがとうございました。
この取材のためにどれだけ玉本さんがお金と時間と体力(生命)を使っておられることか、多くの人に知ってほしいと思いました。

 なお、この講演会は読売テレビに取材していただき、当日深夜のニュースで流れました。放送されたニュース映像は↓ (館長・谷合佳代子)

news.yahoo.co.jp

 

「ウクライナ南部のいま 戦時下の子どもと女性たち」玉本英子現地取材報告会 - エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)

労働資料協総会・研修会参加記

 社会・労働関係資料センター連絡協議会(略称:労働資料協)の総会が10月24日(月)に東京都目黒区の日本鉄道福祉事業協会・労働資料館で開催されました。

 24日の総会では提案議事の質疑・採決のあと、各会員の近況報告がフリートークで行われましたが、ここ3年の新型コロナ感染による行動自粛の影響で費用面、人員面で運営に苦心している状況が報告されました。

アンジェイ・ワイダ監督の絵コンテ

 総会の終了後、労働資料館内の資料見学を行いましたが、その中でひときわ光るのは、ポーランドの映画監督アンジェイ・ワイダが寄贈した絵コンテです。ワイダ監督がポーランド国内に眠っている日本美術品を展示するための美術館・併設の日本語学校の建設にJR総連JR東労組が資金協力し、そのお礼に絵コンテが贈られたものです。「地下水道」「灰とダイヤモンド」で映画ファンを感動させたワイダに、改めて日本との「接点」を再認識することなりました。

日本鉄道福祉事業協会労働資料館の見学

 翌日は国立国会図書館国会分館と旅の図書館の見学にいきました。

 国立国会図書館国会分館は本館より国会議員の業務の調査・情報収集に即応できるように国会内に開設されたものです。立法府の図書館の第一義的役割がそこにあらわれていますが、併せて国会議員の出身府県の新聞(地方紙)、また都心部では全国紙の支社別に収集されていて地方の細かい情報も読み取れるような配慮がされていることに感心しました。全国紙は公共図書館ではマイクロフィルム保管がなければ、東京本社の最終版の縮刷版しかなく、調べ物がとどこおることがあります。そのあと、参議院の内部を見学案内いただきましたが、通路がまっすぐ過ぎて方向感覚がなくなり、係の人がいなければ迷ってしまうかもしれないと感じました。おもわず、見学参観していただいた係官に「院内の動線はすべて頭に入っていますか」と尋ねましたが、「たしかに、頭にはいるのは、2.3年かかると思います、新入りの係官は初めは迷っていますよ」と笑いながら答えていただきました。見学者を誘導しながら的確に議事堂内を案内説明される姿にある種の「職人がたぎ」がみえました。

参議院、本会議場

 午後からは青山1丁目の旅の図書館の見学にいきました。旅の図書館は日本交通公社が運営する旅行・観光をテーマにした専門図書館です。単なる旅行対象地のパンフレットの収集ではなく、研究部門を設けて、専門性の高い資料の収集や大学の観光学部系への情報サービスの提供などで、観光に関わる人との情報ネットワーク構築の一助になる図書館を標榜していると感じました。おそらく旅行だけではなく、街づくり提案構築の基礎資料になるものも備えており、街を調べるための図書館のひとつになる可能性をもっていると思います。

旅の図書館を見学

 筆者は初めて総会に参加いたしましたが、収穫の多いイベントだと感じました。(文・写真ともエル・ライブラリーボランティア司書・森井雅人)

新着雑誌です(2022.11.15)

今週の新着雑誌です。

新着雑誌のうち最新のものは貸出できません。閲覧のみです。

労政時報 4044号 2022.10.28 (201428117)

ビジネスガイド No927 2022.12.10 (201428364)

月刊人事マネジメント 383号 2022.11.5 (201428299)

労働経済判例速報 2492号 2022.10.20 (201428208)

労働経済判例速報 2493号 2022.10.30 (201428232)

労働経済判例速報 2494号 2022.11.10 (201428174)

労働基準広報 No2116 2022.11.11 (201428141)

地域と労働運動 266 2022.10.25 (201428265)

賃金と社会保障 1811・1812号 2022.10.25 (201428323)

賃金と社会保障 1813号 2022.11.10 (201428331)

 

詳細な目次はこちら

続きを読む